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【番外編・カイルとの恋愛エンディング】
04【ルート分岐】大人なカイルとの恋愛
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ラナは両手でしっかりと握った封筒を満面の笑みでメアリーに差し出した。
「メアリーお嬢様。お嬢様宛にお手紙が届きましたよ」
受け取った手紙には、赤い蝋(ろう)の上から印鑑が押され仰々しく封じられている。
ラナがペーパーナイフを持ってきてくれた。封を切ると、それは知らない人からの招待状だった。
「ドレイク侯爵……?」
聞いたこともない家名だった。手紙を読み進めると、そのドレイク侯爵とやらはメアリーを自分の屋敷に招待したいらしい。そして、驚いたことにメアリーだけではなく、パティやその恋人クリフまで招待しているそうだ。
後からメアリーがパティとクリフに確認しにいくと、パティは「そうよ」と笑顔で頷いた。
「ぜひ一緒に行きましょうね! 当日はクリフが転移魔法で連れて行ってくれるわ」
(パティやクリフが一緒なら、危険なことはないかな?)
そう思い、メアリーは頷いた。
*
招待日の当日。
クリフの転移魔法はすさまじく、メアリー、パティ、クリフの三人は、一瞬で別の場所へと移動した。メアリーがおそるおそると目を開くと、まるでお城の一室のような豪華な部屋に立っていた。
その豪華な部屋の中心にいた一人の青年がメアリーに近づいてきた。青年の髪はまるでパティのようなアッシュピンクで、瞳もパティと同じ紫色。
メアリーより頭一つ分、背の高い青年は「いらっしゃい」と落ち着いた声でメアリーを歓迎した。そして、メアリーの右手を取るとその手の甲にキスをする。
「来てくれて嬉しいです。メアリーさん」
にこりと微笑んだ青年の笑顔は、あの可愛いカイルとそっくりで。
「もしかして……カイルくん?」
『そんな訳ない』と思いながら訊ねると、青年は自身の口元を押さえて頬を赤く染めた。
「気がついてもらえて嬉しいです」
「どういう、こと?」
メアリーが説明を求めて辺りを見回すと、一緒に来たはずのパティとクリフの姿は消えていた。青年姿のカイルは、メアリーにまっすぐ向き合い、その両手を握りしめた。
「メアリーさん。俺、どうしてもメアリーさんのことを諦められなくて、外見が変えられないなら、中身を変えようと思ったんです。それで、いろいろこの国のことを勉強して、王族の下につくことを条件に爵位や領地、家名をもらいました」
「じゃあ、ドレイク侯爵って……」
「俺のことです」
大人びた顔をしていても、嬉しそうに微笑むその表情は少しも変っていなくて、目の前の青年は、確かにカイルだと納得ができた。
「でも、その姿は?」
カイルは「ああ、これは、中身を変えたら、なぜか外見も変わりました」とあっけらかんと教えてくれた。
「ええええ!?」
驚いたものの、『そういえば、カイルくんってドラゴンスレイヤーっていう伝説の武器で、そもそも人間じゃなかったっけ』と思い出す。
「メアリーさん」
カイルがメアリーの両手を握りしめた。
「今の俺ならどうですか?」
その瞳は怖いくらい真剣だ。
「今の俺なら、男に見えますか?」
目の前のカイルは、どことなく可愛らしさを残しながら精悍な顔つきになっていた。少女の様に華奢に見えた身体はガッチリと逞しくなっている。
「あ、えっと……うん」
メアリーが頷くと、カイルは「やったー!」と叫んで、メアリーをまるで高い高いするように高く持ち上げた。
「きゃあ!?」
メアリーが悲鳴を上げると「すみません! 嬉しすぎて、つい!」と謝りながらも下ろしてはくれず、そのまま抱っこ状態でにこりと微笑む。
「カ、カイルくん、下ろして」
メアリーが怖くてカイルの首に腕を巻き付けしがみつくと、「大丈夫です。絶対に落としませんから」とぎゅっと抱きしめてくる。
「お、お願い」
涙目になりながらカイルに縋りつくと、カイルは顔を赤く染めていた。
「メアリーさん、この状況で、その顔……ずるいです」
ゆっくりとカイルの顔が近づいてきた。カイルに抱きかかえられた状態なので、逃げることも避けることもできず唇が重なる。
カイルは、ゆっくりと唇を動かし、メアリーの唇の柔らかさを堪能してから顔を離した。
「俺から逃げなかったということは、嫌じゃないってことですよね?」
「抱っこされているこの状態でどう逃げろと?」
