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「俺はいつか家を出て田舎に引き籠ってのんびりゆったり自給自足生活をする男だ」
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「イヴは本当に俺のこと分かってない」
「え……?」
シュティルによって目の上から手がどかされて、アメジストの双眸が私を睨んでいるのが目に入った。
「そんなことが俺の障害になると、本気で思ってるの」
「そ、そんなことって……だって、大事なことじゃない……!」
「全然、大事じゃない。そんなの、俺には障害なんかにならない」
シュティルはきっぱりと言い切った。
それから、私としっかりと目を合わせて続ける。
「だって、俺はいつか家を出て田舎に引き籠ってのんびりゆったり自給自足生活をする男だ。そんな男に家柄とか育ちとか関係あると思う?」
自信たっぷりに言い放ったシュティルに私はきょとんと目を瞠る。
これが恋愛物語の中なら、きっとかっこいいことを言って決めるようなタイミングだと思うのに。
シュティルが言い放った言葉を頭の中で反芻する。
そして私は込み上げる感情をこらえきれなくなって、ぷっと噴き出した。
「なんで笑うの」
「だ、だって……雰囲気はかっこいいのに、言っていることは、かっこ悪いんだもの……ふふっ!」
おかげで涙も引っ込んでしまった。
私はシュティルに睨まれながら、くすくすと肩を震わせる。
「でも、これでわかったでしょ。俺はイヴに相応しいって。イヴがひっそりと暮らさなきゃいけないっていうなら、俺みたいな男こそお誂え向きだと思うけど?」
「……そう、みたいね」
これは素直に認めざるを得ない。年下相手にしてやられたような感じがして、ちょっぴり悔しい気もするが。
でも、自信満々に私の障害を「そんなこと」って言ってのけてくれるなら、これはちゃんと伝えてあげてもいいかもしれない。
「あなたが好きよ、シュティル」
告げると、シュティルがはっと息を飲んだ。
魚のように口をぱくぱくとさせている。嬉しいのだろうか、それが言葉にならないみたいだ。
してやったり、そんな風に思った私はちょっとした優越感に浸る。
でもそれも一瞬のこと。反撃はすぐに返ってきた。
「無理、ほんと無理」
「え……? あっ、ひゃっ、シュティル──っ」
「イヴ、本当に好き。好き好き、大好き。愛してる──っ」
するりと下着を取り払われ、かちゃかちゃと金属が擦れる音が聞こえてきたかと思えば、その直後に甘い衝撃が襲ってきた。
この間、ほんの数秒。
運動嫌いのくせになんて素早さだろう。唐突に押し入ってきた圧迫感に私は息を詰めた。
狭い箱の中でぴったりとくっついたまま、何度も何度も揺さぶられる。
激しい律動に視界でちかちかと星が飛ぶ。
さっき焦らされたまま燻っていた熱があっという間に火を灯して、私の中で爆ぜた。
好き、好き、大好き──と耳元で繰り返される。
もうそれしか言えないのか、と思うくらいに何度も何度も。
だけど、何回言われても飽きることはない。
愛を囁かれて嬉しくないわけがないのだ。私は歓喜に震えながらシュティルにぎゅっとしがみついた。
「え……?」
シュティルによって目の上から手がどかされて、アメジストの双眸が私を睨んでいるのが目に入った。
「そんなことが俺の障害になると、本気で思ってるの」
「そ、そんなことって……だって、大事なことじゃない……!」
「全然、大事じゃない。そんなの、俺には障害なんかにならない」
シュティルはきっぱりと言い切った。
それから、私としっかりと目を合わせて続ける。
「だって、俺はいつか家を出て田舎に引き籠ってのんびりゆったり自給自足生活をする男だ。そんな男に家柄とか育ちとか関係あると思う?」
自信たっぷりに言い放ったシュティルに私はきょとんと目を瞠る。
これが恋愛物語の中なら、きっとかっこいいことを言って決めるようなタイミングだと思うのに。
シュティルが言い放った言葉を頭の中で反芻する。
そして私は込み上げる感情をこらえきれなくなって、ぷっと噴き出した。
「なんで笑うの」
「だ、だって……雰囲気はかっこいいのに、言っていることは、かっこ悪いんだもの……ふふっ!」
おかげで涙も引っ込んでしまった。
私はシュティルに睨まれながら、くすくすと肩を震わせる。
「でも、これでわかったでしょ。俺はイヴに相応しいって。イヴがひっそりと暮らさなきゃいけないっていうなら、俺みたいな男こそお誂え向きだと思うけど?」
「……そう、みたいね」
これは素直に認めざるを得ない。年下相手にしてやられたような感じがして、ちょっぴり悔しい気もするが。
でも、自信満々に私の障害を「そんなこと」って言ってのけてくれるなら、これはちゃんと伝えてあげてもいいかもしれない。
「あなたが好きよ、シュティル」
告げると、シュティルがはっと息を飲んだ。
魚のように口をぱくぱくとさせている。嬉しいのだろうか、それが言葉にならないみたいだ。
してやったり、そんな風に思った私はちょっとした優越感に浸る。
でもそれも一瞬のこと。反撃はすぐに返ってきた。
「無理、ほんと無理」
「え……? あっ、ひゃっ、シュティル──っ」
「イヴ、本当に好き。好き好き、大好き。愛してる──っ」
するりと下着を取り払われ、かちゃかちゃと金属が擦れる音が聞こえてきたかと思えば、その直後に甘い衝撃が襲ってきた。
この間、ほんの数秒。
運動嫌いのくせになんて素早さだろう。唐突に押し入ってきた圧迫感に私は息を詰めた。
狭い箱の中でぴったりとくっついたまま、何度も何度も揺さぶられる。
激しい律動に視界でちかちかと星が飛ぶ。
さっき焦らされたまま燻っていた熱があっという間に火を灯して、私の中で爆ぜた。
好き、好き、大好き──と耳元で繰り返される。
もうそれしか言えないのか、と思うくらいに何度も何度も。
だけど、何回言われても飽きることはない。
愛を囁かれて嬉しくないわけがないのだ。私は歓喜に震えながらシュティルにぎゅっとしがみついた。
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