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一同「えぇぇ……」
その時、どこかから人間の声が聞こえてきた。
「今日の夜ご飯は豪華だな~♪わぁーい!」
まどか(さっき歌ってた人だ!!)
まどか「みなさん、誰か人がいますよ!」
「え?あ、ほんとダ!」
まどか「助けてもらいましょ!」
「うん!!」
私たちは助けを求めるため声を出した。しばらくすると、誰か人が草をかき分け近づいてくる音がした。
まどか「ここです!ここにいます…!!助けてください!」
その人は驚いた様子だった。
「え?え?なにこれ…!?ほんとに、あるんだ!」
〝あるんだ〟という言葉の意味はわからないが、今はそんなこと気にしていられない。
まどか「そうです!あの、私たちの顔を覆ってるものを剥がしてくれませんか?」
「あ、そっか!うん、わかった。剥がすね!」
その人物はみんなの覆ってるものを剥がしてくれた。良かった。これでとりあえず息苦しさからは解放された…。
目の前には、薄茶色の麻布を頭巾のように被っている、着物姿の少女がいた。背負ってるカゴや両手のカゴには、キノコや果物、野菜など、たくさんの食材が入っている。この人が、さっき歌ってた人…?それにしても、小さい。私よりおそらく年下だろう。小学五年生くらいかな。おつかいの帰りとか?
まどか「はぁはぁ、あ、ありがとうございます!苦しくて死ぬかと思いました…!」
「いえいえ…って、え!アナタたち、なんなの?なんで首から下がないのに喋ってるの??」
まどか「え?」
その言葉を聞いて、ふと横を見てみる。私と同じように塞がれてた人たちだ。すると、その中の赤髪の女性が叫んだ。それに続けて他の人もパニックになる。
「は?『首から下がない』?…ヒッ…イヤァー!!」
「ウソでしょ!?やっぱり体ないノ!?」
「…本当に…ないんだ」
みんな、体がない…!もちろん私もだ。やはり、体がなくなっているから動けなかったらしい。
「お、お、落ち着いて!とにかく、ワタシが来たからだいじょぶ!」
着物の少女は、不自然な日本語で励ましてくれた。
「そうだ!気持ちを落ち着かせるためには、手に〝人〟って字を書いてそれを3回飲み込めばいいって聞いたことある!ほら、こうやって…」
着物の少女はお手本を見せてくれた。でも、アホなのかなこの子…私たちその〝手〟がないんですけど…。
まどか「えっと、すみません…!とりあえず、安全な場所に移動させてもらえませんか?ここだと、雨が降ってきたりしたら大変なことになると思うので…」
「…ッそうよ!それが先でしょ!ていうか手がないのに書けって、馬鹿じゃないの!?」
赤髪の女性も気付いたようだ。でも、そんなにはっきり言わなくてもいいんじゃないかな…。
「移動させてほしい…?あ!!そうじゃん!みんな体ないんだもんね!どうやって運ぼうかなぁ…」
少女はしばらく考えると、背負っているカゴに入っている食材を食べ始めた。
「なにしてんの…?」
体がない、水色髪の少女が疑問を投げかける。
「もぐもぐ…今カゴあけるから!ほっほはっへへ!(ちょっと待ってて)」
「よし、これで入るかな!」
少女はそう言うと、背負ってたカゴの中に私たちを入れ始めた。
「はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!なんでそんなとこに入れられなきゃいけないの!?もっと丁寧に扱いなさいよ!」
相変わらず、赤髪の女性は文句のオンパレードだ。まぁ、確かに雑な入れ方だけど。
「あーーー!!アタシの髪引っ張んないで!持ちやすいからってさァ…!」
ずっと騒がしいアイドルの子もだ。…うん。それはそうだな。なぜか、首から下が無くなってるのに生きてるのも不思議だけど、髪型まで特殊なんだよね。みんな、髪の結んだ束がレジ袋の持ち手のようになってて。まるで、〝ここを持ってください〟って示しているみたい。
少女は、全員入れ終えると満足したかのように言った。
「じゃ、みんなワタシの家に持ち帰るね!」
その時、どこかから人間の声が聞こえてきた。
「今日の夜ご飯は豪華だな~♪わぁーい!」
まどか(さっき歌ってた人だ!!)
