世界は平和ですか?Ⅱ

ふえん

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006話 遭遇ですか?勇者さま。②

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「・・・・」

「うん。そう、皆、纏まって進んで来ているよ。」

シズのお蔭で討伐軍の動きは全て把握出来て助かっている。

森の中でシズの目、、土や樹の精霊達に気付かれずに居られる訳が無いのだ。

リカ達と戦い、分散して進むのは愚行と考えたのだろう。

・・・一纏めで進んでくれているのも幸運だ。

これが冒険者らしく、各パーティー散開して来る作戦、、、

一度に複数箇所を同時に攻められたら、幾らフェン達でも全てを防ぐのは不可能だった事だろう。

フェン達は、あっさり、と言うか順当に集団を発見する。

とは言え、先制攻撃などはしない。

先ずは、リカ達の無事が重要なのだから。


「止まれ!僕は勇者フェン。話が解るなら捕らえた獣人を開放し、引き返せ!」

・・・返事は・・・無い。

フェンとシズを観察する視線だけが突き刺さる・・・

冒険者らしく、こちらの実力を測ろうとしているのだろう。

勇者と聞いて、冒険者達はざわめく。

だが、、勇者を継承したばかりの男と、どう見てもただの町娘のシズ…

それに対して、此方は複数の冒険者パーティーだ…どう考えても負ける要素は無い。

討伐軍の代表格らしい者が進み出て言う。

「勇者だと言うなら我々に投降したまえ!」

「我々は獣王討伐に来たが、勇者フェン、並びに獣人の女には捕縛の依頼を受けている!」


・・・投降・・・だと?

フェンの中に沸々と怒りが込み上げる。


「一度は投降した僕達…ミヤにお前達が何をしたか分かって言っているのか!!!」

勇者の気迫に怒りの感情が宿る。

「、、っっ!」

キャスティは息を飲む。

当然ながら、国軍の兵士ではない彼等には、そんな情報は伝えられていないのだ。

、、冒険者のキャスティには何の話しなのか解らない。

何?・・・一度は投降したって?・・・何が有ったの?

分からないが、勇者を怒らせるだけの何かが有ったのだろう。


「フェン君…。」

シズが袖を引き、怒りからフェンを呼び戻す。

「僕達は投降しない!・・・必要が有るなら正式に呼び出せばいい!」

「僕は逃げ隠れせず、裁判でも何でも受ける!」

「帰って、お前達の依頼主に、、国にそう伝えろ!」

「・・・ただ、、」

「・・・ただ?」

フェンの気合いに圧され、女は次の言葉を待つだけになっている。

「ただ、獣人の町…ミヤに手を出すつもりなら、、」

「・・・つもりなら?」

「お前達は敵だ!!」 フェンの殺気が膨れ上がる。


、、、ヤバい、、コレ、マジで勇者だわ・・・ソラは思う。

キャスティも感じる・・・これが勇者、、、。


・・・でも!、今は私も勇者なのよ!!

向かう所敵無し…と言われるパーティー、、今は仲間のソラも居る。

継承を受けた勇者、、、正式に認められた勇者の実力が知りたい!

という、好奇心も後押しする。

キャスティは自分の考えにしがみつき告げる。

「勇者なら獣人討伐に力を貸しなさい!」

「獣人達が何をした!…何かして、、襲っているのはお前達の方だ!」

「僕は勇者として戦う!…人間だろうと容赦しない!」

「・・・うっ。」

キャスティに声は無い…。

当然だ。キャスティ自身は獣人に何かされた訳でもなく、恨みが有る訳でもないのだから。

迷うキャスティにソラは告げる。

「キャスティ、これは依頼よ?、、受けた依頼は果たす。それが冒険者よ?」

更に、言う。

「仕事よ。そして依頼を果たせば貴女はのよ!」


・・・勇者に・・・なれる?


正式な勇者を超える実力が有るなら、、その者こそ勇者だろう。

「私は、、」

・・・私は、、勇者?、、、なのに?

