良識のある異世界生活を

Hochschuler

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杓子定規

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学園に着いた。試験が始まる。期待に目を輝かせた児童どもは学園の洗練された設備に慨嘆を発し、辺りはどよめきに包まれている。そんな中、受付が始まった。僕は受験票を右手に持つとそれを受付に差し出す。
「確認いたしました」
長年の雑事だったのだろう、良い意味でも悪い意味でもすげない返をした受付は右手で受験会場の方を示した。この受験票は一次試験、学力試験をパスした人しか貰えない。だから次は二次試験、実技だ。何故一次試験の話をしなかったのかって?そりゃあ、16^(x^2+y)+16^(x+y^2)のx、yを求めろと言う問題を言われたところであんたらは当惑するだけだろう?僕だって勉強は好きではないし数学の問題としてその一問のみが出された時は困惑した。まあ、それを解いてみたいという数寄者もいるだろうからヒントを与えておくと、僕はそれを相加相乗平均の関係で解いた。間違っても因数分解しようとするなよ?堂々巡りに陥るから。国語はこの世界では有名な小説家のもので、文の解釈を問うものだった。もう一つは魔法で、例えば最近の魔術界では魔素間にもつれと呼ばれる相互関係を生み出すことで魔素のマイナスとプラスの状態を同時に表現しようと言う試みがあるのだが、そう言ったことについて聞かれた。前世でいう量子コンピュータみたいなものだ。まあ、一次試験の話はこれくらいにして、二次試験に移ろう。こんなことを考えている間に開けた場所に出た。

「只今より試験を始める!」
体長がゆうに2mを超えそうな、無骨な棍棒を持った大男が全体に響くような声でそう言うと、ざわめいていた会場は水を打ったように静かになった。衆目は大男に集まる。大男はまたあの大声で、今度は説明を始めた。
「今から魔術テストを始める!標的はあの的だ!」
大男が指した方には木で彫られた的があった。
「番号!00001番!前へ!」
試験が始まったらしい。
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