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第37話 女難の相2 夏祭り
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皆は射的の屋台へ向かった。京野颯太と海斗は良い勝負となった。女子は腕が短い分、景品を落とす事が出来なかったが、本質的に上手だったのが小野梨紗だった。彼女はアメリカで銃を扱うトレーニングを受けていたのだ。
小野梨沙は笑いかけた。
「海斗、わたし上手でしょー!」
「ホントに上手だね。女子の中で景品を落とす事が出来たのは、小野さんだけだよ」
小野梨紗は得意げな顔をした。
次に小野梨紗は金魚すくいを見付けた。
「ねえ、誰か金魚、飼っていない?」
「小野さん、私の家で飼っているよ」
「ねえ佐藤さん、金魚すくいをやって捕れたら、貰ってくれる?」
佐藤美優は自宅の庭で金魚を飼っているのだ。
「良いわよ、何匹増えても手間は一緒だもの」
「じゃあ、私、金魚すくいをやるー!」
小野梨沙は金魚すくいにトライした。彼女はアメリカの生活が長かった為、日本のお祭り文化に、興味が有ったのだ。しかし三回やってはみたものの紙が破け、金魚は捕る事が出来なかった。
「オーマイガー! こんな薄い紙で取れる訳ないじゃん!」
小野梨紗の口から英語が出ているときは、感情が高ぶっている証拠だ。家の金魚はお祭りで集めたと言う佐藤美優が手本を見せた。
「えへっ! どーお? 簡単でしょ」
「凄い、佐藤さん! オーマイガー」
橋本七海は実に色っぽかった。金魚すくいをする姿は、男達の視線を釘付けにした。松本蓮の顔が緩み遠藤駿の横に立った。
「おい遠藤、橋本さん色っぽいよな。あの髪型も、うなじも良いいよな!」
遠藤の顔も緩んだ。
「ホント、色っぽいと言うか、艶っぽいんだよな!」
二人は一緒に笑った。
「う、は、は、は」
すっかりエロおやじとなっていた。金魚すくいが終わると、海斗達は京野颯太のグループと別れた。
海斗達は人混みから離れた広場に移動した。松本蓮と鎌倉美月は花火を用意していたのだ。海斗は自販機で消火用の水を用意し、松本蓮は点火用のロウソクに火を付けた。
「じゃあ、始めようか!」
皆は手持ち花火を持ち、順番に火を付けた。皆は口々に「綺麗」を連呼した。七色に変わる炎が、皆の顔を七色に照らした。
松本蓮はピンときた。手持ち花火を一本終えるとカメラに持ち替え、一人一人に焦点を合わせたのだ。彼女達の表情に花火の光が反映された、生き生きとした夏の一瞬を切り取るように撮る事が出来たのだ。
ひと騒ぎすると、線香花火に火を付けた。最後まで玉を落とさず、黒い玉を作れるかを競い合ったのだ。暗闇にともる小さな明かりが幻想的だった。最後まで落とさず黒い玉を作り上げたのは中山美咲と林莉子だった。
最後に小さいながらも打ち上げ花火に火を付けた。残りわずかとなり、松本連は寂しくなった。
「あ~あ、海斗、もう花火、終わっちゃうよ」
「そうかー、終わりかー。でも、とっても楽しかったよ。花火を計画して有難う」
鎌倉美月は微笑んだ。
「蓮、花火用意して良かったね」
「美月が言ってくれたからだよ」
皆も花火を見て切ない気持ちを共有した。
「綺麗ねー、美咲」
「綺麗だねー、今日も終わりだね、莉子」
葵と中山陽菜は、並んで打ち上げ花火を見上げていた。
松本蓮は言った。
「これで最後の花火だよ、よーく見てね。それじゃあ火を付けるよ」
松本蓮は最後の花火に火を付けた。七色に光る、打ち上げ花火が上がった。
「ヒュー パーン……、ヒュー パーン……、ヒュー パーン……」
皆は余韻に浸り、しばらくすると拍手が起きた。林莉子は涙目になっていた。
「松本君、鎌倉さん花火有り難う。とても良い思い出になったわ」
皆めお礼を伝えた。そして皆は無言で後片付けを終えると、解散の時間となった。後ろ髪を引かれるような気持ちで挨拶を交わし解散した。
葵は海斗と二人きりになると、腕を組んで歩いた。
「お兄ちゃん、今日は誘ってくれて有り難う。とても楽しかった」
「どう致しまして、楽しかったね、葵」
海斗は葵に親離れならぬ、兄離れを促すように言ってみた。
「来年になったら、葵は俺達のように友達同士で来たりしてね。葵に沢山友達が出来るように、お兄ちゃん応援するからね」
「えー! また、お兄ちゃんと来たいよー」
「そうかなー、でもその時になったら変わるかもよ?!」
