人形彼女

白蛇カエデ

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美麗「私たちは、自力で移動できないの。体がないマネキンヘッドだから」

その言葉に、ハッとした。そうか。マネキンヘッドになったってことは、自分で好きな場所に行けないんだ……。東京に行ったり、推しのライブに行ったり…推しを見ることもできないのかな…?
 ここは山奥で、とてもじゃないけど、インターネットが繋がってるようには思えない。それに、七葉さんの服装や言動からしてもネット環境には弱そうだし。配信やITubeも見れないってこと…?

七葉「なんですか!?インターネットって!」

残念なことに当たってるらしい。っていうか、インターネットも知らないの…!?

七葉「なにやら、さっきから、〝いんたーねっと〟とか〝おし〟とか〝あいちゅーぶ〟とか!初めて聞く言葉ばっかりですねぇ…どういうものなんですか??」

七葉さんは目をキラキラ輝かせて聞いてきた。
いや、ええぇ…!?言われてみれば………なんて説明したらいいんだろ。私は困ってしまった。

美麗「あんた(七葉)も相当な馬鹿なのね…」
心温「……はぁ」
アイドル「えーっとネ、〝推し〟っていうのは、つまり、アタシのことだよ!!!」

え?何を言ってるの?あ、いや、まあ、間違ってはいないか。
 アイドルの子は話し続ける。

アイドル「それでネ、〝インターネット〟つまり、〝ネット環境〟っていうのは、その〝推し〟であるアタシのことを見たり、調べたりできる1つのツール?方法?みたいな感じ!!」
七葉「ほうほう!!…で、あいちゅーぶっていうのは?」
アイドル「〝あいちゅーぶ〟は、動画を見たり、投稿できるサイトとかアプリのこと!それで、〝推し〟であるアタシの映像を見ることもできるよ!」
七葉「へぇ~。え、ちょっとまって、〝さいと〟とか〝あぷり〟ってなんですか!?」 
アイドル「んえ?あーー…えっと~」

アイドルの子は言葉に詰まってしまった。
すると、如月さんがイライラしながら答えた。

美麗「ったく…サイトもアプリもさっき言った手段よ!」
七葉「手段ね!理解理解~!」

と、アイドルの子が何か気付いたようだ。

アイドル「ん!?てかさ、アタシもITubeに動画投稿してた気がするから、それを見ればちゃんと思い出せると思うんだけどなァ…」
まどか「え!?ほんとですか!」
アイドル「うん!たぶんネッ!名前わかると思う☆」
美麗「でも、ここに、そのITubeを見れるものあるかしら?」
まどか「あっ…」

そっか。あるわけない…よね……

七葉「え~と、じゃあ、〝あいちゅーぶ〟で〝おし〟は、どうすれば見れるの?」
まどか「それには、先ほどのインターネットが繋がってないと無理なんですよ…!」
七葉「〝インターネットを繋げる〟?なにそれ!どうやって繋げるんですか!?」
まどか「え、え?…えっと、ちょっとそれはいろいろ難しくてですね…」
七葉「げげげ!ムズカシイの!?それ、ワタシにもできそうかなぁ…?」
美麗「多分無理ね」
七葉「ええええええええええええ!?うそーー!」
心温「うん、無理だと思う」
アイドル「アイムsorry髭そーりー……ゴメン。さすがに、アタシもムリだと思う!!」
七葉「そ、そんなァァ!みんなして言わなくても…ね?まどかちゃん(泣)まどかちゃんはそんなこと言わないよね?ね??」
まどか「そうですねぇ……スマホやパソコン、携帯電話などの通信機器は持っていますか?」
七葉「エっ?なにそれ…持ってないよ…」
アイドル「ないなら買えばイイじゃん!買お買お!」
まどか「あ、そっか!七葉さん、お金は持ってますか?大体10万くらいは必要になると思うんですが…」
七葉「じゅ、じゅうまん……」

七葉さんは巾着袋の中身を数え始めた。

七葉「ひー、ふー、みー、よー………あ…」
まどか「どうですか?」
七葉「これは100円?かな」
一同「えええ!?」

七葉さんは巾着袋の中身を見せてきた。………うわ、ほんとだ。10円玉が10枚だけだ。ほんとにそれだけ。他にポイントカードや銀行らしきカードや必要なものもない。そっか……まぁ、小学生だもんね。そんなに大金持ってるはずもないし、スマホやパソコンも持ってるわけない…か。

まどか「ごめんなさい…申し訳ないんですが、私も、今の七葉さんの状態じゃ無理だと思います…」
七葉「まどがぢゃんまで(号泣)!!ええぇぇ…!」

七葉さんはとても落ち込んでる。
あれ?でも、七葉さん、親とかいないのかな?こんな山奥に子ども1人でなわけないよね。親ならお金もスマホも持ってるはずだし、インターネットとかの環境も整えてくれそうだけど。

七葉「……親?ああ~そんなのだいぶ前に別れましたよ」
まどか「え!?早くないですか!?」
七葉「だってワタシ、もう大人ですよ」

え、大人?こんなちっちゃいのに?いや、身長で判断するのは良くないか…。

美麗「あんた、大人だったのね。何歳?」
七葉「んー…4歳です!」
美麗「よ、よ、、よ、4歳!?!?はぁ?ちょっと、それはさすがにサバ読みすぎでしょ!!どう考えても4歳の見た目や言動じゃないし、4歳は大人じゃないわよ!矛盾にもほどがあるじゃない!?」

美麗さんは口をあんぐりあけてる。

七葉「え?おとなですよー!4年もあれば自立して親から離れられますって~笑笑」
美麗「はァァァ…頭痛くなってきたわ……」
心温「それ、本気で言ってるの?」
七葉「本気です!この目を見てください!!」

七葉さんはじっと目を見つめてきた。うーん…曇りなき純粋な目だ。嘘をついてるとは思えない。というか、七葉さん嘘つけなさそうだし。でも、彼女が4歳ということを証明できるものもない。どうしたものか…

まどか「ええぇ…じゃ、ここに七葉さん1人で暮らしてるってことですか?」
七葉「そうですよ~!」
まどか「へぇーいつから?」
七葉「あぁ~…いつからでしょうね~!でも、1年以上はここに住んでると思います~」
まどか「そうなんですね。ってなると、3歳の時には自立してたってことですかね?」
七葉「んー?そっかーそういうことになりますね!」




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