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身体の相性(*)
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「…………っ!」
「リロイ? 俺、何か変な事言ってる?」
情事に関しては、悲しい事に健太はずぶの素人である。
駆け引きなんて出来るはずもないので、ただ正直に思ったままを告げるだけで精一杯だ。
リロイの反応がどこかおかしいと感じても、何をどうすれば軌道修正出来るのかが、わからない。
「よくわかりました。優しく出来なくても、私のせいではありませんからね」
健太から出た言葉は、嘘偽りのない今の気持ちだったのだが、それを受けてにやりと楽しげに笑ったリロイの瞳は、優しく健太の様子を窺ってくれていた紳士から、獰猛な狩人の目へと完全に戻ってしまっていた。
どうやら更に、健太は何かマズい事を言ってしまったらしい。
「ど、どういう事? 優しくは、して欲しいんだけど!?」
「そう思うのなら、煽らないで下さい」
「あおっ……んっ、ふぁ……ぅ、っぁ」
健太の「煽っているつもりなんてない」という言葉は、リロイの唇によって言葉にするのを阻まれた。
キスに夢中になっている間に、後孔付近で待機していたリロイの指が、今度こそゆっくりと健太の中に入って来る。
昨晩も解されていたので痛みはなかったが、やはり本来入る場所ではない所へ侵入してくるのだ。異物への違和感があるのは、仕方がないだろう。
だが、再び健太が緊張を覚えて身体を固くしてしまうよりも先に、リロイの手管によって中も外もドロドロに解かされていく。
結局、健太がキスに応えるのに必死になっている間に、ゆっくりとでも確実に、中はほぐされてしまっていた。
リロイは健太の身体の事を、健太よりも知っている気さえする。
直接触れあったのは昨晩が初めてのはずなのに、何故こうも翻弄されてしまうのだろう。
経験の差と言われてしまえば、ぐうの音も出ないが、それでもリロイは健太の良い所を探し出すのが、上手すぎる気がする。
(身体の相性が良いって、こういう事なのかな)
同じ様に身体を触られているのに、聖女に襲われた時とは全然違う。
あの時は、身体の自由を奪われて乗っかられているという事実に恐怖しか感じなかったし、「嫌だ」としか思わなかった。
相手をどう思っているかという、気持ちの部分も大きいのだろう。
リロイへの「好き」という気持ちを自覚したという他に、今まで築いてきた関係性が相まって、何もかも委ねてしまっても大丈夫だという、絶対的な信頼感があるせいだろうか。
だが男同士という以前に、健太にとっては初めての性行為である。
もちろん、緊張はしていた。
いくらリロイが高度な技巧を持っているとしても、こんなにもぐずぐずになってしまう程、健太はビッチではない……はずである。
とするならこの身体の変化は、リロイとの愛を交わす行為を、単純に健太が気持ち良いと感じている証拠に違いなかった。
出来る事なら、健太ばかりが気持ち良いだけでなく、リロイも同じ様に感じて貰いたい。
けれど、必死で伸ばした手はにこやかに封じられてしまったので、今日は何もさせて貰えそうになかった。
リロイが少しでも、健太との触れ合いに幸福感を抱いてくれるのを、祈るばかりだ。
健太がふわふわとした頭で、幸せに浸りつつ色々と考えている間に、着々と準備は整えられていたらしい。
苦しさや圧迫感はすでになく、ただただ気持ちの良い場所を何度も擦られて、中への刺激だけで健太の溜まった熱量は爆発寸前である。
いつの間にか三本に増やされ、中を蹂躙していた指がゆっくりと引き抜かれた。
最初は違和感しか感じていなかったはずなのに、何故か喪失感を味わっている自分の感覚の変化が、不思議でならない。
「健太? 大丈夫ですか?」
「ん、へーき」
ぽやぽやとしている健太の様子を心配して、リロイが伸ばした手にこちらから頬をすり寄せると、何故かリロイが「あー……」と呻き声を出しながら、天を仰いでしまった。
視線を逸らされたのが気に入らなくて、両手でリロイの頬を挟んで無理矢理こちらを向かせる。
すると、珍しく顔を真っ赤にしたリロイの表情が、目の前に飛び込んできた。
常に冷静なリロイが、どうやら照れている。
何も出来ずに身を任せっぱなしの健太に、呆れてしまった訳ではなかった様子にほっとしていると、ふと下半身に熱さを感じた。
つい先程まで、嫌という程解された後孔に押し付けられているのは、リロイの高ぶりである事は間違いない。
かなりの重量感があり、健太ばかり一方的に高められていた様に思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。
(良かった。リロイも、気持ち良くなってくれてたんだ)
安心した健太の額に、ちゅっと音を立ててキスが落ちる。
それはまるで、健太に伺いを立てている様だった。
「中に入っても?」
「…………聞かないで良いって言った」
「そうでしたね」
