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夏季休暇
テルミドール⑫・侍女同士の晩餐会
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ジャンヌもお母様もアランソン家の晩餐に出席するために不在、わたしはクロードさんやマダム・ドロテーと一緒になって夕食を取った。侍女とは言え一応客人扱いされているからか、オルレアン家で取る使用人用の食事よりやや豪華な内容だった。
「あの……マダム・ドロテー」
「何でございましょう、カトリーヌお嬢様?」
「その呼び方止めていただけませんか? わたしはジャンヌの気まぐれで雇われているだけ、ただのカトリーヌなんですから」
「でしたらそちらのマダム・クロードと同じように私めにも接していただければ。本来であれば私めの方が貴女様へと首を垂れる立場でございます」
「……えっと、ドロテーさん?」
「何でしょう、カトリーヌさん?」
オルレアンを訪ねた時もお母様付きの侍女であるマダム・ドロテー……もとい、ドロテーさんとはあまり言葉を交わさなかった。彼女が王都に移ってきても仕事仲間として会話してもこうして私的に話すのは初めてと言って良かった。
「……正直な所、オルレアンのお屋敷ではわたしってどう思われているんでしょう?」
「表現を包んだ方がいいですか? それとも包み隠さずに?」
「うっ、包み隠すとどうなるんですか?」
「そうですね。ジャンヌお嬢様の酔狂でしょうから「またか」と思われているのでは?」
ドロテーさんが言うにはジャンヌは幼い頃から聡明で落ち着いていて、大人びていたんだそうだ。私が設定した悪役令嬢の幼少期と印象が大分違うのは、ジャンヌのやり直しは『双子座』の舞台になる期間だけじゃあなくて生まれた当初から、になるのか?
貴族令嬢の鏡とまで讃えられたジャンヌは影を薄くして他の人とあまり関わりたがっていなかったらしい。それでいて周りが驚くような奇抜な行動を取る事が多かったんだとか。木登りだったり釣りだったり剪定を手伝ったり挙句雪だるまを作ったり。
そんな公爵令嬢としては変人って印象を抱かれたジャンヌが自分とよく似た貧乏娘を目にしたんだ。放っておく筈はない。手元に置くのも自分色に染めたいんだとか玩具にしたいんだとか様々に憶測が飛び交っている。
何にせよジャンヌならわたしを雇っても不思議じゃあない、って認識らしい。
「それで、包み隠さなかったら?」
「奥方様が散々仰っていた『カトリーヌ』が本当にいらっしゃった、ですが?」
お母様はジャンヌの双子の妹を手放して精神的に深い傷を負ったせいで心を病んだ。もう一人の娘がいるもんだと振舞うからか静養を理由にオルレアンの地に半ば隠居する形で移された。旦那様がそんな娘などいないと断じるものだから、使用人の方々は死産したと思っていたらしい。
ところがお母様の妄想に過ぎなかった『カトリーヌ』をジャンヌが連れてきた。しかも腹違いの妹よりも親しげに接するものだから、もしかしてとは思ったらしい。マダム・マヌエラやクロードさんのわたしに接する態度も判断材料だったんだとか。
決定打はお母様の回復。夢から覚めたお母様の前から空想上の『カトリーヌ』が消えて、代わりにわたしを可愛がるようになった。それで確信したんだそうだ。わたしがお母様が言っていたもう一人の娘なんだって。
「……嘘、使用人の方々からもそう思われているんですか?」
「旦那様が何も仰っておりませんし、奥方様がカトリーヌさんをただの女の子として可愛がっていますから。私共は何を言う立場ではございません」
公然の秘密って奴じゃないですかやだー! オルレアンのお屋敷で働いている時に指導は受けるけれど理不尽に怒鳴られたりはしなかったから、てっきり優しい職場だなあとか能天気に感じていた自分が馬鹿みたいだ。
「……あの、ドロテーさん。お母様について聞いてもいいですか?」
「はい、問題ありません。何でもお聞きください」
ちなみにわたしは今でも公然の場ではお母様をお母様と呼んでいないけれど、お母様付きの侍女であるドロテーさんの前では取り繕っていない。既にオルレアン邸のみんなにはばれているし、そのうちみんなの前でも呼ぶようになるんだろうか?
