最愛の幼馴染みに大事な××を奪われました。

月夜野繭

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二十歳の衝動 3 ★

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 孝太のパジャマのズボンを脱がせて、素足にふれる。体毛が薄くてつるつるしているけれど、硬い筋肉のついた男の足だ。
 それなのに、欲情した。俺は、ほかの野郎に欲情したことはない。たぶん基本はノンケなんだと思う。だけど、孝太には興奮する。孝太にだけは、狂おしいほどの欲があふれる。

「孝太……」
「や、待って!」
「無理」
「違う、俺だけじゃやだ」
「なんだよ」
「おまえも脱げ。俺だけ裸なんて恥ずかしいだろ!」

 は……?
 頭が真っ白になる。俺も裸になれって? なんで? マジか?

「ほら、足、上げろよ。脱がせらんねえだろ」

 膝立ちで呆然としていた俺のズボンとトランクスを、孝太がはぎ取ろうとしていた。さっき出してしまった精液が、汚れたトランクスとペニスの間で糸を引く。
 半端にずり下がった下半身の衣類を急いで脱ぐと、俺は上に着ていたシャツも脱ぎ捨てた。

「うわっ、すげー。もう勃ってる」
「…………」

 俺の股間をまじまじと眺めて、呑気に驚いている孝太の肩を押しベッドに横たわらせる。ボクサーパンツの上から、孝太のふくらみにふれた。

「あっ」

 無意識にこぼした声を閉じこめようとするかのように、孝太が唇を噛みしめた。
 俺が孝太の欲望を刺激しつづけると、布地を押し上げる強ばりが、さらに硬く大きくなった。

「あっ、はぁっ、涼介っ」
「…………」
「もうやだっ、ああっ、もう、直接さわって!」

 悲鳴のような叫び声にあおられる。
 孝太のボクサーパンツを下ろすと、初めて見る孝太のペニスが飛び出した。トロトロと先走りをもらすそれは、当たり前だけど、俺の股間についているのと同じものだ。
 けれど、怯えるようにふるふると震える様が可愛らしくて、俺は思わずそれをくわえた。

「うわっ、なに!? 涼介、やめて、出ちゃう! 出ちゃうからっ、あぁぁぁっ!」

 ドピュッと口腔に青臭い粘液があふれた。

「ああっ、ああぁ、やぁっ、いっちゃった……。涼介の口で、いっちゃったよぉ」

 恍惚とした表情で、腰をひくつかせる孝太を見ながら、俺は口の中の白濁を飲み下した。まずい……というより、風邪を引いたときに痰が絡むような喉の詰まりを感じる。
 孝太は目を見開いて、俺の腕をつかんだ。

「な……なんで、飲むんだよ、そんなもん」
「孝太のだから」

 孝太の頬が、見る見るうちに紅潮する。可愛い。不意打ちにあった孝太の顔が、妙に幼く見える。孝太を動揺させるのが、癖になりそうだ。

「おま……、ばかっ」

 孝太は枕もとに置いてあったティッシュを二、三枚取ると、俺の唇をごしごしと拭った。
 中途半端な姿勢で起き上がった孝太の背中を片手で支えながら、俺は孝太を自分の太ももの上に座らせた。向かいあった孝太を抱きしめると、腹と腹の間に二人のペニスが挟まれる。
 孝太のそれはさすがにまだくったりしていたけれど、それにかまわず二本まとめてつかんだ。

「ああぁっ、涼介!」
「……くっ」
「だめ、まだ敏感になってるから、やめて!」

 かつてないほど硬くなった俺の幹と、柔らかい孝太のそれを合わせてしごく。丸い先端を親指の腹で優しくこすると、孝太が身悶えた。

「ああっ、あっ、つらい、気持ちよすぎてつらい……っ!」
「ぐっ、うっ」
「お願い、許して。涼介……」

 孝太の懇願を無視して、俺は二本のペニスを強くしごきつづけ、やがて手の中に放った。つられるように、孝太もわずかに白濁をもらした。

「はぁ、はぁっ、俺、今はもう無理っ。少し待って」
「待たない」

 猿みたいに、欲望があふれて止まらなかった。
 今を逃したら、もう二度と孝太とセックスする機会なんてない。セックスどころか、無理やりこんなことをして、孝太から絶縁されてもおかしくない。
 これで最後だ。もう会えなくなる。もう孝太の顔が見られなくなる。もう孝太の声を聞けなくなる。もう、孝太の肌にふれられなくなる……。

「もう一度」

 俺は、下半身の猛りとは別人のように、孝太の唇にふれるだけの幼いキスをした。



 朝起きると、狭いシングルベッドで孝太とくっついて寝ていた。
 昨夜の最後のほうの記憶は少し曖昧だ。俺たちは、疲れ果てて寝てしまったようだった。
 孝太を起こさないよう静かにベッドから下り、ユニットバスでシャワーを浴びた。熱めに設定したお湯を長々と浴びつづける。
 背中につけられた爪の痕が、ひりひりと痛む。
 熱いシャワーを浴びながら、俺はひどく後悔していた。やはり一線を越えるべきではなかった。これで、俺たちは終わりだ。二十年間続けてきた幼馴染みの関係は、一夜にして壊れてしまった。
 シャワーから出たら、あいつはもういないだろう。もともと荷物の少ないワンルームマンションには、冬の冷えた空気だけが留まっていることだろう。
 現実を見たくなくて、必要以上に時間をかけたシャワーをしょうがなく終わらせ、部屋に戻ると、案の定孝太はいなかった。
 けれど、部屋が暖かい。俺が入れなかったエアコンが動いている……?

「孝太?」

 キッチンを見ると、カウンターにコンビニの袋が置いてあった。レジ袋の横に、小さな紙切れがある。セブンマートのレシートだ。
 そのレシートの裏に、汚い字で何かが書かれていた。

『ハンバーグのお礼。今度はチーズ入れるの、忘れんな』

 俺は泣いた。
 膝をついて、しわくちゃのレシートを握りしめて、大声で泣いた。子供みたいに涙が止まらなかった。
 カウンターにはメモと一緒に、俺の好物のセブマのプリンが置いてあった。

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