勇者フェンの言う事は何も間違っていない。

・・・その間違っていない勇者と戦う、、の?


焦れたソラが言う、、、

「キャスティ!やるのよ!」

続けざまに、フェンに向かって宣言する。

「私達は依頼を果たす!」

、、私は、そんな、、、ただ勇者になりたいだけなのに、、

・・・なんてキャスティの心の叫びなど周りの冒険者達は知る由もない。

キャスティの思惑など関係無くフェン達に向かってソラが言い放つ。

周りに居た冒険者達も武器を構えて戦闘態勢をとる。


「フェン君、もう話しても無駄だよ。」

シズは冷静に言う。

「あのなの。」

「あと、捕らえられた紅い鎧の人と獣人の人達は、集団の左斜め後ろの林の中に全員居るって。」

流石さすがシズだね…話している内に、ちゃんと居場所を見付けてくれたんだね。

窮地に追い込まれれば冒険者と言えども人質を盾にするかもしれない。

先ずは捕虜の開放だ。

「行くよ、シズ。」

「うん。」

「キャスティ、行ける?」

「ええ、勿論。」

「じゃあ、貴女に勇者を任せるわ・・・勇者になりなよ!」

「ええ。」

内心、ソラはフェンとは戦いたくなかった…先程の殺気でヤバさが分かったからだ。

それなら、、連れの女の方が…

見た目、ただの町娘だ。・・・とは言え、勇者に付いて来た娘だ。

只者ではないだろう。

でも、あの勇者に比べれば殺気など皆無だ。

…かえって、この場に居て何の気勢も無いのが不気味と言えば不気味なのだが。


「フェン君、行って。ここは任せて!」

「うん。シズお願い。」

フェンは躊躇無く、リカ達が居るという林に向かって走る。

「!!…スタン。」

・・・こいつら・・・捕虜の居場所を知ってる?

「キャスティ、勇者を抑えて!」

見ればフェンはもう動き始めてダッシュしている。

・・・何?、勇者?、、スタンしている時間が短い?

「ソラ!ちゃんとスタン掛けなさいよ!!」

「掛けてるわよ、ちっ!…スタン。」

一度は立ち止まるが、直ぐにダッシュしてしまうのだ。


スタンの魔法は万能ではないのだ。

実力差が有るとスタンさせている時間が、短くなるのだ。

・・・もう一度、と思っていると悪寒がする・・・!!

咄嗟に横倒しになりながら飛ぶと、寸前までソラが居た場所に蔦が巻き上がる。

・・・土魔法?、、精霊魔法か?

「貴女、、フェン君には相性悪そうよね。」

『ビクッ』思わず後退りしたくなる程の気配。

・・・ただの町娘だと思った娘の気配が変わる。

勇者の男が見えなくなった途端に・・・だ。

辺りを包む気配、、そう、殺気だ。

町娘には無縁そうな殺気が目の前の女から巻き上がっているのだ。

「貴女も私の家族に牙を向ける愚かな人間の一人なんでしょう?」

「そんな人間は、、!!」

「!!…スタン。」、、、効いている?!

確かに町娘はスタンしている、、私は、、、動ける。

・・・そうよ!さっきの勇者が異常なのよ!動ける筈が無いのよ!

・・・行ける。

「皆で攻撃するのよ!」

この町娘を倒してキャスティの応援に行かなきゃ。

折角、名が売れて美味しい仕事が回ってくる様になったのだ。

キャスティが戦士として、、どちらかと言えば騎士っぽい…が、強いのは理解している。

だが、相手は実力不明の勇者なのだ。

・・・継承したばかりで、名前だけの勇者で実は弱かったというなら問題ない。

しかし、出逢った時の気迫は本物だった。

もし仮に、その気迫に釣り合う実力が有ったとしたら…。

ソラが恐れるのは自分ではどうにもならない部分の話しだ。

自分は鍛練して強くなった。あくまで凡人が努力した結果だ。

キャスティもおそらくはそうだろう。

では・・・凡人ではない、、勇者の血筋の者が居たとする。

その者が、本物の勇者に師事し、本当に努力して鍛練していたら・・・

才能有る者を凡人の自分が倒す、、なんて壮快な事だろう。

と、その悦びを知っているからこそ、その怖さも解るのだ。

ひと度、才能有る者が努力すれば、凡人の努力など無駄な足掻きにしか過ぎない事だと。

現れた勇者…フェンと名乗った男は努力した者か?…又は、名ばかりな者か?