「わたしがオルレアンに行く前のお母様をどう思われていたんですか?」
どうせこの話題が出たんだからとわたしは前々から気になっていた疑問をドロテーさんにぶつける事にした。妄想上の娘を愛でるお母様の姿はさぞ奇異に見えたに違いない。ドロテーさんは一瞬だけ眉をひそめたものの、すぐに表情を正してわたしを真摯に見つめてきた。
「身分や立場とは関係無く一人の女性として言わせていただくなら、おいたわしやに尽きます」
「おいたわしい、ですか?」
「はい」
ドロテーさんから感じられた感情は憐れみでも悔しさでもなく、悲しみだった。彼女は仕える主人を想って悲しんでいるんだ。と同時にテーブルの上に置いた手はいつの間にか拳を握りしめていた。主に対して何も出来なかった自分の無力さを恨むかのように。
「奥方様が最も信頼を置く侍女にカトリーヌさんを託したと発覚しないよう、ご自身がその手にかけたと記憶を改ざんしたとは聞いていますか?」
「ええ、この間オルレアンに行った際に」
「奥方様にとって誤算だったのは、ご自身が偽りの真実に耐え切れなかった点でしょう。立派なお方であられた奥方様が現実から目を背けて空想上の娘に縋るお姿は、痛ましいほど見ていられませんでした」
そうなるのも覚悟の上だったかもしれませんが、とドロテーさんは付け加えた。
結果的に夢の住人になったお母様から『カトリーヌ』の生存を疑う者は誰一人としていなかった。父親の旦那様や実の姉であるジャンヌすらも。一方そのおかげでもう一人の公爵令嬢、つまりわたしは無事生き延びている。
お母様の覚悟と決意が今のわたしに結びついているんだとしたら、胸が熱くなる。
「ただ、多くの者がいつまで悲劇を引きずっているんだと思っていたのも事実です。何せカトリーヌさんが生きていると知っていたのはごく少数。多くの使用人の目からは何もせずに自分の世界に浸って安穏と過ごすようにしか見えていませんから」
やっぱり、か。そう思われてしまうのはどうしようもないかな。けれどドロテーさんのような理解者が一人だけでもお母様の傍にいたのは僥倖と言っていい。それだけでもお母様の苦しみは凄く緩和されていただろうから。
しみじみと思っていたわたしとは対照的にクロードさんは僅かに目を細めた。
「? 失礼、マダム・ドロテー。私からも質問しても?」
「ええ、構いませんよマダム・クロード」
「カトリーヌさんを逃がした一件をエルマントルド奥様とマダム以外にどなたかご存じだったのですか?」
「知る者が多い程発覚する危険性が高まりますから、私とルイーズで計画を練りました。本来なら私が事を成すべきだったのですが、ルイーズが志願したので」
ルイーズとは当時ドロテーさんと共にお母様に仕えていた侍女で、お母さんの友人でもある。つまりは当時赤子だったわたしをオルレアン家から連れ出してお母さんに託した張本人になる。闇の申し子として生まれたせいで処理されそうだったわたしを、だ。
ただ問題が一つ残る。公爵家から闇属性持ちが生まれたと知れ渡れば破滅は必至。旦那様からすれば真実を知る者は最小限に留めたい筈だ。お母様は気が触れたの一言で済んでも、ドロテーさんが健在なのはどうしてだろう?
「それを知っているのは旦那様と奥方様、そして旦那様が信頼するマダム・マヌエラのみとなっています。属性を確認したオルレアン家お抱えの魔導師すら処……とても遠い場所への暇を申し付けられましたね」
「ではマダム・ドロテーが把握しているのは?」
「奥方様より相談を受けたからです。旦那様はわたしが知っているとは把握しておりません」
今処理って言いそうになったよね? つまり口封じされたって事だよね?
