桜木恵子の殺人美学

三隈 令

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桜木恵子の殺人美学

桜木恵子は考える その1

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 委員長会議を終えると、提出資料をまとめ足早にミーティングルームを出た。

「あれ? 恵子、鞄は?」

 管理委員長で友人の皆川みなかわ玲奈れいなが訊いてきた。

「あー、六限終わってすぐ担任の吉田に急かされちゃったんだよねー。だからこれだけ」

 私はそう言って筆箱を少しだけ持ち上げた。

「まじかー……確かにあいつ几帳面でせっかちな性格してるし、早くしろとか言いそうだわ。あれでしょ? あいつが担当の教室掃除になったが最後、地面には塵一つ残らなくまで掃除させられるってやつ。冗談でも怖いわ」

「え、あれ本当だよ? 三組の教室掃除斑は目視できるゴミがなくなるまで徹底的にやらされてるもの。私はまだ順番が回ってきてないから、どんなものか知らないけれど……サボるとペナルティがあるらしいよ」

「うげぇ、もうそれ以上は勘弁だわ。想像しただけで辛い……あたし先に正門とこで待ってるから、鞄取ってきな?」

「あ、うん。分かった。できるだけ早く取ってくるよ」

 言い終わる前に駆け出した私は、サバイバルナイフを置いてきてしまった事を後悔していた。会議中は気が気でなかったのだ。

「ゆっくりでいーよー!」

 後方から玲奈の声がしたが、最早私の耳には届いていなかった。

 見つかっていたとしても今更だが、バレてしまっては誰かにバラされる前に処理をしなくてはならない。なんて事を考える私の口角は耳元まで裂けていたに違いない。

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