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その47
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この湖の館へ戻ってから数日が過ぎ、オリヴィアは表面上に至っては元気なようにも見えるが、一人ぼんやりと過ごす時間が増えていた。
厨房へ顔を出すのが日課であったのにも関わらず、それもパタリとなくなっている。
厨房の使用人達は、いつも厨房の雰囲気を明るくしてくれる主人が訪れるのを待ちながら、確かな寂しさを感じていた。
定期的に厨房内の誰かが「お嬢様、いらっしゃらないですね……」と呟くも、一番オリヴィアに絡まれていたパティシエ、カルロスは無言のままだった。
◇ ◇ ◇
本日は休暇のローズに代わり、朝から侍女のナタリーが、起床からお世話をしてくれている。
金茶の髪と、茶色のほんのりタレ気味な瞳に泣き黒子。女性らしい体つきの彼女だが、腰回りは絞られていて、理想的な肉体美を有する、穏やかな雰囲気の大人の女性である。
「お嬢様、気分を変えるためにいつもと違う香油を使ってみましょうか?」
薔薇と共に、フローラルな香りがほんのりと漂う。あまり強い香りを好まないオリヴィアのために、選んでくれたのが分かる香油だった。
「いい香り……」
櫛で髪を丁寧に梳かしてくれる際の、ナタリーの優しい手付きも心地いい。
夜になると寝付きに良いとされる、オレンジブロッサムのハーブティーを用意してくれた。
ナタリーの「すぐにご就寝なさいますか?」との問いに、本を読むからしばらく起きているとオリヴィアは返答する。正確には、寝ようと思っても中々寝付けない為、最近は本を読む時間を長く設けている。
「畏まりました」
一旦退室したナタリーが、手に戻ってきたのは大きめの蝋燭。
夜の読書には欠かせない蝋燭だが、普通の物より一回り大きく感じる。
「ハーブのエキスが含まれた蝋燭ですわ」
蝋燭に火を灯すと、室内は落ち着いた香りに包まれ、慣れ親しんだ懐かしさが込み上げてきた。
それはオリヴィアが子供の頃から修行している神殿に起因する。神殿は特効薬の研究から、薬草やハーブの栽培を積極的に行っている。加えて香りが魔を浄化するといった考えも合わさって、神殿内ではハーブが頻繁に使用されている。
温かいハーブティーを飲みながら、香りに包まれ、心身共に癒されていく気がした。
久々にぐっすり眠れるような気がして、読んでいた本をサイドテーブルに起き、蝋燭を吹き消す。
(本当にいい香り……)
灯りは消えても室内は優しい香りが漂い、オリヴィアを眠りへと誘った。
厨房へ顔を出すのが日課であったのにも関わらず、それもパタリとなくなっている。
厨房の使用人達は、いつも厨房の雰囲気を明るくしてくれる主人が訪れるのを待ちながら、確かな寂しさを感じていた。
定期的に厨房内の誰かが「お嬢様、いらっしゃらないですね……」と呟くも、一番オリヴィアに絡まれていたパティシエ、カルロスは無言のままだった。
◇ ◇ ◇
本日は休暇のローズに代わり、朝から侍女のナタリーが、起床からお世話をしてくれている。
金茶の髪と、茶色のほんのりタレ気味な瞳に泣き黒子。女性らしい体つきの彼女だが、腰回りは絞られていて、理想的な肉体美を有する、穏やかな雰囲気の大人の女性である。
「お嬢様、気分を変えるためにいつもと違う香油を使ってみましょうか?」
薔薇と共に、フローラルな香りがほんのりと漂う。あまり強い香りを好まないオリヴィアのために、選んでくれたのが分かる香油だった。
「いい香り……」
櫛で髪を丁寧に梳かしてくれる際の、ナタリーの優しい手付きも心地いい。
夜になると寝付きに良いとされる、オレンジブロッサムのハーブティーを用意してくれた。
ナタリーの「すぐにご就寝なさいますか?」との問いに、本を読むからしばらく起きているとオリヴィアは返答する。正確には、寝ようと思っても中々寝付けない為、最近は本を読む時間を長く設けている。
「畏まりました」
一旦退室したナタリーが、手に戻ってきたのは大きめの蝋燭。
夜の読書には欠かせない蝋燭だが、普通の物より一回り大きく感じる。
「ハーブのエキスが含まれた蝋燭ですわ」
蝋燭に火を灯すと、室内は落ち着いた香りに包まれ、慣れ親しんだ懐かしさが込み上げてきた。
それはオリヴィアが子供の頃から修行している神殿に起因する。神殿は特効薬の研究から、薬草やハーブの栽培を積極的に行っている。加えて香りが魔を浄化するといった考えも合わさって、神殿内ではハーブが頻繁に使用されている。
温かいハーブティーを飲みながら、香りに包まれ、心身共に癒されていく気がした。
久々にぐっすり眠れるような気がして、読んでいた本をサイドテーブルに起き、蝋燭を吹き消す。
(本当にいい香り……)
灯りは消えても室内は優しい香りが漂い、オリヴィアを眠りへと誘った。
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