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トラブル③
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「こ、この方がセオラス様やヴァシル様や色んな方々に馴れ馴れしく声を掛けいらっしゃるから、その態度を注意して差し上げたのですわっ」
「婚約者のいる方なら兎も角、セオラスは決まった方はいないでしょう?アントネスク卿も婚約者がいるなんて聞いた事はないわ」
刺激しないように、ただ矛盾を指摘する。
「で、でもフレデリック殿下の側近であらせられる、セオラス様に声を掛けるなんて……。きっとセオラス様に近づいたのも、ゆくゆくはフレデリック殿下へ取り入るためかもしれません!」
「そうです!わたくし達はセレスティア様のためを思って……!」
──まさかのわたしの為発言!?本当か!?それって、今咄嗟に思いついた言い訳じゃないでしょうね!?
しかも「きっと」とか「かもしれない」という想像の範囲の話をされても困る。
脳内でツッコミを入れつつ、わたしはなおも平静に呟く。
「わたくしのため?」
問いに、強く首を縦に振る者もいれば、視線を落とす者など、反応は様々だった。
「自分達が気に入らないという理由で、軽々しく我が公爵家や王家の名を出してはいけないわ。
王家を利用しようとしているも同然と、受け取られるかもしれないと、自覚した上での発言かしら?」
「そんなつもりはっ!?」
無表情だと冷ややかに見えるセレスティア。
話しているのは自分の筈なのに、感覚はどこか客観的だった。
声音を落として、淡々と事実だけを落ち着いた声で紡ぐ様は、まるで本来のセレスティアの話し方そのもの。
そもそも本来の自分は、人に注意なんて出来る性格ではない。ここはセレスティアに成り切るしかない。
そして先程のわたしの言葉に、皆が全員が血相を変えた。
「エリカさんがダンドリュー家の養女となったのは、陛下直々の打診よ。これは陛下とダンドリュー伯爵の信頼間があったから成立したの。そしてエリカさんがこの学園へ入学する事を、お決めになられたのも陛下。この状況は、陛下に意を唱える覚悟があっての事だったのかしら?」
「そんなっ!?」
エリカさんを取り囲み、憤りをぶつけていた令嬢達は、青ざめた表情で悲痛な声を上げた。国王陛下が判断された事実と知った途端に、事の重大さに気付いたようだ。
しかし考えもせずに、浅はかな行動に出てしまった事実は消えはしない。
「詳細を知らされず、彼女の存在に疑問を持ったのかもしれないけれど、陛下に意を唱えたとあれば、貴女方の生家が王家に反旗を翻したと受け取られて当然なのよ」
「ど、どうしましょう?」
先程まで勢いのあった面々まで、意気消沈した様子で、顔を見合わせている。
「今回は陛下に告げ口をしようとは考えていないから、今後はこのような事は控えた方がいいわ。
他の方に見られでもして、大ごとになってしまったら大変よ、それこそフレデリック殿下に知られてしまったらわたくしでは、貴女方を守るのは難しいわ。流石に王家から守るのはね……」
「ありがとうございます。……申し訳ございませんでしたセレスティア様」
「申し訳ございません」
ただエリカさんのみを庇った訳ではなく、わたしがそれぞれの生家の顔を潰さない為に思案していると、汲み取ってくれたようだ。
令嬢達はわたしのみに謝罪し、すぐに中庭を後にした。
エリカさんに対して確かに感情的に攻め立てた彼女達だが、自分や家の体面を気にしなくてはいけない理性は持ち合わせている。
日本の不良達に比べれば、お育ちのいい令嬢達は余程扱いやすいだろう。
不良と喧嘩した事はないけど……。
──今になって震えそうになってきた……。
わたしは震えそうな肩を、もう片方の手で抑える。
「婚約者のいる方なら兎も角、セオラスは決まった方はいないでしょう?アントネスク卿も婚約者がいるなんて聞いた事はないわ」
刺激しないように、ただ矛盾を指摘する。
「で、でもフレデリック殿下の側近であらせられる、セオラス様に声を掛けるなんて……。きっとセオラス様に近づいたのも、ゆくゆくはフレデリック殿下へ取り入るためかもしれません!」
「そうです!わたくし達はセレスティア様のためを思って……!」
──まさかのわたしの為発言!?本当か!?それって、今咄嗟に思いついた言い訳じゃないでしょうね!?
しかも「きっと」とか「かもしれない」という想像の範囲の話をされても困る。
脳内でツッコミを入れつつ、わたしはなおも平静に呟く。
「わたくしのため?」
問いに、強く首を縦に振る者もいれば、視線を落とす者など、反応は様々だった。
「自分達が気に入らないという理由で、軽々しく我が公爵家や王家の名を出してはいけないわ。
王家を利用しようとしているも同然と、受け取られるかもしれないと、自覚した上での発言かしら?」
「そんなつもりはっ!?」
無表情だと冷ややかに見えるセレスティア。
話しているのは自分の筈なのに、感覚はどこか客観的だった。
声音を落として、淡々と事実だけを落ち着いた声で紡ぐ様は、まるで本来のセレスティアの話し方そのもの。
そもそも本来の自分は、人に注意なんて出来る性格ではない。ここはセレスティアに成り切るしかない。
そして先程のわたしの言葉に、皆が全員が血相を変えた。
「エリカさんがダンドリュー家の養女となったのは、陛下直々の打診よ。これは陛下とダンドリュー伯爵の信頼間があったから成立したの。そしてエリカさんがこの学園へ入学する事を、お決めになられたのも陛下。この状況は、陛下に意を唱える覚悟があっての事だったのかしら?」
「そんなっ!?」
エリカさんを取り囲み、憤りをぶつけていた令嬢達は、青ざめた表情で悲痛な声を上げた。国王陛下が判断された事実と知った途端に、事の重大さに気付いたようだ。
しかし考えもせずに、浅はかな行動に出てしまった事実は消えはしない。
「詳細を知らされず、彼女の存在に疑問を持ったのかもしれないけれど、陛下に意を唱えたとあれば、貴女方の生家が王家に反旗を翻したと受け取られて当然なのよ」
「ど、どうしましょう?」
先程まで勢いのあった面々まで、意気消沈した様子で、顔を見合わせている。
「今回は陛下に告げ口をしようとは考えていないから、今後はこのような事は控えた方がいいわ。
他の方に見られでもして、大ごとになってしまったら大変よ、それこそフレデリック殿下に知られてしまったらわたくしでは、貴女方を守るのは難しいわ。流石に王家から守るのはね……」
「ありがとうございます。……申し訳ございませんでしたセレスティア様」
「申し訳ございません」
ただエリカさんのみを庇った訳ではなく、わたしがそれぞれの生家の顔を潰さない為に思案していると、汲み取ってくれたようだ。
令嬢達はわたしのみに謝罪し、すぐに中庭を後にした。
エリカさんに対して確かに感情的に攻め立てた彼女達だが、自分や家の体面を気にしなくてはいけない理性は持ち合わせている。
日本の不良達に比べれば、お育ちのいい令嬢達は余程扱いやすいだろう。
不良と喧嘩した事はないけど……。
──今になって震えそうになってきた……。
わたしは震えそうな肩を、もう片方の手で抑える。
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