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奇楽 ( kill-luck )

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第六章

覚めない悪夢

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「キャッ!」
 また突然、瞬間移動した。ランは胸の前にボードを出したままベンチに腰かけていた。これがベティの言う、だれかに見つけられたということなのだろうか?
「もうヤダー。一体何なの? 次はどこ!」
 もう恐怖が薄れかけていた。恐怖よりも怒りの割合が大きくなってきている。
 辺りを見回した。ここは? 見たことある公園のようだった。ランが中学生のときによく学校帰りに寄った公園に似ている。海岸沿いのベンチに仲のいい友達と腰掛け、くだらない話しを延々と続け、よく時間を潰したものだった。そんな懐かしさを感じた。おかしな夢、おかしな世界が続き、精神的にまいっている。だから、今のこの懐かしい景色が心を癒してくれそうだった。
 天気もよく、気分がいい……、
 ところが、ランは気付いた。自分のいる位置だけが薄暗いことに……、ランは空を見上げる。
「なんてこと……」
 新たな驚きが絶え間なくやってくる。
「もう無理……」
 覚めない悪夢を呪いたかった。
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