少なくとも、勇者の連れである、この町娘に劣るという事は無いだろう。

・・・早く片付けて応援に・・・

ソラの指示によって冒険者達も動き出す。

先陣をきって戦士達がシズに突撃する。

一見、ただの町娘だ。

誰もが一撃で勝負は決まると思っていた。

が、そうはならない。

突撃の途中でピタッと動きが止まる。

『あの町娘もスタンを?』と思うが違う様だ。

なぜか上半身だけでもがいているのだ。

見れば戦士達の足下から蔦が巻き上がり絡み付いている。

土魔法?、、土精霊魔法か?

と、思っている内に戦士達は石化している。

難を逃れた戦士が町娘まで到達し、剣を降り下ろす…が、、

『ガキンッ』

町娘を庇う様に地面がめくれ上がっている。

なぜ?・・・なんで?

あの町娘はスタンしている筈だ、、、

なぜ寸分の狂い無く、的確に対処出来ているのか?

まさか未来が分かって事前に術を発動しているとでも言うのだろうか?

、、、そんな事は有り得ない。

どちらにせよ、真っ先に突撃した戦士達はもう駄目だ。

近付くのは危険だ・・・なら、、

「近付くのは危険よ。魔法で攻撃して!」

ソラの指示で魔法使い達が素早く呪文を唱え始める。

ソラはスタンを掛け続けている。

怖いのだ・・・先程までは、ただの町娘だと思っていた相手が。

スタンが切れた瞬間、文字通り『敵を見る様な目で』町娘はソラを見るのだ。

スタンを掛けて視線から逃れる、、だがシズの視線は正確にソラを追ってくるのだ。

その目は敵、、獲物を狙うハンターの目の様だった。

ソラは思う…私が抑えている内に誰か倒してよ…お願いだから。

内心、勇者より町娘の方が弱いと判断した自分が間違っていたのでは?

、、、との不安が大きくなっているのだ。

単なる町娘が多くの冒険者達に攻撃を受けようとしている場面で、あの平然とした様子、、、

…普通ではない。気が狂っているか、はたまた冒険者達など歯牙にも掛けていないのか?

悪い予感がする中、魔法使い達の魔法が発動する。

幾つもの攻撃魔法がシズに殺到する。

炎、雷、冷気、風、水、、様々な属性攻撃魔法が爆発と共に衝撃を起こす。

幾多のパーティーの魔法使い達の同時攻撃だ。

ちょっとやり過ぎな気もするが、ソラの勘は『まだ足りない位だ』と叫んでいる。

・・・通常であれば、間違いなく町娘は生きてはいないだろう。

魔法の効果が消え去り、土煙が落ち着くと、、、人影!?

まさか!・・・と、驚き掛けたが良く見れば、ただの土の塊だ。

複数の魔法で焼かれ、打たれ、切り裂かれ、凍り付き、、ただの土の塊に還ったのだ。

「勝った・・・勝ったんだ!」

自分はスタンを唱えていただけだが嬉しかった。

得体の知れない相手から開放されたという安堵感から悦びが溢れる。


「やった…、!?」

だが、、土の塊が、、、動、、く…??

