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プロローグ 「自助努力には限界があります」
第九話 「最初の犠牲者」
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寝室の窓から差し込む朝日の眩しい光を受け、昨夜の激しいプレイによる倦怠感と微睡の中で目を覚ます。
目が覚めたら全てが夢だったら良いのに――。
そんな望みの薄い希望を抱きながらも、視界に入った様子から今までの事は夢ではなく、そこが自分の部屋でないことも改めて認識させられる。
周囲を確認するようにゆっくりとその身を起こしてから、自分の身体に視線をやると、ふっくらとした胸の先端は薄いピンクから少しだけ赤みを帯びた色に変わっていて、アソコにもチクチクとした痛みを覚える。
理由は簡単で経験がないにも関わらず、散々に凌辱された乳首も淫核も、空気が触れただけでもちょっとした痛みを感じるほどに腫れてしまっていたのだ。
まったく無理をしてくれたものだと、少しだけ男二人を恨めしく思う。
「結衣ちゃん。昨日は眠れた?」
声がした方に振り向くと、そこにはソファに座る悠翔の姿。俺は露出したままの自分の胸を見て、思わず慌ててシーツを手繰り寄せて身体を隠す。
すると悠翔はすぐに立ち上がり、
「昨日は…その…ゴメン。酒飲んでて、自制が聞かなかった」と、気まずそうに謝罪してから頭をスッと下げる。
反省されてももう処女は返ってこないだろうし、こちらも挑発するようなことを言ってしまったので、まぁ今さら責めてもしょうがないよな。
「あ、大丈夫です。その…気にしないで下さい」
「えっでも…もし、その良かったら、ちゃんと責任はとるから…」
その言葉を聞いて、正直中々に殊勝な事だと思った。悠翔にしたら、別にそのままヤリ逃げしたって良いわけだしな。
しかし、彼女は三十八年間出来なかったのに、彼氏は一日で出来てしまいそうってどうなんだ? おかしいだろこれ?
釈然としない思考が頭を過り俺が微妙な顔をしていると、
「ゴメン。犯した男が彼氏なんて、嫌だよね」と、勝手に納得した悠翔が自らの提案を取り下げる。
そして、そのまま話を誤魔化すように、
「昨日はバカ浩太も、中に出しちゃったみたいだし――」
と、続け最後は心配するように、「本当に何かあったら相談してね?」と、付け加える。
「はい…」
そうだ。そう言えばそうだった。妊娠とかしちゃったら絶対にヤバいだろ。
健康保険も効かないだろうし、身分も証明できないし。これって、冗談抜きで命に関わるんじゃないか?
それにしても、親友と中出しセックスした女を彼女にしても良いっていうのは、悠翔も中々に甲斐性のある男だ。うわ、なにそれ惚れちゃいそう。
「俺ら、今日は大学の講義だから…結衣ちゃんは、この後どうする?」
と、再びソファに腰かけた悠翔が訊いてくる。
そしてそこまで話が進んで、俺はあることに気が付く。
そう、今まで何を食べても、何を飲んでも、どうすることもできなかったノドの渇きと空腹感が全く無くなっていたのだ。
原因は不明だが少し状況を整理したいし、それにこの状態なら死ぬこともなさそうだし一度家に帰っても大丈夫かなと思う。
「あー、はい。家に帰ろうかな…」
「じゃあ、交通費渡すから」
そういって、悠翔は財布から諭吉さんを2枚取り出してテーブルに置く。おい、いや待てタクシーで帰ったって、そんなにかからないだろう。
「あ、あの。そんなに交通費かからないです」
「いや、謝罪も込めてだから」
なるほど。そういう事か。まあ、それだったら逆に少ないような気もするが、こちらの言動にも問題はあったわけだし、これくらいが妥当なところかな。
「…有難うございます」
生活費もちょうど困っていたところだし、ここは有難くもらっておこう。
臨時収入ゲットだぜ!
