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Season 2 キャサリン・ランカスター
処刑まであと19日(前)
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「暇だー」
超悲報。やることがなくて退屈で死にそう。
投獄されてからようやく10日ぐらい過ぎた。これまで特に変わったことがない。監視は無愛想なおじさんだし、お隣さんとは壁が分厚いせいで会話出来そうにない。たまに来る聖職者はおじいさん。こりゃあヴィクトリア様みたいに親睦を深めるなんて無理ってものだ。
それに、かろうじて思い出せる『白き島2』では『白き島1』と違って監獄は舞台になってなかった筈。なら追加の攻略対象者もいないでしょうし、ヴィクトリア様みたいにやんごとなき方々を攻略するなんて不可能でしょう。
そんなわけで私がやることと言えば、退屈しのぎに体動かしたり物思いにふけったり惰眠を貪ったりで、怠惰な生活に甘んじている。多分、アシュリーと会話出来る状態じゃなかったら精神的に病んでたかもしれない。
「……でも、決して心休まるわけじゃないのよね」
退屈イコール進展なし。私の処刑日は刻一刻と迫っている。
このまま事態を覆せなかったら私は一巻の終わりだ。
そんな理不尽な仕打ちで人生を終えるなんて、まっぴらごめんよ。
そもそも、『白き島2』において悪役令嬢のバッドエンドを覆す手立ては全く無い。作中の山場である断罪イベントが終わったら悪役令嬢はナレ死してエンディングに突入、要するにざまぁなんか最低限に済ませ、幸せを掴んだ主人公を全面に出す構成になっているわけよ。
『白き島1』の悪役令嬢だった筈のヴィクトリア様は追加攻略対象者を攻略するってウルトラCで運命を変えてみせた。一方、獄中に攻略対象者のいない『白き島2』ではその手が使えない。つまり原作を根底から打ち壊すしかないのだけれど……。
「おかしい。死亡フラグがいつの間にか立てられた件」
そもそも、現状が『白き島2』に沿ってないのよねー。
だって悪役令嬢らしい真似なんてした覚えもないし、別に泥棒猫になったシャーロットに嫉妬しちゃいなかったし、正式な手続きを経て婚約解消してくれたなら喜んで彼女達を祝福したわよ。
フィリップ様との婚約関係が維持されたのも、シャーロットが虐げられたのも、まるで私を悪役令嬢にする強制力が働いたとしか思えない。
「とはいっても、私は今この世界で生きている。ここは決してゲームとか漫画の中の世界じゃないわ。神とかシナリオだなんて、馬鹿馬鹿しい」
つまり、誰かが『白き島2』と同じような結末になるよう仕組んでいる、って私は読んでいる。まあ、どうせ十中八九あのヒロインことシャーロットなんでしょうけれど、それでも説明がつかない事象を解明しないことには手が打てない。
何故、攻略対象者やその周囲の者達は、シャーロットを無条件で信じたのか?
