最愛の幼馴染みに大事な××を奪われました。

月夜野繭

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俺の××を返せ 1 ★

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 初めて来た場所なのに、なんとなく懐かしい気がして、俺はふと立ち止まった。それは俺の借りているマンションの近くにある高校だった。
 いつも使っている最寄り駅の前に、ちょっとしたアーケード街がある。その商店街ではよく買い物をするけれど、アーケードを抜けた先までは行ったことがなかった。高校は商店街から少し離れた住宅地の一角にあった。

「サッカー部か」

 高校の校庭から、部活に勤しむ生徒たちの声が聞こえる。
 高校時代の孝太を思い出した。今より髪が短くて、今より日に焼けていた。家が近所だから、部活が終わったあと、なんとなく待ち合わせて一緒に帰っていた。
 いや……、なんとなく、じゃない。俺は、孝太と一緒にいたくて、孝太がほかのやつと行動するのが嫌で、できるだけ束縛したかったんだ。
 当時より、恋の輪郭がはっきりして見える。それは孝太とセックスしたからだ。
 半月ほど前、俺は孝太を無理やり抱いた。挿入はしていないけれど、ひと晩中体を重ねた。今日は、その日以来初めて、孝太と会う。
 待ち合わせ場所は、小さな神社だった。
 開発から取り残されたような寂れた神社。境内で錆びたブランコが揺れていた。
 あの朝、プリンを残して孝太が消えてから、俺たちは連絡を取っていなかった。俺から連絡する権利などないと思ったし、孝太が何も言ってこないのはやっぱり俺を許せないからではないかと、半ばあきらめようとしていた。
 孝太からメッセージが入ったのは、昨夜のことだ。

『おまえんちのそばに、穴場のラーメン屋があるんだって。テレビでやってたんだけど、行ってみねえ?』

 テレビで放送している時点で穴場といえるのか、とは思ったが、孝太に会いたかった。孝太からの誘いを断ることはできない。
 メッセージは、あの夜のことには何もふれていない。ラーメン屋は口実で、きちんと顔を合わせて怒るなり、俺の気持ちを断るなりしようとしているのかもしれない。孝太は俺みたいに逃げまわるだけの卑怯な人間じゃないはずだ。
 キィキィと風に軋むブランコを眺めながら、孝太を待つ。

「涼介、お待たせ。行こうぜ」

 孝太はふらりと現れて、どうということはないふうに俺に声をかけた。
 もしかして、何もなかったことにされるのだろうか。今までどおり、幼馴染みとして、友達として過ごしていきたいということなのか。
 戸惑う俺にかまわず、孝太は大学であったことや新しく始めたバイトの話をしている。

「あ、ここ、ここ。げっ、並んでるじゃん」

 住宅やアパートに囲まれた、古びたラーメン屋の前には行列ができていた。

「テレビでやったからだろ」
「俺たちと同じかー」

 ケラケラと笑う孝太。
 孝太の気持ちがわからない。

「でも、せっかくだから、並ぼうぜ」

 二十分ほど待ってありついたラーメンは、あっさりした醤油味で正直物足りない。孝太もそうだったようで、「アーケードの商店街に、ジェラートの店あったよな? そこ行こ」と上目遣いで俺を誘った。



「……んっ、はぁっ」
「孝太」

 マンションの部屋の扉を開けて、閉じて。
 鍵をかけた瞬間に、抱きあっていた。どちらからともなく腕を伸ばし、貪るようにキスをする。

「りょ……すけ、あ……」

 俺を見上げる切なげな瞳。
 口づけは、醤油ラーメンとチョコのジェラートの味。

「もっと、ちゅーして」
「…………!」

 孝太は、俺を許してくれたのか? 本気で俺にキスをねだっているのか……?
 何も確信が持てないまま、俺たちは深いキスを続ける。止まらない。こんなの、止められない。
 靴も脱がないまま、俺は狭い玄関で孝太を押し倒した。孝太のコートのファスナーを下ろそうとするけれど、手が震えてうまくできない。

「くそっ」
「涼介、待って。背中、痛い」

 孝太が少し顔をしかめていた。
 床はフローリングで硬い。

「……っ、ごめん」
「ううん。起こして」

 腕を引いて孝太を起こすと、孝太は両腕を俺の首に絡め、耳もとでささやいた。

「ベッド行こ……」

 頭に、かあっと血がのぼった。
 蹴り捨てるように靴を脱ぎ、孝太を引きずるように室内へ連れていく。

「おい、俺、まだ靴……!」

 短い廊下で、孝太も靴を脱ぎ捨てる。強引に腕を引き、ベッドに押しつけた。
 土足で部屋が汚れたってかまわない。孝太が欲しい。
 コートの固いファスナーに焦れて、力任せに開こうとすると、慌てた孝太に止められた。

「脱ぐ! 自分で脱ぐから壊すな」
「…………」
「気に入ってんだ、これ。……おまえも脱げよ」

 孝太がもたもたと服を脱ぐ横で、俺もさっさと全裸になる。急がないと、孝太がいなくなってしまう気がして、焦った。
 でも、裸になると、さすがに寒い。机に置いてあるリモコンで暖房を入れる。振り返ると、上半身裸の孝太が寒そうに自分の体を抱えていた。

「サンキュ」

 子供のころみたいに、ふにゃっと笑う。
 思わず孝太を抱きしめた。笑った形のままの半開きの唇に、舌を差しこむ。
 裸の胸を撫でると、硬くしこった乳首が手のひらに当たった。その感触がエロくて、何度も乳首をこすった。

「んっ、待て、待てってば。涼介、んな、がっつくなよ」
「…………」
「そんな目ェするな。大丈夫だ。もう逃げないから」
「……逃げない?」
「ああ、ちゃんと話すから。とりあえず寒い。布団の中、入ろ?」

 孝太はジーンズと一緒に下着も脱いで、布団の中にもぐりこんだ。「ほら」と掛け布団をめくって、俺を誘う。

「おまえ、冷たい。すげー冷えてるじゃん」

 文句を言いながら抱きついてくる孝太がたまらなくて、すぐに孝太の上に乗り上げて、強く抱きしめた。
 肌と肌が直接ふれあう。孝太の熱が、俺を犯してくるようだ。俺の欲望はもう硬くなり、半勃ちの孝太を圧迫していた。

「おまえさー」
「…………」
「俺のこと、好きすぎない?」

 孝太が呆れたように言った。今さら何を言っているんだ。
 俺はあたたまってきた布団の中で、孝太の足を開き、太ももの間に体を入れる。俺の屹立が孝太の陰嚢を押した。そのまま腰を揺らすと、するっと孝太の尻のほうに入りこむ。

「……っ!」
「くっ……」

 ふたりで息を呑んだ。
 俺の先端が、孝太の後孔のあたりに当たっている。

「……孝太……」

 挿れたい。孝太は女じゃないってわかっているのに、孝太の体の奥の奥まで、俺を刻みこみたい。
 目をつぶり息を荒くして、心の中の嵐を抑えていると、孝太がぽつりとつぶやいた。

「おまえ、やっぱり挿れたいの?」

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