サバイバルパーティー

Hanakappa!

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第8話 険しい山道

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 私は、学校を抜け出して、人通りがない山道を走っている。

少々下り坂のため、気をつけながら私は、学校周辺を捜索することにした。

(本当にやってしまった。怒られるのを承知で私を送り出してくれたのに、これで後戻りなんてしたら・・)

そんなことが頭をよぎったのだ。

紅葉の木々が、明るい太陽の光を遮っている。

(犯人の情報なんて教師も警察も誰も知らないのに、どうやって動向を探るんだって言われるかもしれないけど、学校周辺を探して、心当たりのある人物の家に行ったりするぐらいしかできることがないから、それをこなしていくしかない。)




「あっっ・・・・。」

バタンバタンバタン!!

小石に躓いて私は下り勾配で転げ落ちた。

ドン!!!

岩のようなものが頭にぶつかる音がする。

「痛い・・・。」

幸い体育着を着ていたため、身体には何も傷がなかったようだが、
頭から少し血が出ていたのに気がついた。
体育着は泥だらけになっている。
上履きも泥水で汚れ、靴下まで浸水していた。

「ああ~これじゃだめか」
私は偶然入っていた絆創膏と湿布を取り出した。

「湿布を頭に貼るのはどうなのかな~髪の毛ごと取れるんじゃない?まあいっか。家に行けばいいだけのことだし。」

「携帯も圏外なのか。」

湿布と絆創膏をしまい直し、また私は歩きだしていく。



2時間後、気がつけば急な下り勾配の未舗装の道から、舗装されたアスファルトの公道に出ていた。

「やっと出てきた。」

ガードレールを跨(また)いで、私はあるところに行く。

私がいつも登校している学校の正門の反対側は、坂の上にあるため、とても下りの急勾配の山道がひどい。しかも15キロはざらにあると思う。そこを抜けると、私が住む村井市ではなく隣の神皇(じんのう)村になる。

実は、亡くなった奈々美の出身地でもある。最初に奈々美の墓参りに行きたいと思っていた。3日前に法医学による司法解剖が完了し、私のところに、

「実は、奈々美さんの身体にはなんにも外傷は有りませんでした。しかし、胃の内容物を調査したところ、青酸カリと毒が検出されました。」
と連絡が来たのだ。

(つまりは、他殺ではなく、長時間人を苦しまさせるように敢えて毒と青酸カリを使ったんじないかな)

当時私はそのようなことを考えていた。

せめて、墓参りして私の気持ちを心から伝えたかったのだ。

「ここか。」

神社の墓地のようなところに到着した。

「お供物何も持ってないけど、大丈夫かな?」

服がボロボロのまま、私は彼女の墓の目の前に立った。

「これが・・。奈々美の墓・・。」

”村野家之墓”と。
歴代の死没者名簿にも彼女の名前が刻まれていた。

墓を目の当たりにした私は、もう何も言えなくなってしまった。
私は墓石に手を差し伸べて、「ごめん」とだけ呟いている。

「1人で辛かったんだ。お疲れ様。ここで安らかにいつまでも休んでね。いつか私も墓は違うけど天国に行くからね。」


線香に火をつけ、手を合わせて、その場を立ち去ろうとしたときに、


「あっ。奈々美のおじいちゃんとおばあちゃん。」

「やあここに来てたんだね。おじいちゃん心配したぞー。」
「あたしもよ。あなたのことがずっと気がかりだったの。」

そう、奈々美の司法解剖から2日後、家族葬と納骨式が執り行われた。
特に私は親友を失ったことでたいそう苦しむように泣き叫んでいたんだ。墓参りは親族として私が初めてだという。

「二人共。会えて良かったです。」

「でも。学校は?」
「学校は良いのかい?体操着だけど・・。なんかあった?」

「実は、墓参りに行きたくて、学校を抜け出してきました。」
「途中で抜け出すのは良くないってー。でもわしの頃はしょちゅうしてたかな」
「そこはどうでもいいのよ。お父さん。早く学校に戻ったほうがいいよ。今度またみんなで家に遊びに来てよ。」

「わかりました。巳波さんと旦那さんにも言っておきますね。あと、これなんですけど、お墓にお供えしますか?」

私は、奈々美の手帳を取り出した。

「ううん。そのまま持ってていいよ。」
「ええ。そっちのほうが喜ぶでしょう。」

「このまま私が持っておきますね。」

「もう少し話したいけど、そろそろ行かないとまずいんじゃない?」「ごめんね~時間取らせちゃって。また今度いっぱい話そう。」

「はい。それでは私はこれで失礼します。」

「またね。」
「遊びにきなよー」



私は、奈々美の祖父母に別れを告げ、次の目的地に赴くことにした。
急ぐように走る私を見て、奈々美の祖父母は
「あんなに大きくなったのね。」
「小学生なのかとおもったらもう高校3年生だよ~」

