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3章 町娘はヒーローで時にヒロインである
52話
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「……おーい、アカネ、おーい」
呼びかけても彼女は起きない。
すやすや幸せそうに寝顔を見せる彼女。
さっきまで危ない目に遭いかけてたのに、寝てるなんて……
「ふぁーい、なんれしゅか~うぃ~っす」
「おわっ!? ……おはようアカネ」
ぼーっと彼女を見ていたら、急に目を開けてゆるふわな雰囲気を出して彼女は手を挙げる。
「あ~エリー、おは~」
……なんか凄いそわそわする。
「どうした~? エリー私の事見ちゃって~えっへっへ、明音ちゃんを見つめたって何も起こんないよ~」
……酔ってるなアカネ。
酒を飲まされて運ばれたのか……はぁなんで僕ら喧嘩してたんだろ。
彼女が危ない目に遭ってるてのに……
「……ごめんね、もう君から目を離さないから」
僕がそう言うと彼女はふふっと笑って僕の顔に手を当ててくる。
「おうおう、離すなよ~私を見てろ~私の活躍から目を離すな~」
ゆるゆると笑って彼女は機嫌よく頬を叩く。
触られるだけでドキドキするのにその笑顔は駄目だろ……もうなんか頭おかしくなりそう。
「……あれぇ? なんで私寝てるのに景色が変わってるの? ……あー! エリー降ろして降ろして! おーろーしーてー!」
抱っこされてるのに気づいて急にじたばたするアカネ。
可愛いけど、落としたら危ないので降ろすことにした。
「急にどうしたのさ」
「……なんか恥ずかしいから」
顔を赤らめてスカートを摘む彼女。
思わず体が動いて彼女に近づいてしまった。
あっ危ない!
このままだと手を出してたぞ!?
……落ち着け、落ち着け。
ここで手を出したら彼女との関係がおかしくなることは目に見えてるぞ!?
「……エリー?」
キョトンとした顔で僕を見つめる彼女。
「……なんでもない、そうだ僕と踊ってよ。レイラに邪魔されて踊れてなかったからね。いいかな?」
「うん、いいよ。踊ろエリオット」
にへらと笑って彼女は僕の手を取った。
そのまま体を寄せて無音の中彼女と共に動く。
僕ら二人だけ邪魔者はいない、こんな最高の時間をくれた神様に感謝だよ。
「……いやぁ、ありがとうありがとう! 僕も嬉しいよ! これはムービー撮らなきゃそんだね! あはは! 明音が酔っ払ってさえいなければもっと面白いのになぁ~いや、酔ってたからこそ見られたのかこれは!」
……なんか変な声が聞こえたけど気にしない。
そういや、さっきから聞こえる変な声はなんなんだよ。
まったく雰囲気ぶち壊しだ、僕の邪魔をするなよな。
「……エリー本当に王子様なんだね。私なんか自信なくすなぁ……私なんちゃってお姫様だからさやっぱ本物の輝きには敵わないなぁ~」
目を輝かせて僕を見つめてそう言われた。
「なんちゃってじゃなくて本物のお姫様になるかい?」
「あはは~無理無理~だってへー民の私には無理~」
動いていた足を止めへらへら笑う彼女の手を強く握りぎゅっと体を寄せる。
「無理じゃない、アカネ僕の家に……」
そう言おうとした瞬間だった。
『ガシャンガシャン』と音を立ててシャッターが上がり始める。
そして光が差し込み、廊下が明るくなる。
「あーあー、システムエラーが直りました、皆様ご迷惑をお掛けしました」
……酷い邪魔が入った。
……最悪のタイミングだよ、なんで今言うかなセイラ。
「……アカネ、あのね」
「ぐぅーすぴー」
……アカネ寝ちゃったし。
言い直そうとしたら、彼女は倒れ込んで僕の胸に頭を埋める。
あーあ、なんだよこれ、いい所で。
「「いたああああ!! 何してんだエリオット!」」
「……あーもっと邪魔なヤツらが来ちゃった」
最高の時間は長くは続かないってことか。
