配信者幽幻ゆうなはかく怪奇を語りき

福留しゅん

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栄光の体育館（表）

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「悪鬼彷徨う怪奇の世界からおこんばんは～。幽幻ゆうな、です！　今晩も徘徊者のみんなを霊界に引きずり込んじゃうぞ♪」

　今夜もまた幽幻ゆうなの配信が始まったのだが、またいつもとは違う場所からだった。広々とした空間、高い天井、明るい照明。そして中での音が響き渡る。そう、幽幻ゆうなは今体育館にいた。

「ここはマンション内の総合体育館だよ。バスケとかバドミントンの練習にも使われるし、たまに剣道の大会も開かれることがあるね。今ゆうなの後ろではバレーボールの練習試合をやってるよ」

　幽幻ゆうなはVdolである。そのため現実世界を映した配信でもリアルタイムで三次元モデルに変換される。練習試合に取り組む各選手もまたアニメ調に変換されていて、そのうちの一人はリスナーにも見覚えがあった。

　七尺二寸が天高く飛び上がってから放ったサーブはエグい角度で相手のコート内に突き刺さる。相手の選手は懸命に取り行こうと飛び込むも、中々ボールを打ち上げられないでいた。仕方無しとばかりにため息を漏らした七尺二寸はアンダーハンドサーブを放つ。

「七尺二寸さんがたまには見に来て、って誘ってくれたから見学に来たの。今日は賑やかな中でお届けするよ。まずは加藤良平さん（仮名）からの投稿を紹介するね」

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　町の中心に佇む古びた体育館。昼間は生徒たちの活気に満ち、スポーツの合宿やイベントが盛んに行われていた。しかし、夜になるとその体育館は別の顔を見せると噂されていた。

　ある日、学校のバスケットボール部の部員たちは遅い時間に体育館で練習をすることになった。誰もが楽しみにしていた夜の特別な練習。しかし、その夜の出来事は彼らの予想をはるかに超えるものとなったのだった。

　体育館のドアが閉まり、彼らは暗い中でシュートやドリブルの練習を始めました。しかし、徐々に異常な現象が起こり始めました。ボールが見えない何かによって跳ね返され、コート上には無数の影が揺れ動くようになったのだ。

　部員たちは驚きながらも、最初はそれを冗談だと思っていました。しかし、その影が次第に具体的な姿勢を取り始め、ボールを持っているように見えるものさえ出現した。彼らは目を疑いつつも、その存在が不気味なものであることを理解し始めたのだった。

　やがて影たちは彼らの周りを取り囲み、彼らのボールやアクションに反応しているかのように揺らめいた。彼らは驚きながらも、何か超自然な現象が起きているのだと認識し、練習をやめてその現象を観察し始めた。

　すると、影たちは徐々に透明化していき、次第に見えなくなっていった。彼らが立ち去ると同時に、体育館の中は再び静寂に包まれた。彼らは驚きと不安のまなざしを交わしながら、その晩の出来事を他の部員たちに伝えることにしたのだった。

　以後、バスケットボール部員たちは夜の体育館で異常な現象を見ることがあると噂し合った。その話は他の生徒や教職員たちにも広まり、体育館は夜な夜な異世界のような雰囲気に包まれるようになっていった。

　ある日、再びバスケットボール部員達が夜の体育館で練習をしていると、影たちがいつもと違う様子をみせた。なんと影たちはバスケットコートに立ち、各々がそれぞれのポジションに付いたのだ。

　そしてそこから始まったバスケットボールの試合は、影たちの勝利で終わった。それで何が起こるわけでもなく、次の日には同じように再び夜の体育館でバスケットボール部員たちを影が待ち構えていたのだ。部員は驚きと共に、その影が何かメッセージを伝えようとしているのではないかと感じた。

　とうとう部員たちが影たちに勝利すると、影たちが次第に透明になり、姿を見せなくなった。部員たちは感謝の意を込めて頭を下げた。その後、体育館では異常な現象はなくなり、生徒たちも安心して体育館を利用するようになったのだった。

　体育館の夜の異常現象は、何か未知の力が彼らに何かを伝えようとしていたのかもしれない。バスケットボール部員らの間でその夜の出来事は伝説となり、体育館は単なるスポーツ施設以上のものとして尊重されるようになった。

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「この影たちは一体何だったんだろうね。幽霊だったのか、チャンネルが違うだけでちゃんとそこにいるナニカだったのか。何にせよスポーツマンシップあふれるいい存在だったみたいね」

　幽幻ゆうなの後ろで行われる練習試合は、ほぼ蹂躙と化していた。七尺二寸もさることながら彼女のチームメイトはバラエティに富んでいながら誰もが優秀な選手で、対戦チームを寄せ付けていなかった。ダブルスコアどころではない点数さが広がっていった。

　対戦相手が可哀想になってくるほどの一方的な試合。しかし七尺二寸達は攻撃の手を緩めない。サーブやスパイクで相手選手自体を狙うことは決してしなかったが、根気をへし折る怒涛の勢いの攻撃を繰り出していた。

「じゃあ次は中村拓斗さん（仮名）からの投稿を紹介しちゃいます。えっと……」

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