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俺の××を返せ 2 ★
しおりを挟む「孝太、俺は……っ」
敏感な先端を、孝太の股間にこすりつける。
「俺は、おまえに……ごめん」
「……いいよ。でも、それじゃ入らないよ。一応、試してみる?」
孝太が少し腰を浮かせたのに気がついた。孝太に許されている。受け入れられている。
そう思ったら、急に射精感がこみ上げた。
「はぁっ、はぁっ」
ぐりぐりと亀頭を後孔に押しつけるけれど、ほぐしてもいないそこは当然固くて挿入できない。ただ俺はもう限界で、こらえきれずに孝太の後孔に向けて精を放ってしまっていた。
「あぁっ、うっ、くっ」
あふれる。孝太への恋と性欲があふれて、その内側に侵入できないまま、孝太の体とシーツを汚していく。
昂りを放出する快感はあるけれど、虚しい。孝太は目の前にいるのに、今現に肌を合わせているのに、届かない想いが切なかった。
「孝太……、孝太っ」
孝太は俺の頭を引き寄せて、優しく抱きしめてくれた。
「涼介、一人でいっちゃったな」
「……悪い」
「ううん。俺に興奮したんだろ。……うれしい」
「おまえ、怒ってないのか?」
顔を上げ、孝太を見ると、孝太は俺の頬をつねりながら、すねたような口調で言った。
「なんにも話を聞かずに、たぶん誤解したまま、セックスを始めちゃったことには怒ってるよ」
「え?」
「でも、俺のこと好きすぎて、我慢できなかったんだよな?」
「……うん」
孝太は少し顔を赤くして、さらに俺の両頬を引っ張った。
「うん、じゃねぇよ。そこ、つっこむとこ!」
「好きすぎるのは、本当だし」
「もう、だからおまえはー!」
孝太の顔が真っ赤に染まった。なんだ? 俺、何か変なこと言った?
孝太はなぜかプリプリと怒りながら、俺を押しのけて起き上がった。
「とにかく、一度シャワー使わせて」
「ああ。その間に、ベッドとか片づけとく」
「……もう、しないの?」
「何……を」
「だから、セックス! 挿れたくない?」
「したい。したいけど……」
「俺、あのさ! その、準備はしてきたんだけど……。もう一度綺麗にしたいからさ、待ってて!」
紅潮した頬のまま早口で叫んだ孝太が、ユニットバスの扉の中に駆けこんだ。
「……は?」
俺は呆然とそのうしろ姿を見送った。
「次は俺がするんだから、おまえは動くなよ」
何が起こっているんだ……?
すっかりあたたまった部屋で、俺は仰向けに横たわり、俺の上にまたがった孝太を見ていた。
生まれたままの姿の孝太は、きゅっと眉をしかめ、せわしない呼吸をしながら、自分の指で後孔をほぐしている。たっぷりつけたローションが、時折俺の太ももにもしたたり落ちた。
「んぁ……ん、あぁ……」
片手を俺の腹につき、小さな声で喘ぐ孝太。もう指が三本入っていた。
「すげぇ……」
「そんなに、見んな。うしろ……普段から、少しずつ慣らしてたんだ」
ああ? 普段から慣らしていた……!?
俺が腹筋で勢いよく上半身を起こすと、孝太が目を見開いて驚く。
「おい! びっくりさせんなよ。なんだよ!」
「おまえ、男とセックスしたのか!?」
腹の底から煮えたぎるような怒りが湧き上がった。そんな……、ほかの男とセックスするくらいなら、なぜ俺じゃだめなんだよ。
「馬鹿! 違う! 違うって!! 自分で……その」
「自分、で?」
「えーと。いつかさ、涼介のそれ、挿れられたらと思って……」
俺は絶句した。いろんな想いが渦巻くけれど、言葉にならない。
孝太が? いつか、俺のを挿れたかったと言った?
孝太は言葉をなくした俺の肩を押して、ふたたびベッドに横たわらせた。
「ほら、寝て寝て! 今は、俺のターンなんだからな!」
ふざけたように大声を出すと、ちょっと上目遣いになって、今度はぼそぼそと言う。
「あれ、ある? ……コンドーム」
「いや、ない……」
「そっか、よかった。持ってきて」
孝太はやけにうれしそうに笑って、床に放り投げてあった荷物から小箱を持ってくると、枕もとに置いた。中から一個、避妊具を取り出す。
「着けるよ」
「あ、ああ」
孝太の指先がふれると、俺のペニスはピクピクと震え、先走りがにじみ出す。孝太はそれに透明なラテックスをくるくるとかぶせると、「子供のころとは全然違うね」とつぶやいた。
「じゃあ、挿れるから」
俺の腹筋に手をつき、ゴムをかぶったものの上にまたがる孝太。
「言っとくけど、初めてだからな。こんなの」
「わかった……」
唇を尖らせて不満げに言う幼馴染みが、今までとはまったく別の生き物に見えた。やんちゃで朗らかで、ときどきすごくガサツな男。
だけど、今は――。
「んっ、くそ、おまえデカいよ。もっと広げないと……、無理かも……んんっ」
額から汗をしたたらせながら小さくうめく様子は、同じ男とは思えないほど艶めいていて、生々しく扇情的な色気があって。
「おま……、だめ、これ以上、デカくすんな!」
「しょうがないだろ。孝太がいやらしくて、自然と大きくなるんだ」
「ば、ばか! ……あっ」
騎乗位で、一生懸命俺を迎え入れようとしている。その光景にこれ以上ないほど勃起した俺の屹立の先端が、ぬるりと孝太の後孔に入りこんだ。
「うっ、孝太……、孝太っ」
「だめ、今、動かすな、ああっ」
「そんなこと言われても」
「限界! これで、限界だってば! 待って、俺が動くから」
「……くっ、わかった。早く……」
「ん」
孝太が体を上下させると、小さなうしろの蕾が俺の先端だけを飲みこんで、また離れていく。チュポッチュポッと卑猥な水音が、欲望で真っ赤になった頭の中に響いた。
「孝太……、奥まで、挿れたい」
「ごめんっ、あっ、ああっ、これ以上は無理っ」
「孝太……っ」
「次は、もっと……慣れると思うから、今日は先っぽだけでいって」
「…………っ」
次、という言葉に、俺の中の何かがはじけた。
次がある。今回限りじゃない。孝太はこれからも俺の隣にいるんだ。
「うぅっ、いく。孝太、出る!」
「うん。俺もいくから。一緒に……!」
俺のペニスの先端を後孔にくわえこんだまま、孝太が自分のものをしごきはじめる。
「……っ!」
「あ、ああぁぁ!!」
孝太の白濁が、俺の腹を濡らした。栗の花が咲いたような、青臭い匂いが狭い部屋に広がった。
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