召喚勇者の誤算~身の危険を感じたので演技で男に告白したら、成就してしまったんだが!?~

カヅキハルカ

文字の大きさ
上 下
19 / 22

身体の相性(*)

しおりを挟む
「…………っ!」
「リロイ? 俺、何か変な事言ってる?」

 情事に関しては、悲しい事に健太はずぶの素人である。
 駆け引きなんて出来るはずもないので、ただ正直に思ったままを告げるだけで精一杯だ。
 リロイの反応がどこかおかしいと感じても、何をどうすれば軌道修正出来るのかが、わからない。

「よくわかりました。優しく出来なくても、私のせいではありませんからね」

 健太から出た言葉は、嘘偽りのない今の気持ちだったのだが、それを受けてにやりと楽しげに笑ったリロイの瞳は、優しく健太の様子を窺ってくれていた紳士から、獰猛な狩人の目へと完全に戻ってしまっていた。
 どうやら更に、健太は何かマズい事を言ってしまったらしい。

「ど、どういう事? 優しくは、して欲しいんだけど!?」
「そう思うのなら、煽らないで下さい」
「あおっ……んっ、ふぁ……ぅ、っぁ」

 健太の「煽っているつもりなんてない」という言葉は、リロイの唇によって言葉にするのを阻まれた。
 キスに夢中になっている間に、後孔付近で待機していたリロイの指が、今度こそゆっくりと健太の中に入って来る。

 昨晩も解されていたので痛みはなかったが、やはり本来入る場所ではない所へ侵入してくるのだ。異物への違和感があるのは、仕方がないだろう。
 だが、再び健太が緊張を覚えて身体を固くしてしまうよりも先に、リロイの手管によって中も外もドロドロに解かされていく。

 結局、健太がキスに応えるのに必死になっている間に、ゆっくりとでも確実に、中はほぐされてしまっていた。
 リロイは健太の身体の事を、健太よりも知っている気さえする。

 直接触れあったのは昨晩が初めてのはずなのに、何故こうも翻弄されてしまうのだろう。
 経験の差と言われてしまえば、ぐうの音も出ないが、それでもリロイは健太の良い所を探し出すのが、上手すぎる気がする。

(身体の相性が良いって、こういう事なのかな)

 同じ様に身体を触られているのに、聖女に襲われた時とは全然違う。
 あの時は、身体の自由を奪われて乗っかられているという事実に恐怖しか感じなかったし、「嫌だ」としか思わなかった。

 相手をどう思っているかという、気持ちの部分も大きいのだろう。
 リロイへの「好き」という気持ちを自覚したという他に、今まで築いてきた関係性が相まって、何もかも委ねてしまっても大丈夫だという、絶対的な信頼感があるせいだろうか。

 だが男同士という以前に、健太にとっては初めての性行為である。
 もちろん、緊張はしていた。

 いくらリロイが高度な技巧を持っているとしても、こんなにもぐずぐずになってしまう程、健太はビッチではない……はずである。
 とするならこの身体の変化は、リロイとの愛を交わす行為を、単純に健太が気持ち良いと感じている証拠に違いなかった。

 出来る事なら、健太ばかりが気持ち良いだけでなく、リロイも同じ様に感じて貰いたい。
 けれど、必死で伸ばした手はにこやかに封じられてしまったので、今日は何もさせて貰えそうになかった。
 リロイが少しでも、健太との触れ合いに幸福感を抱いてくれるのを、祈るばかりだ。

 健太がふわふわとした頭で、幸せに浸りつつ色々と考えている間に、着々と準備は整えられていたらしい。
 苦しさや圧迫感はすでになく、ただただ気持ちの良い場所を何度も擦られて、中への刺激だけで健太の溜まった熱量は爆発寸前である。

 いつの間にか三本に増やされ、中を蹂躙していた指がゆっくりと引き抜かれた。
 最初は違和感しか感じていなかったはずなのに、何故か喪失感を味わっている自分の感覚の変化が、不思議でならない。

「健太? 大丈夫ですか?」
「ん、へーき」

 ぽやぽやとしている健太の様子を心配して、リロイが伸ばした手にこちらから頬をすり寄せると、何故かリロイが「あー……」と呻き声を出しながら、天を仰いでしまった。

 視線を逸らされたのが気に入らなくて、両手でリロイの頬を挟んで無理矢理こちらを向かせる。
 すると、珍しく顔を真っ赤にしたリロイの表情が、目の前に飛び込んできた。

 常に冷静なリロイが、どうやら照れている。
 何も出来ずに身を任せっぱなしの健太に、呆れてしまった訳ではなかった様子にほっとしていると、ふと下半身に熱さを感じた。

 つい先程まで、嫌という程解された後孔に押し付けられているのは、リロイの高ぶりである事は間違いない。
 かなりの重量感があり、健太ばかり一方的に高められていた様に思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。

(良かった。リロイも、気持ち良くなってくれてたんだ)

 安心した健太の額に、ちゅっと音を立ててキスが落ちる。
 それはまるで、健太に伺いを立てている様だった。

「中に入っても?」
「…………聞かないで良いって言った」
「そうでしたね」

 素直に「良い」が言えない健太の許可にくすりと笑って、リロイが健太の両足を抱きかかえて、ぐっと体重をかける。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~

ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。 *マークはR回。(後半になります) ・ご都合主義のなーろっぱです。 ・攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。 腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手) ・イラストは青城硝子先生です。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました

BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」 え?勇者って誰のこと? 突如勇者として召喚された俺。 いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう? 俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。  

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

究極の雨男で疎まれていた俺ですが異世界では熱烈歓迎を受けています

まつぼっくり
BL
ずっとこの可笑しな体質が嫌だった。でも、いつかこの体質で救える命もあるんじゃないかと思っていた。 シリアスそうでシリアスではない 攻 異世界の虎さん✕ 受 究極の雨男 ムーンさんからの転載です

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...