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ギャロワ邸④

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(それって……?)

その言い方はまるで……。真意を確かめる前に、ミレーユの体から温もりは離れていった。

サイラスは自分を慰める意味で、そのようなことを言ったのだろうか。このまま縋れたら楽になれるかもしれない。一瞬過ってしまった思いを、ミレーユは必死に打ち消した。
サイラスに縋ってしまっては、自分もユージオと同じになる。自分が現実から逃げるために、他人を利用してはいけない。

そう自分を奮い立たせた途端、ミレーユから完全に身体を離したサイラスは、真っ直ぐに目を見て告げる。

「オズインも言っていたが、身の危険を感じるようであれば、今夜はここへ滞在出来るよう手配がすんでいる。
明日からは実家に身を寄せるなりするか、考えよう。俺達も調査を急ぐ」
「ありがとうございます」

ミレーユの実家は家族仲が良く、両親は自分を迎え入れてくれる事は分かっている。
それでも他家に嫁いだ自分が嫁ぎ先に戻らず、実家に身を寄せるのは世間的にもあまりいい事ではない。サイラスが調査を急ぐと言ってくれているのも、時間が限られていることを意味する。


「エルランジェ伯爵が無実の可能性もあるが……」
「はい。例え夫が無実であったとしても、危険人物と愛人関係にあるのだから、私としても言い分はちゃんとあります」

自分には悠長に考えている暇はない。どのような結果になろうと、今後の事を自分で見据えなければならない。


この日はギャロワ邸に一泊だけさせてもらい、次の日の昼過ぎに実家へ帰るの事となった。
両家には既に連絡が行っており、実家も了承済みである。
どうしても体調が回復せず、一度実家で養生するという旨を書き添えて、エルランジェ邸へと手紙が届けられた。
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