素直に「良い」が言えない健太の許可にくすりと笑って、リロイが健太の両足を抱きかかえて、ぐっと体重をかける。
「リロイ? 俺、何か変な事言ってる?」
情事に関しては、悲しい事に健太はずぶの素人である。
駆け引きなんて出来るはずもないので、ただ正直に思ったままを告げるだけで精一杯だ。
リロイの反応がどこかおかしいと感じても、何をどうすれば軌道修正出来るのかが、わからない。
「よくわかりました。優しく出来なくても、私のせいではありませんからね」
健太から出た言葉は、嘘偽りのない今の気持ちだったのだが、それを受けてにやりと楽しげに笑ったリロイの瞳は、優しく健太の様子を窺ってくれていた紳士から、獰猛な狩人の目へと完全に戻ってしまっていた。
どうやら更に、健太は何かマズい事を言ってしまったらしい。
「ど、どういう事? 優しくは、して欲しいんだけど!?」
「そう思うのなら、煽らないで下さい」
「あおっ……んっ、ふぁ……ぅ、っぁ」
健太の「煽っているつもりなんてない」という言葉は、リロイの唇によって言葉にするのを阻まれた。
キスに夢中になっている間に、後孔付近で待機していたリロイの指が、今度こそゆっくりと健太の中に入って来る。
昨晩も解されていたので痛みはなかったが、やはり本来入る場所ではない所へ侵入してくるのだ。異物への違和感があるのは、仕方がないだろう。
だが、再び健太が緊張を覚えて身体を固くしてしまうよりも先に、リロイの手管によって中も外もドロドロに解かされていく。
結局、健太がキスに応えるのに必死になっている間に、ゆっくりとでも確実に、中はほぐされてしまっていた。
リロイは健太の身体の事を、健太よりも知っている気さえする。
直接触れあったのは昨晩が初めてのはずなのに、何故こうも翻弄されてしまうのだろう。
経験の差と言われてしまえば、ぐうの音も出ないが、それでもリロイは健太の良い所を探し出すのが、上手すぎる気がする。
(身体の相性が良いって、こういう事なのかな)
同じ様に身体を触られているのに、聖女に襲われた時とは全然違う。
あの時は、身体の自由を奪われて乗っかられているという事実に恐怖しか感じなかったし、「嫌だ」としか思わなかった。
相手をどう思っているかという、気持ちの部分も大きいのだろう。
リロイへの「好き」という気持ちを自覚したという他に、今まで築いてきた関係性が相まって、何もかも委ねてしまっても大丈夫だという、絶対的な信頼感があるせいだろうか。
だが男同士という以前に、健太にとっては初めての性行為である。
もちろん、緊張はしていた。
いくらリロイが高度な技巧を持っているとしても、こんなにもぐずぐずになってしまう程、健太はビッチではない……はずである。
とするならこの身体の変化は、リロイとの愛を交わす行為を、単純に健太が気持ち良いと感じている証拠に違いなかった。
出来る事なら、健太ばかりが気持ち良いだけでなく、リロイも同じ様に感じて貰いたい。
けれど、必死で伸ばした手はにこやかに封じられてしまったので、今日は何もさせて貰えそうになかった。
リロイが少しでも、健太との触れ合いに幸福感を抱いてくれるのを、祈るばかりだ。
健太がふわふわとした頭で、幸せに浸りつつ色々と考えている間に、着々と準備は整えられていたらしい。
苦しさや圧迫感はすでになく、ただただ気持ちの良い場所を何度も擦られて、中への刺激だけで健太の溜まった熱量は爆発寸前である。
いつの間にか三本に増やされ、中を蹂躙していた指がゆっくりと引き抜かれた。
最初は違和感しか感じていなかったはずなのに、何故か喪失感を味わっている自分の感覚の変化が、不思議でならない。
「健太? 大丈夫ですか?」
「ん、へーき」
ぽやぽやとしている健太の様子を心配して、リロイが伸ばした手にこちらから頬をすり寄せると、何故かリロイが「あー……」と呻き声を出しながら、天を仰いでしまった。
視線を逸らされたのが気に入らなくて、両手でリロイの頬を挟んで無理矢理こちらを向かせる。
すると、珍しく顔を真っ赤にしたリロイの表情が、目の前に飛び込んできた。
常に冷静なリロイが、どうやら照れている。
何も出来ずに身を任せっぱなしの健太に、呆れてしまった訳ではなかった様子にほっとしていると、ふと下半身に熱さを感じた。
つい先程まで、嫌という程解された後孔に押し付けられているのは、リロイの高ぶりである事は間違いない。
かなりの重量感があり、健太ばかり一方的に高められていた様に思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。
(良かった。リロイも、気持ち良くなってくれてたんだ)
安心した健太の額に、ちゅっと音を立ててキスが落ちる。
それはまるで、健太に伺いを立てている様だった。
「中に入っても?」
「…………聞かないで良いって言った」
「そうでしたね」
素直に「良い」が言えない健太の許可にくすりと笑って、リロイが健太の両足を抱きかかえて、ぐっと体重をかける。
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