サバイバルパーティー

Hanakappa!

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第2話 親友の遺言

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 私の学校で殺人事件が起きた。それは私が思っていた以上に学校側も生徒側も驚いていた。

でも私は驚きというより悲しさの方が強かった。

なぜなら、私には‘’親友‘'がいたから。


‘’奈々美‘’  これが親友の名前だ。

奈々美とは幼稚園時代からずっと一緒だ。
どこにいても必ず奈々美がいたというのに、

私は廊下で3年4組の誰もいない教室を目の当たりにした時、はっと思い出した。


昨日帰り道でこんなことを話した。

「ねえ。明日の体育さ、なにする?」
唐突に私に奈々美が聞いてきた。

「なんで?」 苦笑いしながら回答に困る私。 

「なんでって、一緒に何かやりたいからに決まってるでしょう。」と、奈々美は私の背中を手をおいた。

私はそれに驚くばかりだった。

「どうしようかな。この間はバスケやったから他のやつがいいんだよね。」と、私は奈々美に言った。

「バスケやってるところ見たよ。結構面白かったよ。」と私を煽る奈々美がいた。

「もう私のことからかわないでよね!これだから運動神経いい人は違うよね。」とても私は呆れていたのを覚えている。

しかしこの話の結論は、明日に持ち越すことになってしまった。

いつも2人が別れていく十字路に着いてしまったためだ。

「じゃあ私は右側だから。」
奈々美は私に言った。

「うん。じゃあね」

「バイバイ」

2人は、お互い背を向けて帰路につくのであった。


これが私と奈々美で話したのが最後になってしまった。

もう帰ってくることはない。

私はあの別れ際の彼女の笑みが今になって思い出してしまい、ついには『なんですぐに思い出せなかったんだろう』と泣いてしまったのだ。        


彼女の最期を見ることができなかった後悔があった。それはここにいる生徒の誰もが思っていることなのだろう。




 午前の授業が終わり、私は担任から職員室に呼び出されたので、担任の元に行くことにした。

職員室に向かうとき、いつもの快適な足取りでいくはずなのに、階段ですらも少し怖くなった。

(なぜか?それは私にもわからなかった。階段から突き落とされる恐怖?それとも誰かが私の足元をつまずかせて、って一緒だったね。早く行かないと。)



「先生。どうしたんですか?」

「来たのね。実はあなたに渡したいものがあってね。」

「それってなんですか?」
先生からの話に私は、困惑を見せていた。

「実は4組の犠牲者であるとある女子生徒のね、胸元のポケットにこんなものがあったの。これ、ちょっと見てくれる?」

「わかりました。」

先生が発見した‘’何か‘'が気になって見せてもらうことになったので、私は本当に心当たりのあるものなのかを、確かめることにした。

「これは・・・・・・・!?」

私は・・・。今まで何を考えてたのだろうか。
言葉も何も出なかった。

「何か心当たりがあるの?」

「先生。これ私、心当たりあります。」

先生は私に向けてこう言ってくれた。

「そうだとしたら、これ、無くさないように大切に持っていなさい。もうこの人とは会えないんだから。」

と、先生は私の手元にその‘’何か’‘を優しくおにぎりを握るような手でそっと置いたのだ。

「先生。いいんですか?」
先生の言葉に驚きが隠せない私であった。

「全然いいの。ていうか逆に懐かしく思えてきたの。実は、私も中学時代に親友を交通事故で亡くしてて、あなたみたいな結末になってしまったの。その人の最期を見れないまま、亡骸も見れずに、私にきたのは死亡の知らせとともに、私に対する遺言状みたいなものが来たわ。」

先生の過去を聞いた私は、
「先生も辛かった時期があったんですね。もしかして、このメッセージが示していることって・・・。」と言った。

「多分だけど、今後学校で起こることなのかもしれないかもね。だから気をつけたほうがいいのかも。」

先生は今後の学校に何が起こるかをまるで知っているかのように私に言った。


そうして私は職員室から姿を消した。


すぐにトイレの個室に行って、詳しく彼女のメッセージを見てみることにした。


息切れが止まらない。そんな私は深呼吸をしてみるが、一向に治らない。緊張しているに違いない。あの先生でさえも驚くというのだから、本当に未来が怖くなってくるだろう。



’‘私は、もっといろんなことがしたかった。けど、時間がないから全部はできないかもしれない。もしできなかったら誰かにやってもらう。‘’

という内容だった。私が職員室で見た時は驚きが隠せなかったが、実はこれに続きがあった。

「どこにあるの?」

私は焦って裏をひっくり返してみた。

すると、

‘’大好き‘’

と書かれていたのだ。


私は確信したのだ。『これは間違いなく私に向けて生前の奈々美が遺したもの』だということが。


しかし私は衝撃的だった感情から一気に安心へと気持ちが変わったのだ。

(最初は表のメッセージを見た時に彼女は死ぬ気満々で自殺願望があったのかなと思っててすごくショックだったと思っていたけれど、‘’大好き‘’という一言だけで、私を親友として好きでいてくれたということには間違いはなかった。私は酷い勘違いをしていたようだ。正直自分を平手でもなんでもいいから一発殴りたい気分になった。)



 放課後になった。
夕暮れが近くに見える山々に差し掛かっているところだ。私は自転車で校門まで歩いた。

「そろそろ帰らないとね。」
と私は自転車を漕ぐ準備をしていた。

そして漕ごうとしたその時に、

坂道の途中でなぜか奈々美が私に笑顔で手を振っているのが見えた。

「奈々美!!」

と私は手を振ったが、


もう、そこには、誰もいなくなっていた。





   






 




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