『Pâtisserie Hina 〜夢と絆のスイーツ物語〜』

第7章 フードアカデミーニューヨーク校開校！

第142話 - 学生食堂、実習の場に

ルイは、アカデミーの学生たちにさらなる挑戦を与えようと決心した。これまでの講義や実習で得た知識と技術を、実際の現場で生かすためのステップとして、アカデミー内に「学生食堂」を開設することにした。この食堂では、学生たちが料理の実習をしながら、一般のお客様にも提供する形を取ることにしたのだ。

「学生たちにとって、この食堂が実際の調理現場と同じような感覚で学べる場所になればいいと思っている。」ルイは、スタッフたちに説明した。「私たちが提供する料理がどれほどの価値を持つかを、学生たちに実感させるためには、実際にお客様の目の前で料理を作り、提供することが重要です。」

スタッフの瑠奈と翔太は、ルイのビジョンに賛同し、学生食堂の準備を進めていった。食堂のメニューは、学生たちが学んでいる技術や基礎を基に、旬の食材を使用したシンプルながらも魅力的な料理を提供することになった。

学生たちの初めての実習
学生たちは、最初は緊張していた。自分たちが作った料理が実際にお客様に提供されるのは初めての経験だったからだ。アレックスは、フランス料理のスープを担当し、リンは中華料理の前菜を担当することになった。

「緊張するけど、ルイさんが言ってたように、料理は感覚だ。」アレックスは、自分の前に置かれた材料を見ながら、少しずつ心を落ち着けていった。「お客様に美味しい料理を届けることが一番大事だ。」

「私も頑張るわ。」リンは、手際よく食材を切り分けながら、前菜の盛り付けを考えていた。彼女もまた、ルイの教えを胸に、常に前向きな気持ちで実習に臨んでいた。

ルイのサポートとアドバイス
ルイは、各学生の作業を見守りながら、適切なタイミングでアドバイスを送った。「アレックス、スープの煮込み時間はもう少し長くしたほうがいいわ。リン、その前菜、色合いが素晴らしいけど、少しソースを工夫するともっと引き立つわよ。」

学生たちは、ルイからのアドバイスを一つ一つ丁寧に受け入れ、改善点を見つけながら作業を進めていった。ルイのサポートは、単なる技術的なアドバイスにとどまらず、学生たちの自信を育むための励ましでもあった。

「料理においては、失敗を恐れてはいけないわ。失敗から学ぶことこそが成長につながるのよ。」ルイは、学生たちに何度もその言葉を伝えていた。

食堂の開店日
いよいよ、学生食堂の開店日がやってきた。ルイは、学生たちに向けて最初のメニューを発表した。そこには、アレックスのフランス料理のスープ、リンの中華前菜、そしてその他の学生たちが担当する料理が並んでいた。

「お客様には、私たちの学びを提供します。」ルイは、学生たちに最後の励ましをかけた。「この食堂での実習が、みんなの成長に繋がると信じているから、思いっきり挑戦してみて。」

学生たちは一気に気持ちを高め、実際のお客様を迎え入れる準備を整えた。食堂のスタッフも、学生たちのサポートをしながら、初めての本番に備えた。

お客様の反応
開店直後、お客様が次々と食堂に入ってきた。学生たちは、初めての実践で少し緊張しながらも、料理を提供し始めた。アレックスが作ったスープは、まろやかな味わいと香りが広がり、リンの前菜は色鮮やかで美しい盛り付けが特徴だった。お客様からは次々と「美味しい！」という声が上がり、学生たちもその反応に自信を深めていった。

「やった、成功だ！」アレックスは、スープが無事に提供できたことに満足して、リンに声をかけた。「最初はどうなるかと思ったけど、やっぱり料理は楽しい！」

リンも嬉しそうに頷いた。「私も。これからもっと上手くなりたいと思った。」

ルイは、そんな学生たちの成長を見守りながら、微笑んだ。「みんな、本当に素晴らしいわ。これが、私たちが目指していたことよ。学び続けて、成長する。これからもその調子で頑張りなさい。」