お母様は旦那様から『カトリーヌ』を亡き者にするよう命じられた。公爵家に嫁いだ女としての自分と母親としての自分で板挟みになってしまい、耐え切れなくなって自分に仕える侍女に打ち明けた、か。
厄介事に巻き込まれてしまったと少しは恨んだのかと思ったけれど、ドロテーさんはきっぱりと否定してきた。むしろそのような深刻な、そして重大な悩みを打ち明けてくれた事を感謝する、と。そしてその信頼に答えなくてはと使命感を新たにしたんだとか。
「何も知らない私めが金銭目的で赤子を攫う、としようとしました。ところが私共のいた奥方様の部屋にルイーズが乱入した挙句、自分が山奥で処分した事にしてこっそり知り合いに預ける、と言ってきたんです」
自分は侍女の端くれだけれどドロテーさんはお母様を支えないと駄目だ、とルイーズは強く主張して、とうとうドロテーさんの方が折れた。かくしてわたしはドロテーさん経由でお母さんに託されて今に至る。
けれど、主への忠義って美談で話は終わらなかった。
「それで、カトリーヌさんを処理したと報告したルイーズという方は?」
「報告する暇はありませんでしたよ。……郊外で物言わぬ状態となって発見されましたから」
現実は想像を超えて非情だったから。
「あの……マダム・ドロテー」
「何でございましょう、カトリーヌお嬢様?」
「その呼び方止めていただけませんか? わたしはジャンヌの気まぐれで雇われているだけ、ただのカトリーヌなんですから」
「でしたらそちらのマダム・クロードと同じように私めにも接していただければ。本来であれば私めの方が貴女様へと首を垂れる立場でございます」
「……えっと、ドロテーさん?」
「何でしょう、カトリーヌさん?」
オルレアンを訪ねた時もお母様付きの侍女であるマダム・ドロテー……もとい、ドロテーさんとはあまり言葉を交わさなかった。彼女が王都に移ってきても仕事仲間として会話してもこうして私的に話すのは初めてと言って良かった。
「……正直な所、オルレアンのお屋敷ではわたしってどう思われているんでしょう?」
「表現を包んだ方がいいですか? それとも包み隠さずに?」
「うっ、包み隠すとどうなるんですか?」
「そうですね。ジャンヌお嬢様の酔狂でしょうから「またか」と思われているのでは?」
ドロテーさんが言うにはジャンヌは幼い頃から聡明で落ち着いていて、大人びていたんだそうだ。私が設定した悪役令嬢の幼少期と印象が大分違うのは、ジャンヌのやり直しは『双子座』の舞台になる期間だけじゃあなくて生まれた当初から、になるのか?
貴族令嬢の鏡とまで讃えられたジャンヌは影を薄くして他の人とあまり関わりたがっていなかったらしい。それでいて周りが驚くような奇抜な行動を取る事が多かったんだとか。木登りだったり釣りだったり剪定を手伝ったり挙句雪だるまを作ったり。
そんな公爵令嬢としては変人って印象を抱かれたジャンヌが自分とよく似た貧乏娘を目にしたんだ。放っておく筈はない。手元に置くのも自分色に染めたいんだとか玩具にしたいんだとか様々に憶測が飛び交っている。
何にせよジャンヌならわたしを雇っても不思議じゃあない、って認識らしい。
「それで、包み隠さなかったら?」
「奥方様が散々仰っていた『カトリーヌ』が本当にいらっしゃった、ですが?」
お母様はジャンヌの双子の妹を手放して精神的に深い傷を負ったせいで心を病んだ。もう一人の娘がいるもんだと振舞うからか静養を理由にオルレアンの地に半ば隠居する形で移された。旦那様がそんな娘などいないと断じるものだから、使用人の方々は死産したと思っていたらしい。
ところがお母様の妄想に過ぎなかった『カトリーヌ』をジャンヌが連れてきた。しかも腹違いの妹よりも親しげに接するものだから、もしかしてとは思ったらしい。マダム・マヌエラやクロードさんのわたしに接する態度も判断材料だったんだとか。
決定打はお母様の回復。夢から覚めたお母様の前から空想上の『カトリーヌ』が消えて、代わりにわたしを可愛がるようになった。それで確信したんだそうだ。わたしがお母様が言っていたもう一人の娘なんだって。
「……嘘、使用人の方々からもそう思われているんですか?」
「旦那様が何も仰っておりませんし、奥方様がカトリーヌさんをただの女の子として可愛がっていますから。私共は何を言う立場ではございません」
公然の秘密って奴じゃないですかやだー! オルレアンのお屋敷で働いている時に指導は受けるけれど理不尽に怒鳴られたりはしなかったから、てっきり優しい職場だなあとか能天気に感じていた自分が馬鹿みたいだ。
「……あの、ドロテーさん。お母様について聞いてもいいですか?」
「はい、問題ありません。何でもお聞きください」
ちなみにわたしは今でも公然の場ではお母様をお母様と呼んでいないけれど、お母様付きの侍女であるドロテーさんの前では取り繕っていない。既にオルレアン邸のみんなにはばれているし、そのうちみんなの前でも呼ぶようになるんだろうか?