と感動しそうになったという。幼少期からお世話になりっぱなしのあのお二方には感謝しかしきれないんだ。

車通りが少ない公道をあるき始めた。
神皇村は山の中に囲まれている集落と言われている。私の学校はその山の入口付近にあるのだが、坂道を走っていくと、自然豊かな集落が見えてくる。そこが神皇村である。確か名前の由来は、世界中の神様がここに集まってくる神社があるのが由来とされ、あの皇族ですらもお参りに行く由緒ある村であると言われているのが事実だ。

ここからが本題だ。
私は、他にもやらなければいけない事がある。

そのため、歩いてきた道を戻って、村井市に戻らなければならない。
ただの急勾配のある下り坂であったはずなのに、今は上り坂がきついのにしか見えない。

午後4時。もう夕暮れの時間が差し掛かっている。日が暮れるまでに戻らないといけない。私は全速力で走りかけた。

(行きは転びまくって2時間かかったけど、走れば帰りは1時間で多分大丈夫だよね。スマホは、あれ?圏外じゃない。ん?一件のメッセージがある・・。)

”いつ帰ってこれる?”と書いてあった。

(あれ?誠由美から?待ってもう全然話さなくなったのになんで・・・。)

私はあの誠由美からのメッセージに疑問が浮かんだ。

「どこかに遊び行こうとかの勧誘なのではないか」と思った。

(まあ、いっか。多分諦めたら私無しで行ってくれるに違いない。)

私は、一回落ちた友情はもう取り返すことができないとでも思っていた。





それから、私はついに学校の入口にまでたどり着いた。
しかし、そこにはなぜか誠由美がいる。

「あれ、誠由美どうしたの」
「あれってほんと人を待たせるんだから。」
「別に私が待ってって言ってるわけ無いでしょ?」
「待って待って。別に怒らないでよ。私は呼ばれたの。担任の先生から」
「なんで?」
「なんかあんたがお昼ごろに脱走したから、帰ってくるまで待っててねって。それで私がなんでかって聞いたら、『二人共仲がいいから一緒に探したらって』それで私は別に仲良くないって言ったんだけど。そういえば、この殺人事件であんたは親友を失って、私は彼氏を失ってどっちも同じ状況に立たされているって冷静に考えたら、そうなったの。だから二人で犯人探しちゃおうよ。」

誠由美からの言葉に最初はムカつくから怒ろうと思ったけれど、だんだん怒りというよりかは、同じ傷を負った誠由美への同情が芽生えてきた。

「実は、私、心のなかで、いつか誠由美に本当のことを話して和解したいなって思ってたの。」

私の言葉に対して誠由美は、
「なーにあんたが謝らないでよ。関係がちぎれたのは全てあたしなの。あんたが見た右腕のメッセージ、実は少し気になってたの。でもそんなの本当にあるわけないんだろうなって考えてしまった自分がいるの。あんなこと言っちゃって。ごめん。」

「良いに決まってるでしょ!犯人みつけたらいっぱいいろんな事しようよ。」
「ええ。そうこなくっちゃ。」

バシ!

二人はハイタッチをした。
その時に一台の赤い車が向かってきた。


窓ガラスを開けて話しかけてきたのは、担任の先生だった。
「二人共、早く乗りなさい。見つかるよ!」」

二人は車のドアを開けて、中に座った。

「もうあんなところでなにやってんのよ~見つかるところだったわ。」

私は先生に聞く。

「なんでここまでしてくれるんですか。殺人事件が起きたのであれば学校で警備とかの仕事でみんな忙しいと言うのに。」

「あれか、あれは別にしなくてもいいでしょ。だって凸られたらすぐ死ぬでしょ?警備をしているってことはすぐ死ぬってこと。何らかの道具がなければね。私もここ数日学校の警備をしていたことがあったんだけど刺股とか道具も何もなしでしてたのがなんだか気に入らなくてね。投げ出してきた。そんな無駄なことをするよりかは、みんながそんなのあるわけないと批判してくるこの事件の動向を確かめることのほうがよっぽど価値があると思う。」

先生はすべてを話してくれた。

「本当にありがとうございます。」
「別にいいのよ。もう怒られることは百パーセント確定しているんだけど、誰かに指図されるよりかは、自分の思ったとおりに行動したほうが良いと思って。それで誠由美にも協力してもらおうと思ってね。二人のほうが進みやすいかなって思って。」

「おかげで仲直りができました。だよね誠由美?」
「うん。」

「二人共なんかあったの?」

「いいえ。ただの喧嘩ですよ。それで少し距離をおいていたんです。」

「ああ。そうだったのね。」


先生の車に運ばれて足早にどこかに向かっていく。

「実は、言い忘れたことがあったんだけど、今日の村高祭は何も起こらなかったわ。でも明日がある。今日行くと見せかけて明日襲ってくるのかもしれないから、気をつけたほうが良い。先生も頑張るけど、手に負えないことだってあるからね。」

車内で話の話題が止まらなかった。


そして先生の言ったとおり、明日間違いなく学校にXが襲ってくるんだと確信する3人であった。















































































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