誰もが信じられない物を見る様な目で土の塊を見る。

いや、ただの土の塊では無いのは一目瞭然だった。

・・・動き出したそれは明らかに人間の形、それも女性、それであった。

『見た目』がそうでなければ男なら誰でも振り向きそうなボディラインなのだが…

土の塊の殻を破って出て来たそれは、見た目には単に『泥水を被った少女』だった。

ピッタリと身体に張り付いた泥がヌラヌラと光る。

、、泥ではなく金属か?、と思う程に光を反射する。

泥人形は声を発する。

「それで終わり?欲にまみれた冒険者達…もう気が済んだ?思い残す事は無い?」

「さっきの攻撃、、殺す気だったのよね?、、、じゃあ、、、」

「皆、、?」

町娘の声だ…だが、その声からは、これから消える者達への憐れみ

「な、何で?…スタン!」

・・・逃げるしかない、、あれだけの攻撃を受けて平気なんて、、

しかも、これだけの冒険者を前にして『 皆殺し宣言 』。

・・・こんな相手に勝てる訳がない。

逃げようとするソラが気付く。

泥人形の、町娘の視線…いや、視線だけでなく、頭ごと動かし、ソラを捉えて離さないのを。

急に泥人形は視線とは別の方向、、魔法使い達に向かって飛ぶ。

泥人形は見た目の少女の姿に反して驚く程の機動性を見せる。

冒険者の魔法使い達に襲い掛かり、片っ端から薙ぎ倒しているのだ。

魔法使い達も魔法で対抗するが何の苦痛も感じない様に異常なスピード、力で薙ぎ倒して行く。

確実に普通の町娘に出来る行為ではない。

実は先程のドタバタで入れ替わり町娘は、どこかに隠れているのでは?

泥人形は実は唯の傀儡くぐつだと言う方が逆に納得出来る強さだった。

・・・当然だが、戦きながらもソラはスタンを使い続けているのだが、、

、、、止まらない。

「何で?…何でスタンしないの?」

早くも魔法使い達の始末を終えた泥人形がソラに近付く。

・・・そして言う。

「いいでしょ? マッド君って言うんだよ♪」

「土鎧、、、マッドアーマーなんだよ♪」

場違いに嬉しそうに自慢する口調が不気味だった。

「不思議って顔ね?…何でスタンしないのかって?」

「してるわよ、。」

「でも、スタン。」

・・・この子?・・・何を言っているの?

「私が抑えないと、この子、、、ずっと殺し続けるわよ♪」

「どう?試しにもう一度、私にスタンを掛けてみたら?」

真実だ・・・この町娘は真実を言っている、、

スタンを掛けたら泥の鎧が勝手に私を殺すと言っているのだ。

逃げられない…スタンを掛けずに逃げても町娘が鎧に命ずれば瞬殺されるだろう。

誰を見棄てても生き残るつもりだったのに…見棄てる相手すら居ないなんて…。


諦めが心を支配しようとした時、町娘が鎧を脱ぎ捨てる。

「えっ!…なんで…?」

まさか逃がしてくれるとでも?

それとも泥の鎧には使用制限、、時間制限が有るとか?

なら、まだ生き残れるかも!

一縷の希望が力を与える。

スタンを掛けながら全力で逃げる。ただ逃げる、それだけだ。

・・・だが町娘は静かに言う。

「遅かったわ、、貴女、、、、、。」

折角の逃げるチャンスを何がおしまいだというのか?

ハッタリで次の泥鎧装着までの時間稼ぎ…か?

どちらにしても行動してマイナスになる事は無い。

「スタン!」

言うと同時に駆け出すソラ…。

町娘は動く気配が無い・・・逃げられる、、、


だが・・・


「、、、来る。」、、町娘が言ったと同時に・・・

瞬間、時間が止まったと感じた・・・そして前方に何かが落ちた。

真っ黒な塊が動く。

「ほら、貴女…やっぱりよね。」

・・・何だコレは、、、鋼のドラゴン?、、、まさか!?

