ディストーション・ピース

おさかな

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ご褒美よりも欲しいもの

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 しかし、頬を撫でながらの優しいキスよりももっと欲しいものが桃井にはある。それをすぐにでもくれるのが、佐原という男だ。

「ベッド行って、服、脱ごうか?」
「……っ♡ うん……」
 さっきまで優しく頬を撫でていた手で顔を掴み、桃井に選択肢のない問いを投げかける。断るつもりもない桃井にとっては都合のいいものである。

 今度はきちんとベッドに移動して、着ていたものをすっかり脱ぎ去ると、その露わになった白い身体には舐めまわすような視線が絡みつく。

「キレイだよ、もも」
「ありがと」
「俺以外の誰にも、触らせてないよね?」
「当たり前じゃん」

 頬から首筋、肩、腰、それからお腹の下のほうをくるりと撫でる。なめらかな肌の上をすべるように這う手のひらは、他の男がこの肌に触れていないかどうか確かめるようになぞっていく。

 佐原はいつも不安だったのだ。綺麗な桃井が、こんな自分を捨てて他の誰かのもとへと行ってしまうのではないかと。
 だからこそ束縛を強めた。何でも自分の思う通りになるように調教して、快楽を与えて、離れていこうなんて思いつかないようになってしまえばいい。
 なんて傲慢なんだろうか。佐原は自分でもそう思ってはいたが、桃井はそれを受け入れた。受け入れるどころか、それを喜んですらいる。

 縛りたい。縛られたい。支配したい。支配されたい。いじめたい。いじめられたい。
 すべての歪みが、いっそ奇妙なほどに綺麗にはまり込み、互いの隙間を埋め合った。


「触ってほしいの? はしたないね」
「透にだけだよ」
「どうだか」
「ほん、とっ…ゔっ♡」

 気まぐれに桃井の身体のあちこちを彷徨いなぞっていた指先が、ふいにギュッと乳首をつまみ上げる。愛撫と言うには乱暴なそれでも、桃井は強い快感を拾う。

「ぁうっ、は、あ♡‬ んん……ッ♡ん、ふぅ……ッ♡」

 強くつままれてじんじんと熱を持つ乳首に、かりかりと爪をたてられてひっかかれ、ぴりぴりと弱い電流のような痺れが走る。

「はは、触られてるのは胸なのに、ちんぽから恥ずかしいの出ちゃってるよ」
「やっ、う♡‬ さっき、イッた、ばっかだから……っ♡」

 桃井のモノからは、胸を刺激されるたびに先程出し切らなかった精液がぴゅる、ぴゅる♡と漏れ出ていた。そんな恥ずかしい姿をすべて見られていると思うと、どうしようもなく興奮してしまう。

「あーかわいい。もうお尻触るよ」
「んッ、うん……っ♡」

 そんな桃井を見た佐原も、興奮が高まり最早焦らすことは難しくなっていた。手早くローションを指に纏わせると、既に期待でひくついた桃井のアナルにぐちゅりと塗り込み、ぬるついた指を入れていく。

「あっ、ァ♡‬ ッう、はあ、ん♡‬」
「ひどい音」
「ん、んうっ、そこぉ♡‬ きもち、い」

 ぐちゅ♡ちゅぽ♡くちゅ♡くちゅ♡くちゅ……ッ♡ぐちゅ♡グヂュグヂュグヂュグヂュ♡
 わざとぐちゅぐちゅと音を立ててそこをかき回せば、桃井はどんどんと羞恥と快楽に染まっていく。

 佐原は桃井に対して命令したりひどいことを言ったりはしても、桃井の身体に傷をつけるようなことは決してしなかった。慣らさずに無理に突っ込んだり、殴ったりは絶対にしない。ひたすらに気持ちよくして、ただ快楽に溺れさせる。

「ね、もぉ…っ、いいから……っ♡‬」
「もう欲しいの?」
「ほしいっ♡‬ ゆびだけじゃ、たりな……っあ、うっ♡‬」

 もじもじと物欲しそうに揺れる腰は、男のそれとは思えないくらいに扇情的だ。この誘惑に抗うことは、実に難しい。

「恥ずかしいね、男の子なのにおしりの穴おまんこにしてもらいたくて、そんな風に腰へこへこしてるんだ?」
「んうう……ッ♡♡ してっ♡ おれの穴、おまんこにして♡ とおるの、好きにしていいから……!」
「ははっ、淫乱」

 焦らしていた指をずるりと引き抜くと、桃井は床に膝をつき尻だけを上げた姿勢でおねだりをする。指で散々に慣らされた縦割れアナルはぱっくりと開き、ひくひく♡と誘うように期待に震えている。桃井はそこが佐原によく見えるように、両手で尻の肉をぎゅっと引っ張り、佐原のモノを招き入れる準備ができているとアピールしていた。

「ちんぽ挿れてほしいとき、なんて言うんだっけ?」
「……ッ、おれの、恥ずかしい淫乱ケツ穴、透のおちんぽで好き勝手ずこずこ犯してくださいっ♡ おれのこと透専用のオナホにして♡ おれが途中で泣いても壊れてもやめないでっ、壊れるまでオナホ使ってっ♡」
「……っは、たまんね」 

  恥ずかしく情けないポーズのまま、人としての尊厳を失うような台詞は、桃井の興奮を高めるスパイスでしかない。そうして懇願する桃井の姿に、佐原は満足気に微笑む。
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