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第26話 期末テスト対策
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あっと言う間に六月下旬となった。夏休を目の前に浮かれ出す生徒もいる中、避けて通れないのが期末テストである。
中山美咲は、数学の得意な海斗に勉強を教えて貰おうとしていた。休み時間の教室で、勇気を振り絞り、中山美咲は海斗に歩み寄った。
「ふ、伏見君。この間、数学を見てくれてありがとう。学期末テストに向けて、また数学を教えて欲しいな」
海斗も予想すらしていない展開に胸が躍った。
「う、うん! もちろん、いいよ。前回は中山さん家で勉強したから、今度はウチに来る? 両親は旅行に出かけて居ないしさ、気軽に来てよー」
中山美咲はときめいた。伏見君の部屋で二人きり。今度は邪魔をする妹も居ないし、伏見君がマンツーマンで教えてくれるなら勉強の効率も上がるしね。で、でも、どうしよう、両親が居ないって言っていたし……違う事をマンツーマンされたら、私、どうしたらいいのー! そうそう、勉強道具の他に、お泊まりセットを持って行かないとね。ウフ、パジャマは伏見君のワイシャツを借りちゃおうかな。キャー、私、何を考えているのよー!
残念な事に中山美咲の楽しい妄想タイムは一瞬で終わった。
「海斗、私も教えて!」
小野梨紗が張り切って右手を揚げた。更に松本蓮も鎌倉美月も続いたのだ。恋愛の最強の敵は幼馴染みである。
林莉子は申し訳なさそうに、中山美咲に見つめた。
「それじゃあ、私も行ってもいいよね」
結局いつものメンバーで勉強会をする事となった。
「いいけど俺の部屋、こんなに入るかなあ、なあ蓮」
「親が居ないならさ、広いリビングでやろうよ」
鎌倉美月も続いた。
「久しぶりだな、海斗の家。私と蓮が駅で待つから、皆と合流して海斗の家に行くよ。じゃあ、今度の土曜ね」
これだけ揃えば勉強会になる訳がない。試験が近いと言うのに遊ぶ約束となった事に、誰一人気付いていなかったのだ。
勉強会当日の朝、早々に正太郎と明子は旅行に出かけた。海斗は葵に朝食を取りながら話しかけた。
「前に話したけど、今日は勉強会を家でやるからね。友達が来て騒がしくなると思うから、今から謝っとくね。ごめん!」
「いいよ、お兄ちゃん気にしないで」
「もう一つ有るんだよ。俺を入れて六人だからリビングを使わせて欲しんだ。もちろん葵を紹介するし、リビングに居てかまわないからね」
葵はどんな友達を連れてくるのか楽しみだった。
予定時刻になりインターホンがなった。海斗は玄関の鍵を開けると、松本蓮を始めズラズラとリビングに流れ込んだ。葵は呆然とした。海斗は慌ててリビングに戻った。
「もー、何だ、何だ、びっくりするだろう」
松本蓮は笑って答えた。
「わりい海斗! 親が居ないって、聞いたから無礼講で入ってきちゃった。今日は手分けして色々持って来たんだぜ!」
昼食のサンドイッチと、デザートのシュークリーム、スナック菓子にジュース。食べきらない程の量を買い込んだ。
「こんなに買って、泊まるつもりか?」
海斗は呆れた。
友達はローテーブルを囲んで座った。皆は一点を見ていた。視線に戸惑う葵がいた。海斗は葵の肩に手を置き紹介を始めた。
「紹介するね、妹の葵です。我が学園の中等部の三年生です」
「葵です。部活は美術部です。趣味は絵を描く事です」
皆は葵に挨拶に拍手をした。緊張した葵を見て小野梨紗は話しかけた。
「久しぶり、葵ちゃん。今日も宜しくね!」
中山美咲は首を傾げた。
「えー、面識あるの?」
小野梨紗は答えた。
「ヘエ、先月ホームパーティーが有って、私の家に来てくれたんだよねー!」
林莉子は中山美咲に耳打ちをした。
「もう、家族ぐるみで再会しているのね 侮れないわね、美咲」
中山美咲は苦笑で答えた。中山美咲も林莉子に耳打ちをした。
「ねえ莉子、前にランドマークで見た女の子と同じだね。やっぱり妹いたんだね」
松本蓮は、どうしても聞きたい事があったのだ。
「葵ちゃん可愛いね、私は海斗君の幼馴染みの松本蓮と言います。つかぬ事をお聞きしますが、葵ちゃんはお兄ちゃんとお風呂に入っていますか?」
葵の顔は赤くなった。女子は海斗をにらみ付けた。
「ま、まさか。蓮、バカな事を質問するなよ!」
小野梨紗は密かに思った。やっぱり同棲生活を連想する人がいたのね。
葵は答えた。
「は、入ってません!」
海斗をにらみつけた目線が松本蓮に移動した。
「じょ、冗談だよ。ジョーク、ジョーク」
鎌倉美月は松本蓮の頬をつねった。
「ごめんなさい、ウチの蓮が……」
鎌倉美月は謝まると、林莉子はすぐに反応を返した。
「あ~ら、ウチの蓮ですって! やだ~、松本美月さん!」
松本美月の響きを聞いて、赤面する松本蓮と鎌倉美月だった。
中山美咲は、問い詰めた。
「伏見君、本当に入って無いでしょうーね、私が妹と入るのと違うのだからね!」
「入って無いよ。中山さんまでヤダな~」
仕切り直しをして、それぞれノートと教科書を並べ勉強を始めた。葵は皆のパワーに圧倒された。更に切り替えの早さに驚いた。中山美咲は微分積分の解き方を海斗から聞いていた。
松本蓮は北条政子位置づけを、鎌倉美月から教えて貰っていた。すると蓮と美月に、今まで見えなかった桃色のオーラが発生しローテーブルを覆った。
「ねえ貴方、ここは歴史のターニングポイントなのよ」
「解った美月ちゃん、もう少し前後の話を教えて」
「ちゃんと理解してね。鉛筆を握る貴方の手、大きく見えるね」
「手を合わせてみようよ」
二人は手のひらを合わせて大きさを比べた。松本蓮は赤面しながら続けた。
「美月ちゃんの手は小さくて可愛いね」
「ウフ、貴方の手は大きくてたくましいわね」
そして合わせた手と手を、恋人繋ぎに変えた。
林莉子は我慢できず嫌気がさした。
「キー! もー、そこの二人、それは帰ってからやりなさいよ! なんで、今まで、がさつキャラの鎌倉さんが貴方なんて言っちゃうの! 松本君も何でそれを返す時に、美月ちゃんって言っちゃうかなあ、もう、キー!」
林莉子の発言に皆は共感して笑った。
まったくその通りである。恋をすると同じ物が違って見えると言うけれど。恋のパワーは人格までも変えてしまうのだ。
十時過ぎに、葵は差し入れのジュースとお菓子を移し替えて持ってきた。
「松本さんと鎌倉さんは、お付き合いをしているのですか」
松本蓮は答えた。
「葵ちゃん、解る? 口にも出してないのに……解っちゃうのかな」
小野梨紗は、隣でノートを破ってちぎって丸めていた。ストレスを発散しているようだ。
鎌倉美月は、ポテトチップスを一枚とり、松本蓮の口に運んだ。
「あ~ん」
松本蓮はポテトチップスを口にすると
「おいちいよ、今度は美月ちゃんにあ~ん」
海斗の周りに怪しい空気が流れた。他の女子はストレスのはけ口が欲しかったのだ。
葵は察知した。
「お、お兄ちゃん危ない!」
小野梨紗、中山美咲、林莉子の三人は、海斗の口にポテトチップスを押し込んだ。
「い、痛いよ! 口、切れちゃうよ。おいおい蓮と美月! お前ら、そんなに仲が良かったか? 少しは空気読めよ! 二人は離れて座りなさい!」
二人は、周りの強い視線を感じて離れて座り直した。やっと平和が訪れたのだ。面白いもので離れると、いつもの蓮と美月に戻るのだ。おやつ休憩が終わり、しばらく勉強を続けた。
葵はダイニングテーブルに着いて、面白い行動をするお友達を見ていた。十一時をまわり葵は、キッチンに立った。サンドイッチに併せるにスープを作りを始めたのだ。
野菜を小さく切り炒め、鍋で茹でた。野菜だけを取り出してミキサーを使いペースト状にし、茹でた鍋に戻した。牛乳で伸ばしコンソメを入れ、弱火で煮込んだ。塩、胡椒で味を調えポタージュスープの出来上がりだ。手際良く葵はポタージュスープを作り上げた。
中山美咲は、数学の得意な海斗に勉強を教えて貰おうとしていた。休み時間の教室で、勇気を振り絞り、中山美咲は海斗に歩み寄った。
「ふ、伏見君。この間、数学を見てくれてありがとう。学期末テストに向けて、また数学を教えて欲しいな」
海斗も予想すらしていない展開に胸が躍った。
「う、うん! もちろん、いいよ。前回は中山さん家で勉強したから、今度はウチに来る? 両親は旅行に出かけて居ないしさ、気軽に来てよー」
中山美咲はときめいた。伏見君の部屋で二人きり。今度は邪魔をする妹も居ないし、伏見君がマンツーマンで教えてくれるなら勉強の効率も上がるしね。で、でも、どうしよう、両親が居ないって言っていたし……違う事をマンツーマンされたら、私、どうしたらいいのー! そうそう、勉強道具の他に、お泊まりセットを持って行かないとね。ウフ、パジャマは伏見君のワイシャツを借りちゃおうかな。キャー、私、何を考えているのよー!
