町娘に転生した乙ゲー嫌いのオタ少女は悪役達から求愛される！？

3章 町娘はヒーローで時にヒロインである

53話

「……頭いった」

なんか目が覚めたらパーティー終わってたし。
それに騎士団とか色々いたしなにがあったんだか。

「いやぁー大丈夫かい？ 明音」

ふらふらしながら歩いてたら神様がぴょこっと近寄ってくる。

「……大丈夫なわけあるか。なんで半分くらい記憶がないんだよ私は。頭痛いし、私に何があった？」

すると神様はにこにこしながら私を見つめる。

「何も無いよ！ いやぁ！ ちょっと色々あったけど何も無かったさ！」

……怪しいなこの神様。

「それにしても君の友達は強いね！ いやぁ本当に君がナイトだと思ったら君の方が囚われのプリンセスになるとはね！」

「どういうことさ」

目を細めて彼に聞くと、口を3の形にしてピューピュー口笛を吹く。
こいつ、なんか隠してるな。

「……楽しかったわね神様。神様が一番面白かったのってなに？」

「そりゃもちろん！ 君とエリオットのダンスさ！ 君を助けてくれたお礼に、君を酔っ払わせたまんまで起こしたら、楽しそうに踊っちゃってさぁ！ あはは！ いや君酔ったらあんな風になるんだね！ ガチで君主人公……あっやべ」

……ボロを出すのが早いよ神様。

「……神様？ 私の無くした記憶を教えてくださいな」

「ぎゃあああ！ そんな顔しないで！ 怖いって！怖いから！」

「教えなさい！ 神様！ 私が何をやった！ 何をしでかした！」

睨みつけると彼は持ってた杖を落としたのでそれを拾って脅してやった。

「怒るな怒るなって！ ただの女の子がする事だからさ！ いやぁ君イケメン主人公かと思ったら愛らしいヒロインもやれちゃうんだから凄いね！」

「誰がヒロインだって！？ 私はそんなんじゃないぞ！？ 私は沢山のキャラに媚びを売って好かれるようなキャラじゃない！  私が一番嫌いなタイプだよ！ そんなキャラに私がなるわけないじゃないか！」 

指をさして言い放ったら彼はガラスの仮面のような顔をしてピシッと固まる。

「……むっ無自覚系だ！ 無自覚系鈍感主人公だ！ ラブコメの腹立つ感じの主人公と登場人物皆の心を落とす女主人公が合わさったオタクの敵主人公がここに爆誕したぞ！？」

「何訳わかんないこといってんの！？」

もはやツッコミが追いつかない。
というかこの神様一体何を見たんだ！？
……なんか、知ったら自分が自分で無くなりそうだったのでもう聞くのはやめた。