1 / 21
森のうさぎさんとオオカミさん
しおりを挟む
ある森の深いところにある小さなおうちに、ひとりのうさぎさんが住んでいました。ふわりと長い髪からぴょこんと生えたふわふわのうさぎ耳の獣人の青年はノエル。見目は麗しいけれど少し変わり者で、生まれた一族とは離れたところに住んでいます。
「……おや、もうお水がありませんね。困ったな」
ある日、ノエルはお茶を淹れようとしましたが、いつも大きなポットを満たしている水が空っぽでした。
「うーん、ジノさんが戻られるかわかりませんし……自分で行くしかないですね」
そう独り言を呟くノエル。家から少し離れたところにきれいな川があるので、いつもそこから水を汲んできます。ノエルは水桶をふたつ持って家を出ました。
川でたっぷりと水を汲んでいると、向こう岸から見知った人影が見えます。
「ノエル。何をしているの」
「ジノさん。おかえりなさい。見ての通り、お水を汲んでいたのですよ」
「そんなもの、俺に任せてくれたらいいのに」
やってきたのはジノというオオカミの青年でした。
大きな川もなんのその、川面から突き出た岩の上をトントンと跳ねてジノはあっという間に対岸に居たノエルのそばまでやってきます。
そしてすぐにノエルの手から水桶をふたつとも奪うと、ざぶんとたっぷりの水を汲んでノエルの小屋まで運んでくれました。
「助かりました。ジノさんは力持ちですね」
「それだけが取り柄だから!ノエルの役に立てるなら嬉しい。あとほら、今日はこれを持ってきた」
「わあ、鴨肉ですね。それにスパイスもたくさん」
ジノは背負っていた荷物からたくさんの食べ物を出してノエルに渡します。
人里離れたところに住むノエルはこうしてジノが狩ってきた獲物や手に入れた食材を受け取っていました。家を持たず料理などはできないジノはそれをごちそうへと変えてくれるノエルを頼るのです。
「楽しみですね、これで何を作りましょうか」
ノエルはにこにこと笑って上機嫌です。
「……ねえ、ノエル。ごはんもいいんだけど、その前に……」
食糧を提供したジノがありつけるのは、食事だけではありません。ジノの言葉に頷き、食材を保冷庫にしまい終えると、ノエルは手を広げてジノを誘います。
「ええ、わかっていますよ。私も……そろそろ欲しかったんです」
「ノエルッ♡」
ジノは嬉しそうに笑ってノエルの腕の中に飛び込みます。そしてノエルの頬や首筋にすりすり♡と頭やふわふわのオオカミ耳を擦りつけて甘えました。
ジノはそれだけでは足らず、ノエルの白い肌にちゅっ♡ちゅっ♡とキスをしたりべろりと舐めたり、とがった牙でやわく噛みついたり……。ノエルの衣服を乱していきます。
「ジノさん、キス……♡」
「うん♡ん、ん……っ♡」
ノエルからもキスをねだって、二人は深く深く舌を絡めます。
二人は恋人でもなく、一緒に暮らしているというわけではありませんが、互いに足りない技術を補い合って生活したり……こうして性欲を満たし合ったりしていました。
お互い気を許して頼れるのはお互いだけでした。だから、そうして触れ合いセックスをするようになるのは、ごく自然な流れだったのです。
「……おや、もうお水がありませんね。困ったな」
ある日、ノエルはお茶を淹れようとしましたが、いつも大きなポットを満たしている水が空っぽでした。
「うーん、ジノさんが戻られるかわかりませんし……自分で行くしかないですね」
そう独り言を呟くノエル。家から少し離れたところにきれいな川があるので、いつもそこから水を汲んできます。ノエルは水桶をふたつ持って家を出ました。
川でたっぷりと水を汲んでいると、向こう岸から見知った人影が見えます。
「ノエル。何をしているの」
「ジノさん。おかえりなさい。見ての通り、お水を汲んでいたのですよ」
「そんなもの、俺に任せてくれたらいいのに」
やってきたのはジノというオオカミの青年でした。
大きな川もなんのその、川面から突き出た岩の上をトントンと跳ねてジノはあっという間に対岸に居たノエルのそばまでやってきます。
そしてすぐにノエルの手から水桶をふたつとも奪うと、ざぶんとたっぷりの水を汲んでノエルの小屋まで運んでくれました。
「助かりました。ジノさんは力持ちですね」
「それだけが取り柄だから!ノエルの役に立てるなら嬉しい。あとほら、今日はこれを持ってきた」
「わあ、鴨肉ですね。それにスパイスもたくさん」
ジノは背負っていた荷物からたくさんの食べ物を出してノエルに渡します。
人里離れたところに住むノエルはこうしてジノが狩ってきた獲物や手に入れた食材を受け取っていました。家を持たず料理などはできないジノはそれをごちそうへと変えてくれるノエルを頼るのです。
「楽しみですね、これで何を作りましょうか」
ノエルはにこにこと笑って上機嫌です。
「……ねえ、ノエル。ごはんもいいんだけど、その前に……」
食糧を提供したジノがありつけるのは、食事だけではありません。ジノの言葉に頷き、食材を保冷庫にしまい終えると、ノエルは手を広げてジノを誘います。
「ええ、わかっていますよ。私も……そろそろ欲しかったんです」
「ノエルッ♡」
ジノは嬉しそうに笑ってノエルの腕の中に飛び込みます。そしてノエルの頬や首筋にすりすり♡と頭やふわふわのオオカミ耳を擦りつけて甘えました。
ジノはそれだけでは足らず、ノエルの白い肌にちゅっ♡ちゅっ♡とキスをしたりべろりと舐めたり、とがった牙でやわく噛みついたり……。ノエルの衣服を乱していきます。
「ジノさん、キス……♡」
「うん♡ん、ん……っ♡」
ノエルからもキスをねだって、二人は深く深く舌を絡めます。
二人は恋人でもなく、一緒に暮らしているというわけではありませんが、互いに足りない技術を補い合って生活したり……こうして性欲を満たし合ったりしていました。
お互い気を許して頼れるのはお互いだけでした。だから、そうして触れ合いセックスをするようになるのは、ごく自然な流れだったのです。
78
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。



転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる