異世界転生ワールド

第6章 ついに隠密機動隊 出兵！？

第104話：集会の影

ダリウスは慎重に行動を続け、ついに反戦勢力が集まるという秘密の集会の情報を得ることができた。その集会は、ラドヴァン帝国の首都から少し離れた郊外の古い屋敷で開催されることになっていた。参加者は主に高位の貴族や軍の一部、そして反戦を支持する政治家たちで構成されていた。そこでは、戦争を回避するための対策を練り、バブロニア王国との協力の可能性について話し合う予定だった。

ダリウスはその集会に参加するため、周囲をよく警戒しながら、身分を隠して準備を整えた。彼は商人の衣装を着込み、他の参加者たちと同様に目立たないようにして屋敷へと向かった。その途中、彼は慎重に周囲の状況を確認し、もし何か異常を感じればすぐに退散できるように計画していた。

屋敷に到着すると、すでに数名の参加者が集まっており、ダリウスはその中に紛れ込んだ。内部は暗く、豪華ではあったが、どこか不安げな雰囲気が漂っていた。反戦勢力の者たちは、誰にも気づかれずに集まることが必要だったため、集会の規模は限られていた。

ダリウスは密かに周囲の会話を耳にしながら、自分の立ち位置を確保した。そして、集会の中心にいる人物に目をつけた。それはヘルスン家の一族の中でも、特に反戦の立場を強く打ち出している人物であり、バブロニア王国との交渉を最も熱心に求めている一人だった。

その人物が、会議の冒頭に発言を始めた。「ラドヴァン帝国が戦争を始めることを避けるためには、我々の力だけでは限界がある。だが、バブロニア王国と手を組むことで、帝国の上層部に対抗する力をつけることができるはずだ。」

ダリウスはその言葉に心の中で反応した。ついに、反戦勢力が具体的な行動に出る時が来たのだ。

密かな接触

集会が進む中で、ダリウスは周囲の人物と少しずつ距離を縮め、慎重に接触の機会をうかがった。彼は、ヘルスン家の反戦派と直接会話を交わすチャンスをつかむべく、他の参加者たちと交流を持ちながら、静かにその人物へと近づいた。

「お前も、この戦争には反対しているのか？」ダリウスが声をかけると、ヘルスン家の人物は一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに冷静に返答した。

「我々の立場は危うい。もし戦争が始まれば、我々も無事ではいられない。しかし、今はまだ動くべき時ではない。我々には、バブロニア王国と接触し、協力の可能性を探る必要がある。」

その言葉を聞いたダリウスは、思い切って自分の役割を伝えた。「バブロニア王国からの使者として、この集会に参加する者がいます。私たちは王国の意向を受けて、貴殿たちと協力する準備が整っています。もし、お望みならば、私はその者を紹介することができる。」

ヘルスン家の人物は驚きと警戒の入り混じった表情を浮かべたが、すぐにその場を見渡し、他の参加者に気づかれないように静かに応じた。「バブロニア王国が本当に協力を考えているのなら、我々にとっては大きな助けとなる。しかし、その真意を確かめるまでは、手を出すべきではない。どんな協力が可能か、詳しく聞きたい。」

ダリウスは、まず王国からの協力の可能性について話し、次に今後の行動計画を練るための具体的な情報を伝え始めた。その間も、彼は周囲に注意を払い、無駄に目立つことがないように心がけていた。

危険な選択

集会が続く中、ダリウスは次第に反戦勢力の内部事情に関する重要な情報を掴んでいった。彼らがどのような形でバブロニア王国との協力を求めているのか、その準備が進んでいることが分かった。しかし、同時に彼はある大きなリスクに直面していた。もしこの集会が帝国の軍に知られた場合、彼の命はもちろん、反戦勢力のメンバーたちにも大きな危険が迫ることになる。

ダリウスは一度、集会の中で気づいたことを確認した。いくつかの反戦勢力のメンバーはすでに密かに他の参加者と連絡を取っており、情報を外部に流している可能性があった。もしその情報が帝国側に漏れれば、全員が命を落とすことになる。

「時間がない。」ダリウスは冷静に思った。「この情報を持ち帰らなければ、王国の未来はどうなるかわからない。」

その決断を胸に、ダリウスは集会の終息を迎える前に、秘密裏にその情報を王国に送るための手配を進めることを決意した。彼の任務は、単なる情報収集ではなく、王国の未来を左右する重要な鍵を握っていた。

帰還への道

集会が終わり、ダリウスは反戦勢力の一部と共に屋敷を後にした。その後、慎重に退路を確保しながら、王国へ帰還するための準備を整えた。彼は、集会で得た情報を迅速に届けることが最優先であり、すべての行動がそのために行われるべきだと決心していた。

帰還の道中、ダリウスは何度も自分の判断を振り返った。ラドヴァン帝国の内部分裂を利用するためには、反戦勢力と協力するしか道はない。しかし、それは非常に危険な選択でもあった。

それでも、ダリウスは覚悟を決め、王国への帰還を目指して歩みを進めた。