「おい、浩太。そろそろ起きないと、講義に遅刻するぞ」
悠翔が声をかけたので、そういえば浩太はどこに、と思ったらベッドで隣で寝てたんだね。手繰り寄せたシーツの端から、頭が覗いているのが見える。
「起きないですね…」
俺の呟きに悠翔は苦笑しながらも、ソファから身軽に立ち上がりこちらに歩いて来てそのままシーツをバッとめくる。
――そして、固まった。
顔が見る見る真っ青になって目も見開いて、その尋常ならざる悠翔の様子に、嫌な予感を覚えた俺は反射的に状況を問う。
「…どうしました?」
「お、おい…浩太!?」
しかし悠翔はその質問に応えることなく、ゴクリとノドを鳴らし、そしてゆっくりと浩太の首筋に手を当ててから震えるように首を横に振った。
「…えっ…う、嘘…でしょ?」
そのジェスチャーって、死人に対してやるものだよね。こいつ昨日まで、セックス、ハッスルしまくってたよね。何で死んでるの? 持病でもあったの?
「脈もないし、息もしていない……体も冷たい」
「でも、昨日までは元気だったのに…何か病気でもあったんですか?」
「いや、そんな話聞いたこともない」
それなら、もしかして俺が原因か? 思い当たるフシと言ったら、確かに悠翔はゴムを付けていたが、浩太は付けていなかった。
実はこの体、やばい性病持ちなのか? だけど、即死性の高い性病って、なんだそれは? いや、それなら俺が先に死んでるか。
俺と悠翔は、浩太がいきなり死んだ事に動揺してしばらく言葉を失う。
「どうしよう…」
思わず出た俺の呟きに、
「まずは、警察に連絡しよう」と、悠翔は至極当然の結論を述べる。
「えっ…警察…」
警察を呼ばれれば、きっと色々と事情徴収されるだろう。そして今の俺はかなりイレギュラーな存在であり、どう身分を証明するべきなのか正直良い案が全く思い浮かばない。
すると絶句したこちらの様子に気が付いた悠翔が、
「もし都合が悪いなら俺の方で対応するから、結衣ちゃんは帰っていいよ」と、気を利かせてくれる。
きっとこいつは俺のことを家出少女と思っているから、その辺に不都合があるとでも思ったのだろう。俺の見た目もどこかのお嬢様みたいだしな。
それと悠翔自身も強姦っぽいことしちゃってるし、今の状況で警察にあれこれ聞かれるのは正直ちょっと居心地が悪いのだろう。
それなら、ここはお言葉に甘えてさっさと退散させてもらおうか。
目が覚めたら全てが夢だったら良いのに――。
そんな望みの薄い希望を抱きながらも、視界に入った様子から今までの事は夢ではなく、そこが自分の部屋でないことも改めて認識させられる。
周囲を確認するようにゆっくりとその身を起こしてから、自分の身体に視線をやると、ふっくらとした胸の先端は薄いピンクから少しだけ赤みを帯びた色に変わっていて、アソコにもチクチクとした痛みを覚える。
理由は簡単で経験がないにも関わらず、散々に凌辱された乳首も淫核も、空気が触れただけでもちょっとした痛みを感じるほどに腫れてしまっていたのだ。
まったく無理をしてくれたものだと、少しだけ男二人を恨めしく思う。
「結衣ちゃん。昨日は眠れた?」
声がした方に振り向くと、そこにはソファに座る悠翔の姿。俺は露出したままの自分の胸を見て、思わず慌ててシーツを手繰り寄せて身体を隠す。
すると悠翔はすぐに立ち上がり、
「昨日は…その…ゴメン。酒飲んでて、自制が聞かなかった」と、気まずそうに謝罪してから頭をスッと下げる。
反省されてももう処女は返ってこないだろうし、こちらも挑発するようなことを言ってしまったので、まぁ今さら責めてもしょうがないよな。
「あ、大丈夫です。その…気にしないで下さい」
「えっでも…もし、その良かったら、ちゃんと責任はとるから…」
その言葉を聞いて、正直中々に殊勝な事だと思った。悠翔にしたら、別にそのままヤリ逃げしたって良いわけだしな。
しかし、彼女は三十八年間出来なかったのに、彼氏は一日で出来てしまいそうってどうなんだ? おかしいだろこれ?
