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11話 佐々木アキラ2 ロベレドゥイからクラールへ

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 あれから1年が過ぎようとしていた。
この国は【ロベレドゥイ】
6大国家の一つだ。
北国に位置するため1年のうち8か月か9か月は冬だ。


あれから赤羽を除く俺たちは
この国のこと、世界の実情や歴史の授業、戦士用訓練、魔導士用訓練をざっくり行い、
各々の適正を見た後にそれぞれの部隊に配属された。


俺はロベレドゥイ騎士団4部隊のうちのひとつ、
第一部隊「王の右腕」に配属され、いまではもうその副隊長にまで上り詰めた。

レベル70を超えた。
ステータスはほぼオール2000前後だ。
正直、人類最強レベルだと自分でも思う。

だが上には上がいる。
うちの隊長は経験豊富でLV80すぎ。元エリート冒険者だそうだ。

この人に演習ですら勝てた試しがない。


クストゥ大山脈でのモンスター大量発生
ドワーフが住む炭鉱での地龍との戦い
エルフとの戦闘

この1年、何度死を覚悟したか。
その度にこの人に助けられた。

国の為、というよりもこの人についていく。
俺の戦う目的はこの人なのかもしれない。




国からついに命令がきた。
国の北東部、クストゥ大山脈をはさんだ先、
蒸気機関と漁業の街「アナディル」
これを魔王軍から奪還せよ
という指令だ。

俺たちが異世界に呼ばれたのは主にこれを奪還するための戦力補充だそうだ。


かつてある島に封印された魔王、それが復活しアナディル付近に一晩で巨大な橋を建造。
沸きだした大量の魔物がアナディルを制圧。
街にも冒険者や国の衛兵がいたが敵わなかった。


1年もの間放置されていたのは
魔物どもがそこでなにか建物のようなものを建造していて
国を攻めてはこなかったからだ。

だがここへきて国の北に位置する「キスタ」を
大量の魔物が襲った。

キスタにはアナディルから逃げてきた住民の避難地があり、
さらにわが軍の第二部隊、第三部隊がすでに配備されている。
迎撃には成功したようだ。


アナディルにどれだけの魔王軍がいるのか、その数すら依然不明だ。
アナディル襲撃から1年が過ぎている。
軍備も整っているだろう。


そんななか進軍する。
正直言って不安だ。
俺に副隊長がつとまるのか、部下をどれだけ死なせないよう指示をだすか。


「そんな顔すんなって!おれがいるんだからな!がはは」

髭ずらの隊長がそういうと少し安心した。

「では進軍!!」
身の丈ほどの大剣を背負った隊長が自慢の黒馬の上から叫ぶ。



今回の遠征は第一、二、三部隊のさらに精鋭少数のみの進軍になる。
アナディルの兵の数を見る
アナディルの街の様子を伺う
これが主な任務だ。


第一部隊「王の右腕」の多くを国に残し
精鋭60名のみの進軍。
半分は隊長、もう半分を副隊長の俺が受け持つ。





何事もなくキスタにたどり着く。


街の北入り口には簡単な木製バリケードがしかれていた。


「遅かったなアール大隊長。アキラ副隊長」


第三部隊「王の翼」隊長 ルー が出迎える。
武器なら何でも使いこなす武芸の神と呼ばれる。
武器に魔法を載せたりとか普通に魔法も強い。
ユニークスキルもあるとか。


「おう。なんだ久しぶりじゃねえか。相変わらずひょろいな。がはは」

「お久しぶりです。ルーさん」

「アールさんがでかすぎるんですよ。アキラさん精進しているようですね。」

ルーさんは俺の剣と魔法の師匠だ。かなり心強い。




その夜


「では明日の作戦会議を始める」
第二部隊「王の左腕」隊長 リーンだ。
エルフ族にして剣と弓、魔法の達人。
双刃のリーンと呼ばれた若い隊長だ。
第二の副隊長は小林さんだ。黙っていてもかわいい。






明日の作戦はざっくり言うとこうだ。
まず第一部隊1班のアールが北上、廃棄された村「クラール」を目指す。
クラール付近で待機。
第一部隊2班のアキラが続いて到着。
1、2班でクラールに魔物がいれば殲滅。

第二、第三部隊に報告の後、
さらに北上。


アナディルへの街道を行く。
街道はやがてクラール北に位置する森に入る。
森を出るとアナディルだ。


アナディルの様子を探り撤収。



クラールを補給基地再前線とし、アナディルにたどり着き情報収集するのが明日の任務だ。






「よおし!クラールの街は落としておいてやるぞ!隠し玉もあるしな!がはは」
「いや着いたら待機ですよ!待機!」
「冗談だ!がはは」


そんなやりとりをして1班は進軍した。
しばらくしてから2班も追う。

隊長を追う2班に1班から連絡が入る。
1班のうちの2人が血相をかえて戻ってきた。

「報告します!1班ほぼ壊滅!
クラール前にて特異個体とみられるワーウルフ出現!
現在、アール隊長が応戦するも苦戦しております!」


あの人がいながらなぜ?

「このまま戻り第二第三に報告しろ。2班はクラールへ急ぐぞ!」

俺が付くまで無事でいてくれよ。
そう祈りながら馬を走らせた。

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