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(……次のイベントは、確か第二部の終わりに……)
本来なら月花の祭りで恋愛フラグを立てるのだが、実はそれを逃した場合の救済が用意されている。
ちょっとしたハプニングで主人公と攻略対象がはずみでキスをしてしまい、お互いを意識し始める「事故チューイベント」が発生するのだ。
ステラとしては祭りイベントのほうがロマンチックで好みなのだが、もしかしたらミーティアは違うのかもしれない。人によってはこちらの展開のほうが好みだと言って、敢えて月花の祭りイベントを見送るというプレイヤーもいたくらいだ。
だが、今までの六回でもこのイベントが発生したことはなかった。もしも強制力があるとするなら、ステラが何をしようとこのイベントが起きなければ確信を得られるだろう。
幸か不幸か、メインストーリーに関わらないところでは自由に動ける。
強制力があろうとなかろうと惨い終わりなんてできれば回避したい。
(……何がなんでも二人にはキスをしてもらうわ! 例え私の胸が張り裂けそうになっても!)
もしもの時は大胆な行動も辞さない覚悟を決めて眠った──のが二週間前のことだ。
結論から言えば、事故チューイベントは起きなかった。
「それでわざわざ着替えたんだ? なんとも扇状的な格好だね」
「レグルス様の瞳に少しでも魅力的に映ればと思いまして。……あ、申し訳ございません。勝手に浴室をお借りしてしまいましたわ」
「別にそれは構わないけれど」
ステラは今、ルビーレッドのロングドレスを着ていた。
ホルターネックで首の後ろの紐を解けば簡単に脱げる上、胸元は臍が見えそうなくらいにざっくりと開いている。
今日のイベントが起きなかった場合に備えて、ステラ自身で特別に仕立てたものだ。今日の荷物に忍ばせ、星歌の拠点となっている城内の一室からレグルスの私室移動してから着替えた。下着もしっかりと新調したので、裾のスリットからはガーターベルトを着用した太ももが見えていることだろう。
一番セクシーな服装をテーマに考えた結果である。黒髪にはやはり赤が映えるだろうと。
それに──赤はレグルスの瞳の色でもある。
(本当に綺麗な瞳……)
苦笑はしているものの、余裕そうな笑みを崩さない彼の瞳をじっと覗き込む。
ガーネットのような瞳はスチルの中でも美しかったが、こうして実在する人間として見るとまた違う輝きのように思う。宝石のようにキラキラとしていた瞳は透明感のある赤色で、見つめているとその中に吸い込まれそうだ。
こうしてずっと見つめていたいところだが、それをしにきた訳ではない。ステラはレグルスのシャツのボタンに指を掛ける。
──心臓がバクバクしてきた。
本来なら月花の祭りで恋愛フラグを立てるのだが、実はそれを逃した場合の救済が用意されている。
ちょっとしたハプニングで主人公と攻略対象がはずみでキスをしてしまい、お互いを意識し始める「事故チューイベント」が発生するのだ。
ステラとしては祭りイベントのほうがロマンチックで好みなのだが、もしかしたらミーティアは違うのかもしれない。人によってはこちらの展開のほうが好みだと言って、敢えて月花の祭りイベントを見送るというプレイヤーもいたくらいだ。
だが、今までの六回でもこのイベントが発生したことはなかった。もしも強制力があるとするなら、ステラが何をしようとこのイベントが起きなければ確信を得られるだろう。
幸か不幸か、メインストーリーに関わらないところでは自由に動ける。
強制力があろうとなかろうと惨い終わりなんてできれば回避したい。
(……何がなんでも二人にはキスをしてもらうわ! 例え私の胸が張り裂けそうになっても!)
もしもの時は大胆な行動も辞さない覚悟を決めて眠った──のが二週間前のことだ。
結論から言えば、事故チューイベントは起きなかった。
「それでわざわざ着替えたんだ? なんとも扇状的な格好だね」
「レグルス様の瞳に少しでも魅力的に映ればと思いまして。……あ、申し訳ございません。勝手に浴室をお借りしてしまいましたわ」
「別にそれは構わないけれど」
ステラは今、ルビーレッドのロングドレスを着ていた。
ホルターネックで首の後ろの紐を解けば簡単に脱げる上、胸元は臍が見えそうなくらいにざっくりと開いている。
今日のイベントが起きなかった場合に備えて、ステラ自身で特別に仕立てたものだ。今日の荷物に忍ばせ、星歌の拠点となっている城内の一室からレグルスの私室移動してから着替えた。下着もしっかりと新調したので、裾のスリットからはガーターベルトを着用した太ももが見えていることだろう。
一番セクシーな服装をテーマに考えた結果である。黒髪にはやはり赤が映えるだろうと。
それに──赤はレグルスの瞳の色でもある。
(本当に綺麗な瞳……)
苦笑はしているものの、余裕そうな笑みを崩さない彼の瞳をじっと覗き込む。
ガーネットのような瞳はスチルの中でも美しかったが、こうして実在する人間として見るとまた違う輝きのように思う。宝石のようにキラキラとしていた瞳は透明感のある赤色で、見つめているとその中に吸い込まれそうだ。
こうしてずっと見つめていたいところだが、それをしにきた訳ではない。ステラはレグルスのシャツのボタンに指を掛ける。
──心臓がバクバクしてきた。
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