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カーテンの僅かな隙間から、朝の陽光が漏れる室内。
寝台の上で夢と現実に微睡むシルヴィアが、長い銀色の睫毛を震わせる。身体を身動がせ、寝返りを打つと、身体を包み込む暖かさを一層全身で感じる。
「ん……」
あまりにも心地よくて、このままでいたいけれど、瞼が薄く開いた。目の前にはシルヴィアを抱きしめる胸板。背中には回された腕。
そして視線を上げると、アレクセルの美しい寝顔が、視界に飛び込んできた。
「!!!??」
(ビビビ、びっくりした~!!目覚めた瞬間に美形の寝顔なんて、心臓に悪過ぎる!!顔、近っ!?)
神の前で誓い合った夫婦なのだから当然「閨を共にする」事を了承したが、朝っぱらから中々の破壊力を痛感してしまった。
(これが毎朝毎晩なんて慣れるのかしら……?やっぱり美形は寝ていても美形なんですね……)
ついアレクセルの通った美しい鼻や、形のいい眉や唇をまじまじと見てしまう。
すると、アレクセルの紫水晶の瞳が開いた。
「っ!?」
声にらない悲鳴を上げ、固まるシルヴィアの目の前で、微塵も取り乱さないアレクセルがじっとこちらを見つめている。これでは自分が寝顔を盗み見ていたみたいではないかと、内心狼狽しながら、どうしらばっくれようかと思索を巡らしていた。
そんなシルヴィアの心中など露知らず、彼は朝っぱらから爽やかにフワリと微笑んだ。
「おはようございますシルヴィア、もう起きていたのですね?」
「あ、は、はい。今です。私も丁度今起きたのですっ」
中々自分でも苦しい言い訳だったが、これしか思い浮かばなかった。
「そうですか」とにっこりと微笑むアレクセルが、きっと納得してくれたのだから良しとする事にした。そしてそのまま、シルヴィアの胸に埋めるように、抱きついてきた。
いきなりのアレクセルの行動に驚くシルヴィアだが、目の前の艶やかなワインレッドの髪に視線がいった。
(旦那様ったら、寝惚けていらっしゃるの?……それにしても、綺麗な髪。触れても大丈夫かしら?)
胸が早鐘を打ち始める中、恐る恐るワインレッドの髪へと手を伸ばし、指が触れる。
もっと感触を確かめたくて、髪を指で梳いたり、頭を撫でる様にするとアレクセルが気持ちよさそうに首に擦り寄ってきた。
(何だか懐っこいワンコみたい……)
シルヴィアがクスリと微笑んだ瞬間、寝室の扉が開く気配がした。
「旦那様、奥様おはようございます」
室内に入って来た侍女二人が挨拶をし、カーテンをタッセルに纏めたりと朝の準備をしていく。
「旦那様、起きる時間のようですね?」
「……」
動かなくなったアレクセルに、シルヴィアが声をかけるも返事はない。
「起きていらっしゃいますよね?」
「……起きてない」
起きた瞬間から、あんなにも爽やかに微笑んでいたのにも関わらず、駄々をこね始めるアレクセルが途端子供っぽく見えて、何だか微笑ましく思ってしまう。
もっとシルヴィアを堪能したくて起きたくなかったアレクセルだが、しばらくすると観念して身体を起こした。侍女が用意したトレイの上に乗せられた、ボウルの水で顔を洗うと、騎士服へと着替えるために、私室へと戻っていった。
寝台の上で夢と現実に微睡むシルヴィアが、長い銀色の睫毛を震わせる。身体を身動がせ、寝返りを打つと、身体を包み込む暖かさを一層全身で感じる。
「ん……」
あまりにも心地よくて、このままでいたいけれど、瞼が薄く開いた。目の前にはシルヴィアを抱きしめる胸板。背中には回された腕。
そして視線を上げると、アレクセルの美しい寝顔が、視界に飛び込んできた。
「!!!??」
(ビビビ、びっくりした~!!目覚めた瞬間に美形の寝顔なんて、心臓に悪過ぎる!!顔、近っ!?)
神の前で誓い合った夫婦なのだから当然「閨を共にする」事を了承したが、朝っぱらから中々の破壊力を痛感してしまった。
(これが毎朝毎晩なんて慣れるのかしら……?やっぱり美形は寝ていても美形なんですね……)
ついアレクセルの通った美しい鼻や、形のいい眉や唇をまじまじと見てしまう。
すると、アレクセルの紫水晶の瞳が開いた。
「っ!?」
声にらない悲鳴を上げ、固まるシルヴィアの目の前で、微塵も取り乱さないアレクセルがじっとこちらを見つめている。これでは自分が寝顔を盗み見ていたみたいではないかと、内心狼狽しながら、どうしらばっくれようかと思索を巡らしていた。
そんなシルヴィアの心中など露知らず、彼は朝っぱらから爽やかにフワリと微笑んだ。
「おはようございますシルヴィア、もう起きていたのですね?」
「あ、は、はい。今です。私も丁度今起きたのですっ」
中々自分でも苦しい言い訳だったが、これしか思い浮かばなかった。
「そうですか」とにっこりと微笑むアレクセルが、きっと納得してくれたのだから良しとする事にした。そしてそのまま、シルヴィアの胸に埋めるように、抱きついてきた。
いきなりのアレクセルの行動に驚くシルヴィアだが、目の前の艶やかなワインレッドの髪に視線がいった。
(旦那様ったら、寝惚けていらっしゃるの?……それにしても、綺麗な髪。触れても大丈夫かしら?)
胸が早鐘を打ち始める中、恐る恐るワインレッドの髪へと手を伸ばし、指が触れる。
もっと感触を確かめたくて、髪を指で梳いたり、頭を撫でる様にするとアレクセルが気持ちよさそうに首に擦り寄ってきた。
(何だか懐っこいワンコみたい……)
シルヴィアがクスリと微笑んだ瞬間、寝室の扉が開く気配がした。
「旦那様、奥様おはようございます」
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「旦那様、起きる時間のようですね?」
「……」
動かなくなったアレクセルに、シルヴィアが声をかけるも返事はない。
「起きていらっしゃいますよね?」
「……起きてない」
起きた瞬間から、あんなにも爽やかに微笑んでいたのにも関わらず、駄々をこね始めるアレクセルが途端子供っぽく見えて、何だか微笑ましく思ってしまう。
もっとシルヴィアを堪能したくて起きたくなかったアレクセルだが、しばらくすると観念して身体を起こした。侍女が用意したトレイの上に乗せられた、ボウルの水で顔を洗うと、騎士服へと着替えるために、私室へと戻っていった。
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