「わたしがオルレアンに行く前のお母様をどう思われていたんですか?」
どうせこの話題が出たんだからとわたしは前々から気になっていた疑問をドロテーさんにぶつける事にした。妄想上の娘を愛でるお母様の姿はさぞ奇異に見えたに違いない。ドロテーさんは一瞬だけ眉をひそめたものの、すぐに表情を正してわたしを真摯に見つめてきた。
「身分や立場とは関係無く一人の女性として言わせていただくなら、おいたわしやに尽きます」
「おいたわしい、ですか?」
「はい」
ドロテーさんから感じられた感情は憐れみでも悔しさでもなく、悲しみだった。彼女は仕える主人を想って悲しんでいるんだ。と同時にテーブルの上に置いた手はいつの間にか拳を握りしめていた。主に対して何も出来なかった自分の無力さを恨むかのように。
「奥方様が最も信頼を置く侍女にカトリーヌさんを託したと発覚しないよう、ご自身がその手にかけたと記憶を改ざんしたとは聞いていますか?」
「ええ、この間オルレアンに行った際に」
「奥方様にとって誤算だったのは、ご自身が偽りの真実に耐え切れなかった点でしょう。立派なお方であられた奥方様が現実から目を背けて空想上の娘に縋るお姿は、痛ましいほど見ていられませんでした」
そうなるのも覚悟の上だったかもしれませんが、とドロテーさんは付け加えた。
結果的に夢の住人になったお母様から『カトリーヌ』の生存を疑う者は誰一人としていなかった。父親の旦那様や実の姉であるジャンヌすらも。一方そのおかげでもう一人の公爵令嬢、つまりわたしは無事生き延びている。
お母様の覚悟と決意が今のわたしに結びついているんだとしたら、胸が熱くなる。
「ただ、多くの者がいつまで悲劇を引きずっているんだと思っていたのも事実です。何せカトリーヌさんが生きていると知っていたのはごく少数。多くの使用人の目からは何もせずに自分の世界に浸って安穏と過ごすようにしか見えていませんから」
やっぱり、か。そう思われてしまうのはどうしようもないかな。けれどドロテーさんのような理解者が一人だけでもお母様の傍にいたのは僥倖と言っていい。それだけでもお母様の苦しみは凄く緩和されていただろうから。
しみじみと思っていたわたしとは対照的にクロードさんは僅かに目を細めた。
「? 失礼、マダム・ドロテー。私からも質問しても?」
「ええ、構いませんよマダム・クロード」
「カトリーヌさんを逃がした一件をエルマントルド奥様とマダム以外にどなたかご存じだったのですか?」
「知る者が多い程発覚する危険性が高まりますから、私とルイーズで計画を練りました。本来なら私が事を成すべきだったのですが、ルイーズが志願したので」
ルイーズとは当時ドロテーさんと共にお母様に仕えていた侍女で、お母さんの友人でもある。つまりは当時赤子だったわたしをオルレアン家から連れ出してお母さんに託した張本人になる。闇の申し子として生まれたせいで処理されそうだったわたしを、だ。
ただ問題が一つ残る。公爵家から闇属性持ちが生まれたと知れ渡れば破滅は必至。旦那様からすれば真実を知る者は最小限に留めたい筈だ。お母様は気が触れたの一言で済んでも、ドロテーさんが健在なのはどうしてだろう?
「それを知っているのは旦那様と奥方様、そして旦那様が信頼するマダム・マヌエラのみとなっています。属性を確認したオルレアン家お抱えの魔導師すら処……とても遠い場所への暇を申し付けられましたね」
「ではマダム・ドロテーが把握しているのは?」
「奥方様より相談を受けたからです。旦那様はわたしが知っているとは把握しておりません」
今処理って言いそうになったよね? つまり口封じされたって事だよね?
お母様は旦那様から『カトリーヌ』を亡き者にするよう命じられた。公爵家に嫁いだ女としての自分と母親としての自分で板挟みになってしまい、耐え切れなくなって自分に仕える侍女に打ち明けた、か。
厄介事に巻き込まれてしまったと少しは恨んだのかと思ったけれど、ドロテーさんはきっぱりと否定してきた。むしろそのような深刻な、そして重大な悩みを打ち明けてくれた事を感謝する、と。そしてその信頼に答えなくてはと使命感を新たにしたんだとか。
「何も知らない私めが金銭目的で赤子を攫う、としようとしました。ところが私共のいた奥方様の部屋にルイーズが乱入した挙句、自分が山奥で処分した事にしてこっそり知り合いに預ける、と言ってきたんです」
自分は侍女の端くれだけれどドロテーさんはお母様を支えないと駄目だ、とルイーズは強く主張して、とうとうドロテーさんの方が折れた。かくしてわたしはドロテーさん経由でお母さんに託されて今に至る。
けれど、主への忠義って美談で話は終わらなかった。
「それで、カトリーヌさんを処理したと報告したルイーズという方は?」
「報告する暇はありませんでしたよ。……郊外で物言わぬ状態となって発見されましたから」
現実は想像を超えて非情だったから。
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