釈然としない思考が頭を過り俺が微妙な顔をしていると、
「ゴメン。犯した男が彼氏なんて、嫌だよね」と、勝手に納得した悠翔が自らの提案を取り下げる。
そして、そのまま話を誤魔化すように、
「昨日はバカ浩太も、中に出しちゃったみたいだし――」
と、続け最後は心配するように、「本当に何かあったら相談してね?」と、付け加える。
「はい…」
そうだ。そう言えばそうだった。妊娠とかしちゃったら絶対にヤバいだろ。
健康保険も効かないだろうし、身分も証明できないし。これって、冗談抜きで命に関わるんじゃないか?
それにしても、親友と中出しセックスした女を彼女にしても良いっていうのは、悠翔も中々に甲斐性のある男だ。うわ、なにそれ惚れちゃいそう。
「俺ら、今日は大学の講義だから…結衣ちゃんは、この後どうする?」
と、再びソファに腰かけた悠翔が訊いてくる。
そしてそこまで話が進んで、俺はあることに気が付く。
そう、今まで何を食べても、何を飲んでも、どうすることもできなかったノドの渇きと空腹感が全く無くなっていたのだ。
原因は不明だが少し状況を整理したいし、それにこの状態なら死ぬこともなさそうだし一度家に帰っても大丈夫かなと思う。
「あー、はい。家に帰ろうかな…」
「じゃあ、交通費渡すから」
そういって、悠翔は財布から諭吉さんを2枚取り出してテーブルに置く。おい、いや待てタクシーで帰ったって、そんなにかからないだろう。
「あ、あの。そんなに交通費かからないです」
「いや、謝罪も込めてだから」
なるほど。そういう事か。まあ、それだったら逆に少ないような気もするが、こちらの言動にも問題はあったわけだし、これくらいが妥当なところかな。
「…有難うございます」
生活費もちょうど困っていたところだし、ここは有難くもらっておこう。
臨時収入ゲットだぜ!
「おい、浩太。そろそろ起きないと、講義に遅刻するぞ」
悠翔が声をかけたので、そういえば浩太はどこに、と思ったらベッドで隣で寝てたんだね。手繰り寄せたシーツの端から、頭が覗いているのが見える。
「起きないですね…」
俺の呟きに悠翔は苦笑しながらも、ソファから身軽に立ち上がりこちらに歩いて来てそのままシーツをバッとめくる。
――そして、固まった。
顔が見る見る真っ青になって目も見開いて、その尋常ならざる悠翔の様子に、嫌な予感を覚えた俺は反射的に状況を問う。
「…どうしました?」
「お、おい…浩太!?」
しかし悠翔はその質問に応えることなく、ゴクリとノドを鳴らし、そしてゆっくりと浩太の首筋に手を当ててから震えるように首を横に振った。
「…えっ…う、嘘…でしょ?」
そのジェスチャーって、死人に対してやるものだよね。こいつ昨日まで、セックス、ハッスルしまくってたよね。何で死んでるの? 持病でもあったの?
「脈もないし、息もしていない……体も冷たい」
「でも、昨日までは元気だったのに…何か病気でもあったんですか?」
「いや、そんな話聞いたこともない」
それなら、もしかして俺が原因か? 思い当たるフシと言ったら、確かに悠翔はゴムを付けていたが、浩太は付けていなかった。
実はこの体、やばい性病持ちなのか? だけど、即死性の高い性病って、なんだそれは? いや、それなら俺が先に死んでるか。
俺と悠翔は、浩太がいきなり死んだ事に動揺してしばらく言葉を失う。
「どうしよう…」
思わず出た俺の呟きに、
「まずは、警察に連絡しよう」と、悠翔は至極当然の結論を述べる。
「えっ…警察…」
警察を呼ばれれば、きっと色々と事情徴収されるだろう。そして今の俺はかなりイレギュラーな存在であり、どう身分を証明するべきなのか正直良い案が全く思い浮かばない。
すると絶句したこちらの様子に気が付いた悠翔が、
「もし都合が悪いなら俺の方で対応するから、結衣ちゃんは帰っていいよ」と、気を利かせてくれる。
きっとこいつは俺のことを家出少女と思っているから、その辺に不都合があるとでも思ったのだろう。俺の見た目もどこかのお嬢様みたいだしな。
それと悠翔自身も強姦っぽいことしちゃってるし、今の状況で警察にあれこれ聞かれるのは正直ちょっと居心地が悪いのだろう。
それなら、ここはお言葉に甘えてさっさと退散させてもらおうか。
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