こいつらはピーチクパーチクうるさいし。
まったく、神様は意地悪なやつだな。
呼びかけても彼女は起きない。
すやすや幸せそうに寝顔を見せる彼女。
さっきまで危ない目に遭いかけてたのに、寝てるなんて……
「ふぁーい、なんれしゅか~うぃ~っす」
「おわっ!? ……おはようアカネ」
ぼーっと彼女を見ていたら、急に目を開けてゆるふわな雰囲気を出して彼女は手を挙げる。
「あ~エリー、おは~」
……なんか凄いそわそわする。
「どうした~? エリー私の事見ちゃって~えっへっへ、明音ちゃんを見つめたって何も起こんないよ~」
……酔ってるなアカネ。
酒を飲まされて運ばれたのか……はぁなんで僕ら喧嘩してたんだろ。
彼女が危ない目に遭ってるてのに……
「……ごめんね、もう君から目を離さないから」
僕がそう言うと彼女はふふっと笑って僕の顔に手を当ててくる。
「おうおう、離すなよ~私を見てろ~私の活躍から目を離すな~」
ゆるゆると笑って彼女は機嫌よく頬を叩く。
触られるだけでドキドキするのにその笑顔は駄目だろ……もうなんか頭おかしくなりそう。
「……あれぇ? なんで私寝てるのに景色が変わってるの? ……あー! エリー降ろして降ろして! おーろーしーてー!」
抱っこされてるのに気づいて急にじたばたするアカネ。
可愛いけど、落としたら危ないので降ろすことにした。
「急にどうしたのさ」
「……なんか恥ずかしいから」
顔を赤らめてスカートを摘む彼女。
思わず体が動いて彼女に近づいてしまった。
あっ危ない!
このままだと手を出してたぞ!?
……落ち着け、落ち着け。
ここで手を出したら彼女との関係がおかしくなることは目に見えてるぞ!?
「……エリー?」
キョトンとした顔で僕を見つめる彼女。
「……なんでもない、そうだ僕と踊ってよ。レイラに邪魔されて踊れてなかったからね。いいかな?」
「うん、いいよ。踊ろエリオット」
にへらと笑って彼女は僕の手を取った。
そのまま体を寄せて無音の中彼女と共に動く。
僕ら二人だけ邪魔者はいない、こんな最高の時間をくれた神様に感謝だよ。
「……いやぁ、ありがとうありがとう! 僕も嬉しいよ! これはムービー撮らなきゃそんだね! あはは! 明音が酔っ払ってさえいなければもっと面白いのになぁ~いや、酔ってたからこそ見られたのかこれは!」
……なんか変な声が聞こえたけど気にしない。
そういや、さっきから聞こえる変な声はなんなんだよ。
まったく雰囲気ぶち壊しだ、僕の邪魔をするなよな。
「……エリー本当に王子様なんだね。私なんか自信なくすなぁ……私なんちゃってお姫様だからさやっぱ本物の輝きには敵わないなぁ~」
目を輝かせて僕を見つめてそう言われた。
「なんちゃってじゃなくて本物のお姫様になるかい?」
「あはは~無理無理~だってへー民の私には無理~」
動いていた足を止めへらへら笑う彼女の手を強く握りぎゅっと体を寄せる。
「無理じゃない、アカネ僕の家に……」
そう言おうとした瞬間だった。
『ガシャンガシャン』と音を立ててシャッターが上がり始める。
そして光が差し込み、廊下が明るくなる。
「あーあー、システムエラーが直りました、皆様ご迷惑をお掛けしました」
……酷い邪魔が入った。
……最悪のタイミングだよ、なんで今言うかなセイラ。
「……アカネ、あのね」
「ぐぅーすぴー」
……アカネ寝ちゃったし。
言い直そうとしたら、彼女は倒れ込んで僕の胸に頭を埋める。
あーあ、なんだよこれ、いい所で。
「「いたああああ!! 何してんだエリオット!」」
「……あーもっと邪魔なヤツらが来ちゃった」
最高の時間は長くは続かないってことか。
こいつらはピーチクパーチクうるさいし。
まったく、神様は意地悪なやつだな。
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