残念な事に中山美咲の楽しい妄想タイムは一瞬で終わった。
「海斗、私も教えて!」
小野梨紗が張り切って右手を揚げた。更に松本蓮も鎌倉美月も続いたのだ。恋愛の最強の敵は幼馴染みである。
林莉子は申し訳なさそうに、中山美咲に見つめた。
「それじゃあ、私も行ってもいいよね」
結局いつものメンバーで勉強会をする事となった。
「いいけど俺の部屋、こんなに入るかなあ、なあ蓮」
「親が居ないならさ、広いリビングでやろうよ」
鎌倉美月も続いた。
「久しぶりだな、海斗の家。私と蓮が駅で待つから、皆と合流して海斗の家に行くよ。じゃあ、今度の土曜ね」
これだけ揃えば勉強会になる訳がない。試験が近いと言うのに遊ぶ約束となった事に、誰一人気付いていなかったのだ。
勉強会当日の朝、早々に正太郎と明子は旅行に出かけた。海斗は葵に朝食を取りながら話しかけた。
「前に話したけど、今日は勉強会を家でやるからね。友達が来て騒がしくなると思うから、今から謝っとくね。ごめん!」
「いいよ、お兄ちゃん気にしないで」
「もう一つ有るんだよ。俺を入れて六人だからリビングを使わせて欲しんだ。もちろん葵を紹介するし、リビングに居てかまわないからね」
葵はどんな友達を連れてくるのか楽しみだった。
予定時刻になりインターホンがなった。海斗は玄関の鍵を開けると、松本蓮を始めズラズラとリビングに流れ込んだ。葵は呆然とした。海斗は慌ててリビングに戻った。
「もー、何だ、何だ、びっくりするだろう」
松本蓮は笑って答えた。
「わりい海斗! 親が居ないって、聞いたから無礼講で入ってきちゃった。今日は手分けして色々持って来たんだぜ!」
昼食のサンドイッチと、デザートのシュークリーム、スナック菓子にジュース。食べきらない程の量を買い込んだ。
「こんなに買って、泊まるつもりか?」
海斗は呆れた。
友達はローテーブルを囲んで座った。皆は一点を見ていた。視線に戸惑う葵がいた。海斗は葵の肩に手を置き紹介を始めた。
「紹介するね、妹の葵です。我が学園の中等部の三年生です」
「葵です。部活は美術部です。趣味は絵を描く事です」
皆は葵に挨拶に拍手をした。緊張した葵を見て小野梨紗は話しかけた。
「久しぶり、葵ちゃん。今日も宜しくね!」
中山美咲は首を傾げた。
「えー、面識あるの?」
小野梨紗は答えた。
「ヘエ、先月ホームパーティーが有って、私の家に来てくれたんだよねー!」
林莉子は中山美咲に耳打ちをした。
「もう、家族ぐるみで再会しているのね 侮れないわね、美咲」
中山美咲は苦笑で答えた。中山美咲も林莉子に耳打ちをした。
「ねえ莉子、前にランドマークで見た女の子と同じだね。やっぱり妹いたんだね」
松本蓮は、どうしても聞きたい事があったのだ。
「葵ちゃん可愛いね、私は海斗君の幼馴染みの松本蓮と言います。つかぬ事をお聞きしますが、葵ちゃんはお兄ちゃんとお風呂に入っていますか?」
葵の顔は赤くなった。女子は海斗をにらみ付けた。
「ま、まさか。蓮、バカな事を質問するなよ!」
小野梨紗は密かに思った。やっぱり同棲生活を連想する人がいたのね。
葵は答えた。
「は、入ってません!」
海斗をにらみつけた目線が松本蓮に移動した。
「じょ、冗談だよ。ジョーク、ジョーク」
鎌倉美月は松本蓮の頬をつねった。
「ごめんなさい、ウチの蓮が……」
