捨てられた僕を飼うけだものは

おさかな

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おくすりのせい

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 屋敷での生活は、とても裕福なものだった。目が覚めたら温かいお風呂に入らせてもらい、着ていた服は綺麗に繕われ、メイドとしての清潔な白いフリルエプロンが用意されていた。家ではいつも残り物を与えられていたばかりだったが、ここへ来て久しぶりのきちんとした食事をとれた。

 やはりこんなによくしてもらって良いのだろうかとつい考えてしまうけれど、昨晩されたことを思い出すと今日はそういう気分にもなれない。

「ひより、体調は平気かい」
「……アカツキ様……はい、平気です」
 仕事に行っていたらしいアカツキが屋敷に戻る。アカツキの顔を見るとどうしても昨晩の自分の乱れようを思い出して気恥ずかしくなる。

「うん、顔色はいいみたいだね。食事は大切だ、きちんととるように」
「……今日は、薬は混ぜられていなかったんですね」

 昨日の媚薬は食事に混ぜられていたようだったから警戒していたが、食後しばらくしても特に体調に変化は見られなかった。

「ああ、ひよりは薬が効きすぎるようだったから……期待したか?」
「まさか……身体がおかしくならずに済んで、安心しています」
「ふふ、そうか。昨日のひよりは娼婦も顔負けの淫らな姿だったから、もしかしてアレが癖になってやしないかと思ったんだが……それはまた、もう少し肌を重ねてからかな」
「またって……あれを、また何度もするのですか?」
「……ひよりは、またしたくはないか?」

 したいわけがない。ひよりはそう言おうとしたが、するりと大きな手に腰を撫でられて抱き寄せられると、身体がびくりと反応して何も言えなかった。
 する……♡すり……♡と優しく腰や尻を撫でられて、それだけでひよりの身体はぴく♡ぴくん♡と震えてしまう。

「……っん、ん……!」
「……キスは、嫌か?」
「……っ、キス……くらいなら……へいき、です」
「気持ちよくはない?」

 アカツキはそう聞きながらひよりの小さな唇をぺろりと舐め、薄く開いたそこにちゅるりと舌を侵入させた。獣人のヒトとは違う感触の舌が上顎をなぞり、舌に絡みついてくるのはひどく気持ちがいい。思わず腰がもじもじと動いてしまう。

「……素直に答えなさい」
「……っは、ぁ……♡きもちいい、です……♡ん、ん……」
「いい子だ」
「ん、ぅ♡やっ……ふ、ん♡ぅ……っ♡」
「……どうする?ひより。このまま抱かれるか、また辛くないように薬を使うか……?」

 ひよりにとってはどちらも辛い選択だった。そもそも、抱かれないという選択肢がない。不慣れな身体で気持ちよくはなれない行為も苦しいだろうし、また薬でひどく乱れるのも怖い。

 けれどこのときのひよりには、ひとつ怖いことがあった。それは、今まだ薬を使われているわけでもないのに触れられた身体がひどく敏感になっていることだった。
 撫でられたところが熱くなり、もじもじとしてしまうのは、腹の奥がむずむずと疼いているからだ。まだ触れられてもいない尻の穴がひくひく♡と期待に震えているのが嫌という程わかる。

 ……恥ずかしい。はしたない。
 昨晩は媚薬を使われていたという言い訳ができた。けれど今は、ただ腰に手を回されて抱きしめられているだけだ。それだけのことで期待に身体が疼くなんて、ひよりは受け入れられなかった。

「……おくすり……ください……」
「いいのか?」
「……はい、いいんです」

 自分が淫らになってしまうのは、薬のせい。そういう言い訳がひよりには必要だった。決して自分の身体が、自分の性質が淫乱なわけではないのだと、そう思いたかった。

「じゃあ、これをお飲み。昨日使ったものより量も濃度も薄めてある。効きすぎて薬漬けになってしまっては良くないからね」
「……はい」

 ひよりは手渡された小瓶の中のとろりと甘い液体を、少し迷いながら、どうせ逃げられないのだと覚悟を決めてこくりと飲んだ。

「効いてくるのに、少しかかるからね。先にベッドで待っていなさい。私はこの堅苦しい服を着替えて、少し汗を流してくるから」
「わかりました」

 そんなにすぐに効くはずはないとわかってはいるけれど、身体の奥がとくんとくんと脈打ち、熱くなっていくような気がする。それはこれからされる行為を期待して興奮しているからだと、ひよりは気づきたくはなかった……。
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