あなたの愛が正しいわ

来須みかん

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【よりを戻して仲良く過ごす、そんな夫婦が見たいあなたへ】

06 その後の僕たち【デイヴィス視点】

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 そのあとの僕たちは、『抱きしめあうとベッドになだれ込み、数日間、愛を確かめ合った……』なんてことにはならず、明日の仕事のために適度に切り上げて解散した。

 ローザの後ろ姿を見送ると、先ほどのローザの言葉をかみしめる。

 ――私、今のあなたのこと、好きよ。


 僕の愛とローザの愛には、大きな差があるのはわかっているけど、愛している人に好意をもってもらえるだけで、嬉しくて胸がいっぱいになってしまう。

 ローザに『ずっと側にいていいよ』と許してもらえたみたいで、また涙がにじんだ。

 それから、ほどなくして、ローザは妊娠した。

 その報告を聞いた僕は、驚きと喜びで、どうにかなってしまいそうだった。

 妊娠中のローザがムリをしてしまわないように、彼女の許可を得てから、彼女の仕事を代わりに頼める人材を探して手配した。

 そうすることで、ローザは家でゆっくりしながら、最終決裁だけすれば良い仕組みをつくりあげた。

 日に日に大きくなっていくローザのお腹が神秘的だ。具合が悪そうなローザを心配しすぎて、ローザに「デイヴィス、少し、あっちにいってて……」と言われてしまう日もあった。

 ローザが男の子を産んでくれたとき、出産後の母子ともに無事であることに僕は涙を流した。

 僕たちの子どもは、良く寝て良く泣いて、たくさんミルクを飲んですくすくと育っている。

「あなたも抱いてみる?」

 ローザにそう聞かれて、おそるおそる腕に抱いた新しい命は、とても小さくてみているだけで壊れてしまいそうで怖い。

「ろ、ローザ……」

 困っている僕から、ローザは赤ん坊を受け取る。

「かわいいわね」

 そういうローザの顔はとても穏やかだ。

「そうだね、かわいいね」

 そう答えながら、ローザの愛を一身に受ける我が子に少しだけ嫉妬してしまう。

 でも、僕はもう二度と間違えない。

 ローザを愛し、我が子を愛して、生涯大切にすると決めているから。




【よりを戻すルート】おわり




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