海斗は歩きながら、昼間の美月の言葉を思い出した。確かに葵の対応が一番難しい。こんなに可愛い女の子が好意を持ってくれるなんて、葵の感情がエスカレートしても良くないし、だからと言って離れて行くのも寂しいし、とても悩ましく思えた。
小野梨沙は笑いかけた。
「海斗、わたし上手でしょー!」
「ホントに上手だね。女子の中で景品を落とす事が出来たのは、小野さんだけだよ」
小野梨紗は得意げな顔をした。
次に小野梨紗は金魚すくいを見付けた。
「ねえ、誰か金魚、飼っていない?」
「小野さん、私の家で飼っているよ」
「ねえ佐藤さん、金魚すくいをやって捕れたら、貰ってくれる?」
佐藤美優は自宅の庭で金魚を飼っているのだ。
「良いわよ、何匹増えても手間は一緒だもの」
「じゃあ、私、金魚すくいをやるー!」
小野梨沙は金魚すくいにトライした。彼女はアメリカの生活が長かった為、日本のお祭り文化に、興味が有ったのだ。しかし三回やってはみたものの紙が破け、金魚は捕る事が出来なかった。
「オーマイガー! こんな薄い紙で取れる訳ないじゃん!」
小野梨紗の口から英語が出ているときは、感情が高ぶっている証拠だ。家の金魚はお祭りで集めたと言う佐藤美優が手本を見せた。
「えへっ! どーお? 簡単でしょ」
「凄い、佐藤さん! オーマイガー」
橋本七海は実に色っぽかった。金魚すくいをする姿は、男達の視線を釘付けにした。松本蓮の顔が緩み遠藤駿の横に立った。
「おい遠藤、橋本さん色っぽいよな。あの髪型も、うなじも良いいよな!」
遠藤の顔も緩んだ。
「ホント、色っぽいと言うか、艶っぽいんだよな!」
二人は一緒に笑った。
「う、は、は、は」
すっかりエロおやじとなっていた。金魚すくいが終わると、海斗達は京野颯太のグループと別れた。
海斗達は人混みから離れた広場に移動した。松本蓮と鎌倉美月は花火を用意していたのだ。海斗は自販機で消火用の水を用意し、松本蓮は点火用のロウソクに火を付けた。
「じゃあ、始めようか!」
皆は手持ち花火を持ち、順番に火を付けた。皆は口々に「綺麗」を連呼した。七色に変わる炎が、皆の顔を七色に照らした。
松本蓮はピンときた。手持ち花火を一本終えるとカメラに持ち替え、一人一人に焦点を合わせたのだ。彼女達の表情に花火の光が反映された、生き生きとした夏の一瞬を切り取るように撮る事が出来たのだ。
ひと騒ぎすると、線香花火に火を付けた。最後まで玉を落とさず、黒い玉を作れるかを競い合ったのだ。暗闇にともる小さな明かりが幻想的だった。最後まで落とさず黒い玉を作り上げたのは中山美咲と林莉子だった。
最後に小さいながらも打ち上げ花火に火を付けた。残りわずかとなり、松本連は寂しくなった。
「あ~あ、海斗、もう花火、終わっちゃうよ」
「そうかー、終わりかー。でも、とっても楽しかったよ。花火を計画して有難う」
鎌倉美月は微笑んだ。
「蓮、花火用意して良かったね」
「美月が言ってくれたからだよ」
皆も花火を見て切ない気持ちを共有した。
「綺麗ねー、美咲」
「綺麗だねー、今日も終わりだね、莉子」
葵と中山陽菜は、並んで打ち上げ花火を見上げていた。
松本蓮は言った。
「これで最後の花火だよ、よーく見てね。それじゃあ火を付けるよ」
松本蓮は最後の花火に火を付けた。七色に光る、打ち上げ花火が上がった。
「ヒュー パーン……、ヒュー パーン……、ヒュー パーン……」
皆は余韻に浸り、しばらくすると拍手が起きた。林莉子は涙目になっていた。
「松本君、鎌倉さん花火有り難う。とても良い思い出になったわ」
皆めお礼を伝えた。そして皆は無言で後片付けを終えると、解散の時間となった。後ろ髪を引かれるような気持ちで挨拶を交わし解散した。
葵は海斗と二人きりになると、腕を組んで歩いた。
「お兄ちゃん、今日は誘ってくれて有り難う。とても楽しかった」
「どう致しまして、楽しかったね、葵」
海斗は葵に親離れならぬ、兄離れを促すように言ってみた。
「来年になったら、葵は俺達のように友達同士で来たりしてね。葵に沢山友達が出来るように、お兄ちゃん応援するからね」
「えー! また、お兄ちゃんと来たいよー」
「そうかなー、でもその時になったら変わるかもよ?!」
海斗は歩きながら、昼間の美月の言葉を思い出した。確かに葵の対応が一番難しい。こんなに可愛い女の子が好意を持ってくれるなんて、葵の感情がエスカレートしても良くないし、だからと言って離れて行くのも寂しいし、とても悩ましく思えた。
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