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Season 2 キャサリン・ランカスター
処刑まであと25日(前)
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「んで、何で俺がこんなことしなきゃいけないんっすか?」
「我儘言ってないでキリキリ働く。その分特別な報酬はあげてるでしょう?」
「わりにあわねー。もっと厚遇してもいいと思うんっすけど?」
「無事私が危機を乗り切ったら叶えてあげるわ」
聖女って立場の存在がいる時点でお察しの通り、『白き島』は剣と魔法の世界が舞台になっている。
ただし、誰も彼もがそうホイホイ使えるわけじゃない。
魔法を使う才能はとても希少で、貴族の中には一族だけで血を繋いでその質を保とうとしたり、突如その才能を持つ者が生まれたら奴隷だろうと養子にして迎え入れる家もある。爵位の高い家ほど才能豊かな子が生まれやすいのはこうした血統を大事にしているからだ。
その中でも聖女は神の奇蹟を与えられた存在だとされている。
歴史上例えば絶体絶命の危機を救った才女を聖女だと呼んだり、献身的に奉仕活動に従事した修道女を聖女と認定したりもするけれど、本物の聖女になる条件は唯一つ、死者蘇生を成すことだ。
シャーロットはこの奇蹟を成し遂げた本物。だから彼女は男爵令嬢でありながらその立場は特別だったのよね。
閑話休題。
ランカスター家は風に特化した魔法の使い手が多い。ただヴィクトリアによってもたらされた物理法則って情報を解明することで精度が飛躍的に上昇。今や大気に関係する事象ならやりたい放題出来るぐらいにまで発展させている。
そしてヴィクトリアの遺産と私がかろうじて覚えてた前世の知識を活用して完成させたのが通信魔法なのだー!
原理は簡単、耳飾りに魔法の術式を書き込み、耳元に『イヤホン』に相当する魔法陣を出現させる。あとは魔法陣を『ケータイ』の『スピーカー』と同じように振動させればあら不思議、私の声を遠く離れた相手に伝えられる、ってわけ。
(この耳飾りの制作で私のお小遣い数年分が吹っ飛んだのはご愛嬌だけどね)
この魔法を開発した経緯は私がヴィクトリアと同じように監獄行きになった時に備えるため。ヴィクトリアみたいに彼女に好意を抱いた人達が動いて彼女を救った、なんてお姫様展開を期待するだけなんてまっぴらごめんだもの。
問題は、この世紀の発明を誰に託すか、だったわね。
何せ侯爵家にも聖女信者が潜んでいる惨状、迂闊に漏らせばそこからフィリップ様にバレかねないもの。
かと言って家族との連絡なら伝声管で充分だし、アシュリーを馬車馬のようにこき使いたくはない。私の意のままに動く従者のような存在が便利だと考えた。
と、言ったわけで、私はアシュリーの弟のジョージ、君に決めた!
「くっそー。お嬢様が妙に俺に優しくする後はいつも大変だ」
「それでも私のためにキリキリ働いてくれるジョージは好きよ」
「へーへー、ありがとうごぜーやす偉大なるお嬢様」
「キャ・サ・リン。もっと愛を込めて!」
ジョージはアシュリーと共に我がランカスター家に仕えている。何だかんだで私の我儘に付き合ってくれるのが気に入ったので、私専属の従者にしている。口の悪さは彼と打ち解けた後に私が命じてそうさせている。
召使いみたいにこき使っているけれど、ジョージはとても優秀だ。一般教養は身につけているし、私が悪いことに手を染めようとすると咎めてくれるし。あと喧嘩が強いから護衛代わりにもなってるし地味に顔がいいし、きっと異性からモテモテでしょうね。
念のために思い出しておくと、彼は『白き島2』の攻略対象者じゃなかった。そんな悪役令嬢の従者ルートなんて覚えが無いし、五人いる攻略対象者達は皆フィリップ様に同調してたって記憶してるし。
ただ、『白き島1』ではアペンド版で攻略対象者が追加になってた……ハズ。『白き島2』のアペンド版は販売されていなかったけれど、前世の私の知らぬ間に発売されてたかもしれない。その辺りはもう全く自信がない。
(文字が書けるようになった時にはもうあやふやだったしなぁ。しょうがない)