『白き島2』の知識をひっくるめても、フィリップ様を初めとする攻略対象者の方々は色ボケするような馬鹿の集まりでは決してない。彼らは誰もがアルビオン王国の未来を背負うに相応しい優秀で素晴らしい方ばかりだった。『白き島2』で悪役令嬢を断罪したのは積み重ねた悪行があったからだものね。
「そうは言ってもなぁ。あのシャーロットが攻略対象者を魅了したぁ~?」
フレデリック様やジョージの報告はアシュリーを通じて私にも届けられている。シャーロットが魅了や誘惑の類としか思えない真似で人々を虜にしている、と二人は疑っているようね。
いや、乙女ゲーでそんな恋愛度を簡単に操作出来るわけ無いじゃん。
魅了の魔法とか媚薬みたいなドーピングを実装する乙女ゲーなんて非難殺到でしょう。だって乙女ゲーは恋愛を育む過程を楽しむ娯楽であって、決して添い遂げたって結末だけ大事なわけじゃないから。異論は認めない。
だけど、この世界に人の心を掴む手段がないわけでもない。
だってここは剣と魔法の世界。
魔物もいるし、聖女もいるし、魔法も奇跡もある。
魅了や支配の魔法があったって不思議じゃない。
超悲報。やることがなくて退屈で死にそう。
投獄されてからようやく10日ぐらい過ぎた。これまで特に変わったことがない。監視は無愛想なおじさんだし、お隣さんとは壁が分厚いせいで会話出来そうにない。たまに来る聖職者はおじいさん。こりゃあヴィクトリア様みたいに親睦を深めるなんて無理ってものだ。
それに、かろうじて思い出せる『白き島2』では『白き島1』と違って監獄は舞台になってなかった筈。なら追加の攻略対象者もいないでしょうし、ヴィクトリア様みたいにやんごとなき方々を攻略するなんて不可能でしょう。
そんなわけで私がやることと言えば、退屈しのぎに体動かしたり物思いにふけったり惰眠を貪ったりで、怠惰な生活に甘んじている。多分、アシュリーと会話出来る状態じゃなかったら精神的に病んでたかもしれない。
「……でも、決して心休まるわけじゃないのよね」
退屈イコール進展なし。私の処刑日は刻一刻と迫っている。
このまま事態を覆せなかったら私は一巻の終わりだ。
そんな理不尽な仕打ちで人生を終えるなんて、まっぴらごめんよ。
そもそも、『白き島2』において悪役令嬢のバッドエンドを覆す手立ては全く無い。作中の山場である断罪イベントが終わったら悪役令嬢はナレ死してエンディングに突入、要するにざまぁなんか最低限に済ませ、幸せを掴んだ主人公を全面に出す構成になっているわけよ。
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「おかしい。死亡フラグがいつの間にか立てられた件」
そもそも、現状が『白き島2』に沿ってないのよねー。
だって悪役令嬢らしい真似なんてした覚えもないし、別に泥棒猫になったシャーロットに嫉妬しちゃいなかったし、正式な手続きを経て婚約解消してくれたなら喜んで彼女達を祝福したわよ。
フィリップ様との婚約関係が維持されたのも、シャーロットが虐げられたのも、まるで私を悪役令嬢にする強制力が働いたとしか思えない。
「とはいっても、私は今この世界で生きている。ここは決してゲームとか漫画の中の世界じゃないわ。神とかシナリオだなんて、馬鹿馬鹿しい」
つまり、誰かが『白き島2』と同じような結末になるよう仕組んでいる、って私は読んでいる。まあ、どうせ十中八九あのヒロインことシャーロットなんでしょうけれど、それでも説明がつかない事象を解明しないことには手が打てない。
何故、攻略対象者やその周囲の者達は、シャーロットを無条件で信じたのか?
『白き島2』の知識をひっくるめても、フィリップ様を初めとする攻略対象者の方々は色ボケするような馬鹿の集まりでは決してない。彼らは誰もがアルビオン王国の未来を背負うに相応しい優秀で素晴らしい方ばかりだった。『白き島2』で悪役令嬢を断罪したのは積み重ねた悪行があったからだものね。
「そうは言ってもなぁ。あのシャーロットが攻略対象者を魅了したぁ~?」
フレデリック様やジョージの報告はアシュリーを通じて私にも届けられている。シャーロットが魅了や誘惑の類としか思えない真似で人々を虜にしている、と二人は疑っているようね。
いや、乙女ゲーでそんな恋愛度を簡単に操作出来るわけ無いじゃん。
魅了の魔法とか媚薬みたいなドーピングを実装する乙女ゲーなんて非難殺到でしょう。だって乙女ゲーは恋愛を育む過程を楽しむ娯楽であって、決して添い遂げたって結末だけ大事なわけじゃないから。異論は認めない。
だけど、この世界に人の心を掴む手段がないわけでもない。
だってここは剣と魔法の世界。
魔物もいるし、聖女もいるし、魔法も奇跡もある。
魅了や支配の魔法があったって不思議じゃない。
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