良識のある異世界生活を

Hochschuler

文字の大きさ
上 下
29 / 41
学園

29

しおりを挟む
かくしてリリーを含めた、装い新たな勉強会がスタートしたわけだが、意外にもリリーは全く今までの授業についていけてなく、故に帰結としてはシャーロットの肩の荷がより重くなるのみだった。そして今は、目頭を抑えるシャーロットの周りであまりの激務に間延びしている3人の姿があるのだった。
「あんたら……」
仕方がないだろ?だってあんなに難しいことを言われてもわからないのだから。
「嘘つきなさいよ。あんたらなら、ちゃんと復習しておけば余裕だったでしょうに」
「私は古代魔術しか知らないからな」
「だから何度も言うように現代魔術は古代魔術の応用だって――はぁ、まぁいいわ。確かに数学も基礎より応用のほうが難しいものね。問題は――マイケル、アル、あんたらよ」
「そう言ってもな。俺たちだって能力に限界があるんだよ」
「へぇ、この高校には入れたのに」
俺たちは口を噤む。そう、これを言ってしまうと高校の先生方に申しわけが立たないのだが、授業の内容よりも確実に高校入学テストの方が途方もなかったのである。そりゃそうだ。なぜなら青坊どもに現在の最先端の技術の論理的証明をさせたのだから。
「とりあえず今日は現代魔術だけでも終わらせるわよ」
瞬間、俺を含む3人は苦虫を潰したような顔になった。

時はすぎて定期テスト当日。
俺たちはテスト範囲のノートに齧り付きながら登校していた。
「いい?今日が正念場よ。今日さえ乗り越えられれば、あとは自由よ」
シャーロットに激励される。
シャーロット大先生のテスト勉強コースをやり切った俺たちは、まあそこそこに完璧なのだが、それでも漏れがあったら大変だとノートを確認しているのだ。
そんなシャーロット大先生は、毎日の復習の賜物なのか落ち着いているが。
ここでテストが催される教科を確認しよう。
まず一つめは国語。
これは、そりゃあこの高校に集う学徒はもとより優秀であるわけだし、さらにはこの高校横断でやるので、つまりこう言ってはなんだが、そのテストはこの高校の中間層をターゲットにしているため、当然一番上のクラスの俺たちにとっては生ぬるく、これは自信を持って完璧だと言える。
二つめが数学。
これも国語と同じだ。ただ、前も述べたように俺の脳は定理を証明したがるので、少し困ったくらいだ。
三つめが歴史。
これは頑張って暗記した。
四つめが外国語。
これは俺が元々文系脳だから余裕だった。
そして最後に、現代魔術。
これはレベルごとに分かれているため俺たちには厳しめのものが出される。どんなものかと言うと、ファイアボールの時、頭に描き出す術式を、例えばこうしたらどうなるかとかだ。現代魔術は事細かな操作ができるところに秀でていて、故にそのような問題が出されるのだが、それの難易度は尋常ではない。何故ならその一本一本の線に魔素の磁場みたいな力が宿っており、それの機微によってファイアボールを見る時、数百の、その磁場みたいな力を同時に計算しなくてはならないのだ。これがまだファイアボールなどと言う初級魔法だから良いものの、もっと上級魔法になるとその数は数万にも及ぶ。
まあ、さすがに上級魔法は出ないと思いたいが。
さあ、そんなことを説明しているともう高校に着いた。テストは直に始まる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...