押し潰す様な重厚な気配、目の前に居るだけで命を投げ出したくなる感覚…

獣王、、、これが本物の獣王なのだ。本能で理解する。

捕らえた紅い鎧の獣人を獣王などと思うなんて、、、

、、本物を目の前にしては、もう笑うしかないレベルだ。

これはもう、どうにかなるレベルの相手ではない。

事実、獣王が、その気になれば自分などひとたまりもないだろう。

だろう?、、いや、ひとたまりもない、と断言出来る。

黒い鎧が話す。

「貴様か・・・リカや家族を傷付けた冒険者は。」

言い終わると獣王の雰囲気が変わる。

「ひっっ、、、」

ソラは腰が抜け、その場にへたりこんでしまう。

殺気だ。・・・来た時など本気では無かったのだ。

獣王の放つそれは正に殺気だった。

ソラでさえ、今すぐ泣き叫びたくなる様な殺気だ。

私達は何て者に戦いを挑もうとしていたのか、、こんな相手では誰でも、、誰でも?

この殺気になら・・・幾らあの町娘でも・・・

今にも殺されそうな時だが、自分達を圧倒した町娘がどんな顔をしているのかが無性に気になる。

視線を離すのも恐ろしいが、どうせ助からない…と諦めた為か、純粋に興味による気持ちから町娘の方を向く。

「…えっ!?」

そんな…有り得ない…町娘の表情は至って普通だった。

それだけではない。

腰を抜かしたソラを尻目に町娘は平然と立っていた。

相手の強さを図れない?…なんて訳が無い。

…と、言う事は…町娘はまさかとは思うが獣王に対抗しうる力が?

どちらにせよ、町娘はソラにさえ無い胆力を持っているのだ。

今朝までのソラなら間違いなく、疑う事も無く、『私の方が強い!』と言い切っただろう。

だが、自分では到底勝てない相手に、次々に遭ってしまってはもう、、

・・・無理だとしても何とか逃げなければ・・・

ソラがそう結論付けたと同時に獣王が吼えた。

「貴様か!我が町や領民、家族を害そうと言うのは!」

ビリビリと空気が震える…いや、震えているのは私自身か?

死ぬんだ…と思ったが、、、あれ??

獣王の見ている方向が…私じゃなくて、、町娘?

「リウルカが遅れを取るとは…どんな相手かと思ったが、貴様なら納得だ!」

・・・これは、、もしかしなくても人違いしてるの?

「子供の喧嘩に親が手出しをするのは何だが…我が町を守る為だ。全力で貴様を倒させて貰おう!」

好機到来?・・・確実な死の運命に一筋の希望が見えた様だった。

町娘は依然として平然とした態度で話す。

「獣王様、誤解です。私はシズネ、勇者フェンと共にミヤちゃんの治療に参った者です。」

「・・・ん?、何?、、ではリウルカを倒したのは・・・」

獣王の、、視線は分からないが自分に注がれているのだろう。

「馬鹿も休み休み言え!こんな小娘にリウルカが負けるものか!!」

へたりこんでいるソラを見て獣王は結論を出す。

『こんな小娘にうちの娘が負ける訳が無い』と。

「貴様、それだけの強さを持ちながら潔く戦うつもりが無いのか!」

「獣王様が信じないのは自由ですが、誓って私はリカさんを傷付けたりしていない。」

「リカさんを傷付けたのは・・・」

「助かりました!獣王様。その女がリカを倒したのです!」

咄嗟にソラは叫んだ。

リカとは誰の事なのかは不明だが、捕らえた獣人達の中に居たのだろう。

ここだ!…ここを乗り切れれば生き残れるチャンスが…

・・・情けない。

何が生き残れるチャンスだ。

獣王討伐の依頼を受けた時など、『獣王?、、魔王が居なくて残念だなー』などと大口を叩いていたのに…

目の前の町娘にすら勝てないのに、獣王の登場…ソラは絶望に身を震わせた。

・・・どうして?私達は無敵のパーティー、、勇者とまで呼ばれる冒険者だよ?


なぜ、、こんな事に・・・。


いや!飲まれては駄目だ!

机上の空論でも、私は魔王でも倒せるの女よ!

とにかく町娘と自分の相性は最悪だ。

この場は逃れて一対一の戦いに持ち込めれば…

町娘はキャスティの方が適任だ。

私は一対一で獣王を・・・





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