まどか「みなさん、誰か人がいますよ!」
「え?あ、ほんとダ!」
まどか「助けてもらいましょ!」
「うん!!」
私たちは助けを求めるため声を出した。しばらくすると、誰か人が草をかき分け近づいてくる音がした。
まどか「ここです!ここにいます…!!助けてください!」
その人は驚いた様子だった。
「え?え?なにこれ…!?ほんとに、あるんだ!」
〝あるんだ〟という言葉の意味はわからないが、今はそんなこと気にしていられない。
まどか「そうです!あの、私たちの顔を覆ってるものを剥がしてくれませんか?」
「あ、そっか!うん、わかった。剥がすね!」
その人物はみんなの覆ってるものを剥がしてくれた。良かった。これでとりあえず息苦しさからは解放された…。
目の前には、薄茶色の麻布を頭巾のように被っている、着物姿の少女がいた。背負ってるカゴや両手のカゴには、キノコや果物、野菜など、たくさんの食材が入っている。この人が、さっき歌ってた人…?それにしても、小さい。私よりおそらく年下だろう。小学五年生くらいかな。おつかいの帰りとか?
まどか「はぁはぁ、あ、ありがとうございます!苦しくて死ぬかと思いました…!」
「いえいえ…って、え!アナタたち、なんなの?なんで首から下がないのに喋ってるの??」
まどか「え?」
その言葉を聞いて、ふと横を見てみる。私と同じように塞がれてた人たちだ。すると、その中の赤髪の女性が叫んだ。それに続けて他の人もパニックになる。
「は?『首から下がない』?…ヒッ…イヤァー!!」
「ウソでしょ!?やっぱり体ないノ!?」
「…本当に…ないんだ」
みんな、体がない…!もちろん私もだ。やはり、体がなくなっているから動けなかったらしい。
「お、お、落ち着いて!とにかく、ワタシが来たからだいじょぶ!」
着物の少女は、不自然な日本語で励ましてくれた。
「そうだ!気持ちを落ち着かせるためには、手に〝人〟って字を書いてそれを3回飲み込めばいいって聞いたことある!ほら、こうやって…」
着物の少女はお手本を見せてくれた。でも、アホなのかなこの子…私たちその〝手〟がないんですけど…。
まどか「えっと、すみません…!とりあえず、安全な場所に移動させてもらえませんか?ここだと、雨が降ってきたりしたら大変なことになると思うので…」
「…ッそうよ!それが先でしょ!ていうか手がないのに書けって、馬鹿じゃないの!?」
赤髪の女性も気付いたようだ。でも、そんなにはっきり言わなくてもいいんじゃないかな…。
「移動させてほしい…?あ!!そうじゃん!みんな体ないんだもんね!どうやって運ぼうかなぁ…」
少女はしばらく考えると、背負っているカゴに入っている食材を食べ始めた。
「なにしてんの…?」
体がない、水色髪の少女が疑問を投げかける。
「もぐもぐ…今カゴあけるから!ほっほはっへへ!(ちょっと待ってて)」
「よし、これで入るかな!」
少女はそう言うと、背負ってたカゴの中に私たちを入れ始めた。
「はぁ!?ちょっと待ちなさいよ!なんでそんなとこに入れられなきゃいけないの!?もっと丁寧に扱いなさいよ!」
相変わらず、赤髪の女性は文句のオンパレードだ。まぁ、確かに雑な入れ方だけど。
「あーーー!!アタシの髪引っ張んないで!持ちやすいからってさァ…!」
ずっと騒がしいアイドルの子もだ。…うん。それはそうだな。なぜか、首から下が無くなってるのに生きてるのも不思議だけど、髪型まで特殊なんだよね。みんな、髪の結んだ束がレジ袋の持ち手のようになってて。まるで、〝ここを持ってください〟って示しているみたい。
少女は、全員入れ終えると満足したかのように言った。
「じゃ、みんなワタシの家に持ち帰るね!」
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