ただ、悪役令嬢の従者なんておいしい立場の登場人物が攻略出来ないわけがない。これは隣国王子のフレデリック様にも言えること。私が制作者だったら絶対に彼らを彼氏に出来るようにするに違いない。
「我儘言ってないでキリキリ働く。その分特別な報酬はあげてるでしょう?」
「わりにあわねー。もっと厚遇してもいいと思うんっすけど?」
「無事私が危機を乗り切ったら叶えてあげるわ」
聖女って立場の存在がいる時点でお察しの通り、『白き島』は剣と魔法の世界が舞台になっている。
ただし、誰も彼もがそうホイホイ使えるわけじゃない。
魔法を使う才能はとても希少で、貴族の中には一族だけで血を繋いでその質を保とうとしたり、突如その才能を持つ者が生まれたら奴隷だろうと養子にして迎え入れる家もある。爵位の高い家ほど才能豊かな子が生まれやすいのはこうした血統を大事にしているからだ。
その中でも聖女は神の奇蹟を与えられた存在だとされている。
歴史上例えば絶体絶命の危機を救った才女を聖女だと呼んだり、献身的に奉仕活動に従事した修道女を聖女と認定したりもするけれど、本物の聖女になる条件は唯一つ、死者蘇生を成すことだ。
シャーロットはこの奇蹟を成し遂げた本物。だから彼女は男爵令嬢でありながらその立場は特別だったのよね。
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ランカスター家は風に特化した魔法の使い手が多い。ただヴィクトリアによってもたらされた物理法則って情報を解明することで精度が飛躍的に上昇。今や大気に関係する事象ならやりたい放題出来るぐらいにまで発展させている。
そしてヴィクトリアの遺産と私がかろうじて覚えてた前世の知識を活用して完成させたのが通信魔法なのだー!
原理は簡単、耳飾りに魔法の術式を書き込み、耳元に『イヤホン』に相当する魔法陣を出現させる。あとは魔法陣を『ケータイ』の『スピーカー』と同じように振動させればあら不思議、私の声を遠く離れた相手に伝えられる、ってわけ。
(この耳飾りの制作で私のお小遣い数年分が吹っ飛んだのはご愛嬌だけどね)
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問題は、この世紀の発明を誰に託すか、だったわね。
何せ侯爵家にも聖女信者が潜んでいる惨状、迂闊に漏らせばそこからフィリップ様にバレかねないもの。
かと言って家族との連絡なら伝声管で充分だし、アシュリーを馬車馬のようにこき使いたくはない。私の意のままに動く従者のような存在が便利だと考えた。
と、言ったわけで、私はアシュリーの弟のジョージ、君に決めた!
「くっそー。お嬢様が妙に俺に優しくする後はいつも大変だ」
「それでも私のためにキリキリ働いてくれるジョージは好きよ」
「へーへー、ありがとうごぜーやす偉大なるお嬢様」
「キャ・サ・リン。もっと愛を込めて!」
ジョージはアシュリーと共に我がランカスター家に仕えている。何だかんだで私の我儘に付き合ってくれるのが気に入ったので、私専属の従者にしている。口の悪さは彼と打ち解けた後に私が命じてそうさせている。
召使いみたいにこき使っているけれど、ジョージはとても優秀だ。一般教養は身につけているし、私が悪いことに手を染めようとすると咎めてくれるし。あと喧嘩が強いから護衛代わりにもなってるし地味に顔がいいし、きっと異性からモテモテでしょうね。
念のために思い出しておくと、彼は『白き島2』の攻略対象者じゃなかった。そんな悪役令嬢の従者ルートなんて覚えが無いし、五人いる攻略対象者達は皆フィリップ様に同調してたって記憶してるし。
ただ、『白き島1』ではアペンド版で攻略対象者が追加になってた……ハズ。『白き島2』のアペンド版は販売されていなかったけれど、前世の私の知らぬ間に発売されてたかもしれない。その辺りはもう全く自信がない。
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ただ、悪役令嬢の従者なんておいしい立場の登場人物が攻略出来ないわけがない。これは隣国王子のフレデリック様にも言えること。私が制作者だったら絶対に彼らを彼氏に出来るようにするに違いない。
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