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死者と語りたかった者の末路②
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□□□
「冥道めいさんがゆうなの家に来てくれた時の配信を見てくれてたら分かると思うけど、ゆうなの住む階はほとんど霊界に取り込まれちゃってるの」
この日の幽幻ゆうなの配信は今までと違っていた。これまでは映像の全てにアニメ調になるようフィルターがかかっていたのだが、今回配信される映像は幽幻ゆうな以外の全てが実写のままだったからだ。
幽幻ゆうなが部屋から出た先の廊下は、既に薄暗く、苔や汚れのような闇が隅にはびこり、壁や天井の所々にヒビが入っていたりと、これまでの高級ホテル感があった雰囲気は鳴りを潜め、築何十年も経った公営住宅のような様相となっていた。
幽幻ゆうなはまず隣の家の扉を無造作に開けた。以前まで七尺二寸が住んでいた場所は、何も無かった。七尺二寸本人どころか、家具や生活用品といった彼女が住んでいた跡も綺麗さっぱり。まるで、初めから誰も住んでいなかったかのように。
「こことかこことか。霊界の住人がもう住み着いちゃってる。下手に干渉しなければ取り込まれる心配は無いかな」
幽幻ゆうなが通り過ぎる部屋、扉の向こうからは家族が楽しそうに団らんする声が聞こえてくる。しかし幽幻ゆうな曰く、一家心中や災害で犠牲になった家族が生前のように過ごしているらしい。そして、その日常に誘い込もうとしているとも。
角を曲がった先には漆黒の闇の塊が蠢いていた。幽幻ゆうなは廊下の端によってそれをやり過ごす。闇の中で血のように真っ赤に光る眼のような何かがせわしなく動かすソレは、やがて廊下の向こうへと去っていった。
「アレ、大家さんの自動掃除ロボット。警備ロボットもたまに来てくれるんだ。でもこのフロアだとああして見えちゃうの。おかしいよね。霊界のものが普通に見えるのに現世のものがまともに見えなくなっちゃうなんて」
一通り回った所で幽幻ゆうなはある家の前に立った。
そしてインターフォンを鳴らす。
幽幻ゆうなの隣人、座敷童こけしの家のを。
■■■
かつて、ある小さな町で悪魔崇拝という禁断の儀式が行われていたという噂が広まった。町の人々はその話を聞いて怖れ、その儀式がいかに恐ろしいものであるかを口々に語り合った。しかし、それは単なる噂に過ぎないと思われていた。
ある晩、町の外れに住む老婆が行方不明になった。彼女は以前から奇怪な言動が目立ち、周囲から避けられる存在だった。しかし、彼女が突如として姿を消すと、人々の間には不穏な空気が流れ始めた。
数日後、町の中心にある教会で悪臭が漂い、騒ぎが起こった。教会の中には老婆の死体が発見され、その周囲には奇妙な模様が描かれた呪術的な記号が見つかった。このことで、町の人々は悪魔崇拝の噂が本当であることを信じざるを得なくなったのだった。
驚愕した町の住人たちは警察に通報した。捜査が進む中で、教会の地下室から更なる恐怖が明らかになった。地下室には悪魔崇拝の儀式が行われていた痕跡があり、悪魔を崇拝する秘密結社が存在していたことが判明したのだ。
秘密結社の構成員は町の中心部で暗躍し、悪魔に生贄を捧げるなどの禁じられた儀式を行っていたのだ。さらに驚くべきことに、秘密結社のリーダーは町の名士であり、普段は誰もが尊敬する存在であったことが明らかになった。
町は混乱の中で、秘密結社を摘発しようと奮闘しましたが、結社は巧妙に隠匿されており、容易に見つけ出すことはできなかった。
結果として、秘密結社は町に根を張ったまま存在し続け、町の住人たちは悪魔崇拝の影に怯え続けることとなったのだった。
「冥道めいさんがゆうなの家に来てくれた時の配信を見てくれてたら分かると思うけど、ゆうなの住む階はほとんど霊界に取り込まれちゃってるの」
この日の幽幻ゆうなの配信は今までと違っていた。これまでは映像の全てにアニメ調になるようフィルターがかかっていたのだが、今回配信される映像は幽幻ゆうな以外の全てが実写のままだったからだ。
幽幻ゆうなが部屋から出た先の廊下は、既に薄暗く、苔や汚れのような闇が隅にはびこり、壁や天井の所々にヒビが入っていたりと、これまでの高級ホテル感があった雰囲気は鳴りを潜め、築何十年も経った公営住宅のような様相となっていた。
幽幻ゆうなはまず隣の家の扉を無造作に開けた。以前まで七尺二寸が住んでいた場所は、何も無かった。七尺二寸本人どころか、家具や生活用品といった彼女が住んでいた跡も綺麗さっぱり。まるで、初めから誰も住んでいなかったかのように。
「こことかこことか。霊界の住人がもう住み着いちゃってる。下手に干渉しなければ取り込まれる心配は無いかな」
幽幻ゆうなが通り過ぎる部屋、扉の向こうからは家族が楽しそうに団らんする声が聞こえてくる。しかし幽幻ゆうな曰く、一家心中や災害で犠牲になった家族が生前のように過ごしているらしい。そして、その日常に誘い込もうとしているとも。
角を曲がった先には漆黒の闇の塊が蠢いていた。幽幻ゆうなは廊下の端によってそれをやり過ごす。闇の中で血のように真っ赤に光る眼のような何かがせわしなく動かすソレは、やがて廊下の向こうへと去っていった。
「アレ、大家さんの自動掃除ロボット。警備ロボットもたまに来てくれるんだ。でもこのフロアだとああして見えちゃうの。おかしいよね。霊界のものが普通に見えるのに現世のものがまともに見えなくなっちゃうなんて」
一通り回った所で幽幻ゆうなはある家の前に立った。
そしてインターフォンを鳴らす。
幽幻ゆうなの隣人、座敷童こけしの家のを。
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かつて、ある小さな町で悪魔崇拝という禁断の儀式が行われていたという噂が広まった。町の人々はその話を聞いて怖れ、その儀式がいかに恐ろしいものであるかを口々に語り合った。しかし、それは単なる噂に過ぎないと思われていた。
ある晩、町の外れに住む老婆が行方不明になった。彼女は以前から奇怪な言動が目立ち、周囲から避けられる存在だった。しかし、彼女が突如として姿を消すと、人々の間には不穏な空気が流れ始めた。
数日後、町の中心にある教会で悪臭が漂い、騒ぎが起こった。教会の中には老婆の死体が発見され、その周囲には奇妙な模様が描かれた呪術的な記号が見つかった。このことで、町の人々は悪魔崇拝の噂が本当であることを信じざるを得なくなったのだった。
驚愕した町の住人たちは警察に通報した。捜査が進む中で、教会の地下室から更なる恐怖が明らかになった。地下室には悪魔崇拝の儀式が行われていた痕跡があり、悪魔を崇拝する秘密結社が存在していたことが判明したのだ。
秘密結社の構成員は町の中心部で暗躍し、悪魔に生贄を捧げるなどの禁じられた儀式を行っていたのだ。さらに驚くべきことに、秘密結社のリーダーは町の名士であり、普段は誰もが尊敬する存在であったことが明らかになった。
町は混乱の中で、秘密結社を摘発しようと奮闘しましたが、結社は巧妙に隠匿されており、容易に見つけ出すことはできなかった。
結果として、秘密結社は町に根を張ったまま存在し続け、町の住人たちは悪魔崇拝の影に怯え続けることとなったのだった。
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