鎌倉美月は謝まると、林莉子はすぐに反応を返した。
「あ~ら、ウチの蓮ですって! やだ~、松本美月さん!」
松本美月の響きを聞いて、赤面する松本蓮と鎌倉美月だった。
中山美咲は、問い詰めた。
「伏見君、本当に入って無いでしょうーね、私が妹と入るのと違うのだからね!」
「入って無いよ。中山さんまでヤダな~」
仕切り直しをして、それぞれノートと教科書を並べ勉強を始めた。葵は皆のパワーに圧倒された。更に切り替えの早さに驚いた。中山美咲は微分積分の解き方を海斗から聞いていた。
松本蓮は北条政子位置づけを、鎌倉美月から教えて貰っていた。すると蓮と美月に、今まで見えなかった桃色のオーラが発生しローテーブルを覆った。
「ねえ貴方、ここは歴史のターニングポイントなのよ」
「解った美月ちゃん、もう少し前後の話を教えて」
「ちゃんと理解してね。鉛筆を握る貴方の手、大きく見えるね」
「手を合わせてみようよ」
二人は手のひらを合わせて大きさを比べた。松本蓮は赤面しながら続けた。
「美月ちゃんの手は小さくて可愛いね」
「ウフ、貴方の手は大きくてたくましいわね」
そして合わせた手と手を、恋人繋ぎに変えた。
林莉子は我慢できず嫌気がさした。
「キー! もー、そこの二人、それは帰ってからやりなさいよ! なんで、今まで、がさつキャラの鎌倉さんが貴方なんて言っちゃうの! 松本君も何でそれを返す時に、美月ちゃんって言っちゃうかなあ、もう、キー!」
林莉子の発言に皆は共感して笑った。
まったくその通りである。恋をすると同じ物が違って見えると言うけれど。恋のパワーは人格までも変えてしまうのだ。
十時過ぎに、葵は差し入れのジュースとお菓子を移し替えて持ってきた。
「松本さんと鎌倉さんは、お付き合いをしているのですか」
松本蓮は答えた。
「葵ちゃん、解る? 口にも出してないのに……解っちゃうのかな」
小野梨紗は、隣でノートを破ってちぎって丸めていた。ストレスを発散しているようだ。
鎌倉美月は、ポテトチップスを一枚とり、松本蓮の口に運んだ。
「あ~ん」
松本蓮はポテトチップスを口にすると
「おいちいよ、今度は美月ちゃんにあ~ん」
海斗の周りに怪しい空気が流れた。他の女子はストレスのはけ口が欲しかったのだ。
葵は察知した。
「お、お兄ちゃん危ない!」
小野梨紗、中山美咲、林莉子の三人は、海斗の口にポテトチップスを押し込んだ。
「い、痛いよ! 口、切れちゃうよ。おいおい蓮と美月! お前ら、そんなに仲が良かったか? 少しは空気読めよ! 二人は離れて座りなさい!」
二人は、周りの強い視線を感じて離れて座り直した。やっと平和が訪れたのだ。面白いもので離れると、いつもの蓮と美月に戻るのだ。おやつ休憩が終わり、しばらく勉強を続けた。
葵はダイニングテーブルに着いて、面白い行動をするお友達を見ていた。十一時をまわり葵は、キッチンに立った。サンドイッチに併せるにスープを作りを始めたのだ。
野菜を小さく切り炒め、鍋で茹でた。野菜だけを取り出してミキサーを使いペースト状にし、茹でた鍋に戻した。牛乳で伸ばしコンソメを入れ、弱火で煮込んだ。塩、胡椒で味を調えポタージュスープの出来上がりだ。手際良く葵はポタージュスープを作り上げた。
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