白い結婚なんてお断りですわ! DT騎士団長様の秘密の執愛

月夜野繭

文字の大きさ
上 下
38 / 45

覚悟するのはきみだ ①

しおりを挟む


「クリストフ……さま?」
「さっき、覚悟しろときみは言ったな」

 たしかに言った。
 落ち込んだ様子のクリストフにたまらなくなって、宣言した。
『わたくしは、あなたを幸せにしたいだけなのです。クリストフさま――旦那さま、やっぱりお覚悟ください』と。

 淑女としてはちょっと過激な発言かもしれないけど、今さらかっこつけてもしょうがない。
 クリストフに自分の気持ちを伝えるのが最優先だと思ったのだ。

「ミルドレッド」

 熱い情熱を秘めた瞳が、わたしをじっと見つめている。

「覚悟するのはきみだ」
「え?」
「これまでどれだけ俺が我慢してきたと思っている」

 わたしの腰をつかんでいた手がひらりと動いて、気づいたときにはクリストフに見下ろされていた。
 その手が、ベッドに押し倒されたわたしの寝衣をはぎ取るように脱がせる。
 あっという間にわたしは全裸になってしまった。

「綺麗だ……」

 そうつぶやきながら、クリストフも自分の寝衣を脱ぎ去る。
 芸術品のような鍛え上げられた体が現れて、わたしはついうっとりとしてしまった。

 広い胸、盛り上がった肩。腕も長くて、手のひらも大きい。
 こぢんまりとしたわたしと比べると、本当に大人と子どもみたいだ。

 すべてが大きい彼を受け入れることができるだろうか。
 改めて緊張してきたわたしに、クリストフが優しく微笑んだ。

「できるだけ暴走しないように気をつける。もう、きみに隠していることはないからな」
「はい……」
「きみの体の準備をしている途中でたまらなくなったら、自慰をしてしまうかもしれないが、それは許してくれ」
「じ、じい!?」

 自慰って、自分で自分を慰めることよね?
 そう思ってから、ふと閃いた。
 もしかして、さっきわたしがクリストフに自分をこすりつけていたのも自慰になるのでは?
 そこでわたしはクリストフにうなずいた。

「大丈夫です。さっきは、わたしも自慰しましたから!」
「ブホッ、ゲフゲフッ」

 彼はなぜか思いっ切り咳き込んだ。

「クリストフさま、お体の具合でも悪いのですか?」
「い、いや、違う。きみの、その、じ、自慰を思い出したら興奮しすぎただけだ。鼻血……出ていないよな?」
「はい、出ていませんよ」
「よかった。――では、さわるぞ」

 クリストフがわたしの胸に手を伸ばす。力が入っていないのではないかと思うくらいの優しいふれ方だ。
 ゆっくりとした愛撫に、徐々に緊張感がほぐれてくる。
 乳房自体はなにも感じなかったのだけど、彼の硬い手のひらが胸の先端に引っかかったとき、思わず声が出た。

「あんっ。そこ、ちょっと変かも」
「ここか?」

 ふしくれだったクリストフの指が、両方の先端をつまんだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

愛なき政略婚のはずが、溺愛されて離婚できません!?

ゆる
恋愛
父の命令で、愛なき政略結婚を強要された貴族令嬢アマンダ。 お相手は“冷酷な策略家”との噂が絶えない若き侯爵・エドワード── ところが、挙式直後から彼は驚くほど優しく溺愛してきて!? さらに父の身勝手で「離婚しろ」と迫られ、 別の公爵家まで暗躍し始めて大ピンチ! 「君を手放す気はない」―― 彼の言葉に心揺れるアマンダは、本当の幸せを掴めるのか。 愛なきはずがいつの間にか甘々に! ざまぁ要素もしっかり詰まった、 政略結婚から始まる溺愛ラブストーリー。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

処理中です...