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セインと二人での帰り道、邸が近づくにつれとある疑問が浮かんでくる。
(私、何処から邸に入ろう?)
町からの帰りは普段なら、こっそり塀を飛び越えて裏庭から邸内に侵入、ではなく帰宅する。
そもそもトレースにも邸を抜け出している事が当然のように報告されていて、詳細もバレているのだろうか?
そんな事、怖くて聞けない!でもちょっと気になる……。
「せ、セイン。では私は一旦飛行魔法を使って塀を乗り越えて、裏手から戻りますね」
「畏まりました」
なんと了承されてしまった。
もし、邸のほとんどの人が自分が邸を抜け出して、町に遊びに行っている事を知っているのであれば、滑稽だなと思った。
だがこのお忍びの格好のまま、堂々と正門から帰宅する勇気もない。
相変わらず不審者か泥棒のように、窓からご帰宅した公爵夫人シルヴィア。
寝室に戻ると、町へ行くために着ていたシンプルなドレスを脱いで、自ら女主人として相応しい装いへと着替えた。
**
晩餐の時間となり、一階へと降りる。ダイニングに入ると、執事トレースより旦那様のご帰宅が今夜は遅い事。そして晩餐は一緒に取れない旨を伝えられた。
「流石に今日はお帰りになられるとは思っていないわ。私は気にならないから大丈夫よ」
笑顔を向けてくるシルヴィアの言葉に、トレースは苦笑いを浮かべつつ、心中で頭を抱えていた。
就寝時間に、本日はラヴェンダー色の寝衣をを纏い、ハーブ水を飲んでから寝台へと入る。
今日は町に出かけたりと中々充実した一日だった。途中セインが出てきて驚きはしたが、あのままだったら旦那様と目があって気不味い事になっていたかもしれない。セインに感謝しつつ、深い眠りへとおちていった。
**
微睡みの中、薄っすらと瞼を開けるとすぐそこにあったのは旦那様のお美しいお顔……。
「シルヴィア……」
「ひぃぃっ!?」
朝の第一声が「ひぃぃっ」になるとは自分でも驚きだ!
固まっていたシルヴィアだが、取り敢えず一言発する事にした。
「お、おはようございます」
「おはようございます。すみません、驚かせてしまって……」
既に騎士服を着込んだアレクセル。どうやら寝台の隅に座り、シルヴィアの寝顔を覗き込んでいたらしい。一体いつからそうしていたのか、確かめるのは恐ろしい。
それと同時に、いつ寝たり身体を休めているの心配になってくる。
「セインから聞きました、昨日下町で私を見かけたそうですね」
「え、ええ……。そうですね……」
ぼんやりとした思考の中、突然『昨日』と言われ懸命に記憶を探る。
昨日は町でセインと揚げパンを食べ……その前に留まっている馬車の中にアレクセルがいて、後から黒髪の美女が乗り込んで行ったのだった。
(ということは……昨日の事旦那様にバラしたわねセイン……!?この分だと旦那様のみならず、トレースにも下町で買い食いしてた事を告げられてるわ……!)
アレクセルに知られてしまったという事実に、頭を抱えそうになるのを堪え、記憶をしっかりと確認する。顔を痙攣らせるシルヴィアを見つめながら、アレクセルは眉根を寄せる。
「不快な思いや不安にさせてしまって申し訳ありません」
「えっ?」
(不快な思いや不安??え、滅茶苦茶快適に寝ていたのですが……)
むしろ町を散歩した事による適度な運動が、快眠へと繋がった気がする。
「今ここで弁明したとしても、きっと不信感は無くならないと思います。だから、直接無実を証明したいのです。もしよろしければ、今日一緒に王宮へ赴き、真実を知って頂けませんか?」
困惑気味なシルヴィアであったが、彼の真摯な眼差しに訴えられ、真面目に頷き返した。
「わ、分かりました」
(私、何処から邸に入ろう?)
町からの帰りは普段なら、こっそり塀を飛び越えて裏庭から邸内に侵入、ではなく帰宅する。
そもそもトレースにも邸を抜け出している事が当然のように報告されていて、詳細もバレているのだろうか?
そんな事、怖くて聞けない!でもちょっと気になる……。
「せ、セイン。では私は一旦飛行魔法を使って塀を乗り越えて、裏手から戻りますね」
「畏まりました」
なんと了承されてしまった。
もし、邸のほとんどの人が自分が邸を抜け出して、町に遊びに行っている事を知っているのであれば、滑稽だなと思った。
だがこのお忍びの格好のまま、堂々と正門から帰宅する勇気もない。
相変わらず不審者か泥棒のように、窓からご帰宅した公爵夫人シルヴィア。
寝室に戻ると、町へ行くために着ていたシンプルなドレスを脱いで、自ら女主人として相応しい装いへと着替えた。
**
晩餐の時間となり、一階へと降りる。ダイニングに入ると、執事トレースより旦那様のご帰宅が今夜は遅い事。そして晩餐は一緒に取れない旨を伝えられた。
「流石に今日はお帰りになられるとは思っていないわ。私は気にならないから大丈夫よ」
笑顔を向けてくるシルヴィアの言葉に、トレースは苦笑いを浮かべつつ、心中で頭を抱えていた。
就寝時間に、本日はラヴェンダー色の寝衣をを纏い、ハーブ水を飲んでから寝台へと入る。
今日は町に出かけたりと中々充実した一日だった。途中セインが出てきて驚きはしたが、あのままだったら旦那様と目があって気不味い事になっていたかもしれない。セインに感謝しつつ、深い眠りへとおちていった。
**
微睡みの中、薄っすらと瞼を開けるとすぐそこにあったのは旦那様のお美しいお顔……。
「シルヴィア……」
「ひぃぃっ!?」
朝の第一声が「ひぃぃっ」になるとは自分でも驚きだ!
固まっていたシルヴィアだが、取り敢えず一言発する事にした。
「お、おはようございます」
「おはようございます。すみません、驚かせてしまって……」
既に騎士服を着込んだアレクセル。どうやら寝台の隅に座り、シルヴィアの寝顔を覗き込んでいたらしい。一体いつからそうしていたのか、確かめるのは恐ろしい。
それと同時に、いつ寝たり身体を休めているの心配になってくる。
「セインから聞きました、昨日下町で私を見かけたそうですね」
「え、ええ……。そうですね……」
ぼんやりとした思考の中、突然『昨日』と言われ懸命に記憶を探る。
昨日は町でセインと揚げパンを食べ……その前に留まっている馬車の中にアレクセルがいて、後から黒髪の美女が乗り込んで行ったのだった。
(ということは……昨日の事旦那様にバラしたわねセイン……!?この分だと旦那様のみならず、トレースにも下町で買い食いしてた事を告げられてるわ……!)
アレクセルに知られてしまったという事実に、頭を抱えそうになるのを堪え、記憶をしっかりと確認する。顔を痙攣らせるシルヴィアを見つめながら、アレクセルは眉根を寄せる。
「不快な思いや不安にさせてしまって申し訳ありません」
「えっ?」
(不快な思いや不安??え、滅茶苦茶快適に寝ていたのですが……)
むしろ町を散歩した事による適度な運動が、快眠へと繋がった気がする。
「今ここで弁明したとしても、きっと不信感は無くならないと思います。だから、直接無実を証明したいのです。もしよろしければ、今日一緒に王宮へ赴き、真実を知って頂けませんか?」
困惑気味なシルヴィアであったが、彼の真摯な眼差しに訴えられ、真面目に頷き返した。
「わ、分かりました」
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