人形彼女(ZERO)

白蛇カエデ

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ある日の朝

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2222年1月29日(火)朝。立花姉弟の自宅。
立花怜央は、自分の部屋でボカロ曲を作っている。立花まどかは怜央の部屋のドアをノックする。

トントン

「怜央、おはよー」

 ……………

「ねぇ!おはよっ。」
 
………………!あ、まどかか。作曲してて気が付かなかった。俺はしぶしぶヘッドフォンを外す。

「なに?」
「『なに?』じゃないでしょ。朝はまず『おはよう』!」

……めんどくせぇ。

「なによその態度。…ていうか、怜央。また夜から朝まで起きてたの?」

 だからなんだよ。

「うわぁ…よくだね。私だったら絶対無理!最低でも8時間は寝ないと。」

 なにが言いたいんだよ。朝から。

「あーーえっと、そう!あのさ、朝ごはんは食べる?今日は怜央の好きな炊き込みご飯だよ」

 俺、炊き込みご飯が好きなんて一言も言った覚えないけど。

「えーそうだっけ?え、でもさ食べれないこともないでしょ?」

 まぁ…別に普通かな。
そうして俺は再び作業に戻ろうと画面に向き直った。
 すると、またドアをノックする音が。

ドンドン
さっきより音が大きい。
「怜央!朝ごはん食べるぅ!?」

………っあー!!なんだよあいつは。
 意味わかんねぇ。朝ごはんマニアか。
 うちは両親が共働きで2人とも朝早くに家を出ちゃうから、姉が親のようになってしまったのかもしれない。といっても、〝双子〟の姉だからほぼ同い年だけど。

うるさいからさっさと済ませよう。
「食べるよ」

 そう言い、俺は部屋のドアを開けた。
まどかの顔色がパッと明るくなる。
 
 ほんとにこいつはよくわからない。食事以外は1人でなんでも行動できるが、なぜか食事だけは1人を嫌うやつだ。それに俺はいつも付き合わされている。

 友だちを誘えばいいと思うのだが、まどかは、少し、というか感性がだいぶズレている……個性の塊なので同じような仲間があまりいないらしい。

 朝飯は…ほんとに炊き込みご飯〝だけ〟だった。まぁ朝なんてあんまりお腹すいてないし、なんなら作業の合間に夜食食べてるからいいんだけどね。でも、まどかの前で何も食べないわけにもいかないから、俺はいつもご飯茶碗1杯だけ食べるんだ。これが俺の朝飯。

 対して、まどかは朝から炊き込みご飯を3杯も食べ、ヨーグルトを食べ、牛乳を飲み、さらに納豆も食べていた。…すごい食べ合わせだな。
 それを横目に俺は米を胃に流し込む。よく、朝からそんなに食べれんな。そしてその元気さはどこから来るんだ…?

「怜央もちゃんと寝なよ笑!夜更かししてるから元気なくなるんだよ」

 あーそっか。こいつは8時間睡眠してるんだった。

 
 そもそもなんで8時間なんだろう。世間一般では8時間が良いとされてるのも意味がわからない。あのモーツァルトやエジソンだってショートスリーパーで、睡眠時間が短くてもあれだけ成果を残してるんだ。俺も、ああいう風になりたい。

「そうなの?でもさ、健康には悪いからとにかくちゃんと寝て・食べて・勉強して!」

 なんか一気に畳み掛けられたけど、補習常連者に言われたくねー。

「うっ………もうー!!いいから、早く学校行く準備して!」
「はーい笑笑」
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