ジロリと睨みつけると、「そんな顔も可愛いです!」とまたキスされる。
「俺、もう少しも待ちませんし、我慢もしませんからね」
そう宣言したカイルは、とても幸せそうに微笑んだ。
*
【カイル視点】
(憧れの人が今、俺の腕の中にいる)
メアリーを抱きかかえながら、カイルは夢のような心地を味わっていた。
(初めてメアリーさんを見た時は、『綺麗な人だなぁ』くらいだったんだ)
カイルはメアリーを怖がらせてしまわないように、そっとソファーの上に下ろした。
(でも……姉ちゃんに頼まれてメアリーさんを守るために観察していたら、周りにひどい態度を取られているのに、メアリーさんは、いつも冷静で。命を狙われても凛としていて泣き言一つ言わないから、『俺が守ってあげたい』って思った)
カイルは、メアリーの白い頬にそっと触れた。その頬は、滑らかで温かい。
(メアリーさんに『私を助けてほしい』ってお願いされたとき、俺がどれほど嬉しかったか)
『守ってあげたい。助けてあげたい』という純粋な気持ちは、いつの間にか違う方向に大きく膨らみ溢れ出し、どうしようもなくなってしまった。
カイルは、顔を近づけてそっとメアリーの唇を奪った。
(守るとかいいながら、俺はメアリーさんに、こういうことがしたいと思っていた)
メアリーに触れても逃げたり嫌がったりしないことがとても嬉しい。唇を離すと、額をくっつけたままメアリーの両頬に手を添えた。
「メアリーさん、愛しています」
目の前にある白い頬がみるみると赤く染まっていく。
「一生大切にします。だから、俺と一緒になってくれませんか?」
メアリーは困ったように視線を逸らした。
「でも……今のカイルくんだったら、何でも手に入るし、誰とでも結婚できるんだよ?」
その言葉にカッと頭が熱くなる。そして、無性に悲しくなった。
「俺は、メアリーさんが良いんです! メアリーさんじゃなきゃダメなんです! メアリーさんに愛してもらえないと意味がないって、どうして分かってくれないんですか? 俺は何もいらないんです……貴女だけが欲しいんです……」
こらえきれず、涙が溢れた。
「お願いですから、俺を愛してるって言ってください!」
ほんの少しのメアリーの沈黙が、永遠の地獄のように感じた。
メアリーは少しうつむきながら「……愛してるわ」と小さな声で呟いた。
「本当ですか!? 男としてですよね?」
コクリと頷いたメアリーの頬は赤い。それは異性として意識してくれている顔だ。
(ずっとこの顔が見たかった)
幸せをかみしめていると、メアリーは少しだけうつむいた。
「ねぇ、カイルくん。カイルくんって伝説の武器なのよね?」
「あ、はい。そうらしいですね」
メアリーの澄み切った綺麗な瞳がカイルを見つめている。
「私たちの間に子どもってできるのかな?」
ボッとカイルの顔が赤くなった。メアリーは素朴な疑問を口にしただけだと分かっているが動揺を隠せない。
「あの、えっと、それは……ど、ど、どうでしょう、か?」
「そうだね。分からないよね。じゃあ、それはこれから試していったらいっか」
そんなことを言いながら、メアリーは聖女のような微笑みを浮かべた。
(ううっ! せっかく大人になったのに、俺、この人には一生かなわない気がする……)
二人の結婚生活は、カイルの予想通りメアリーにかなわない日々だったが、とても温かく幸せだった。
数年後。可愛い子どもたちに囲まれて、仲睦まじげに微笑み合うメアリーとカイルの姿があった。
【大人カイル】ハッピーエンド
「メアリーお嬢様。お嬢様宛にお手紙が届きましたよ」
受け取った手紙には、赤い蝋(ろう)の上から印鑑が押され仰々しく封じられている。
ラナがペーパーナイフを持ってきてくれた。封を切ると、それは知らない人からの招待状だった。
「ドレイク侯爵……?」
聞いたこともない家名だった。手紙を読み進めると、そのドレイク侯爵とやらはメアリーを自分の屋敷に招待したいらしい。そして、驚いたことにメアリーだけではなく、パティやその恋人クリフまで招待しているそうだ。
後からメアリーがパティとクリフに確認しにいくと、パティは「そうよ」と笑顔で頷いた。
「ぜひ一緒に行きましょうね! 当日はクリフが転移魔法で連れて行ってくれるわ」
(パティやクリフが一緒なら、危険なことはないかな?)
そう思い、メアリーは頷いた。
*
招待日の当日。
クリフの転移魔法はすさまじく、メアリー、パティ、クリフの三人は、一瞬で別の場所へと移動した。メアリーがおそるおそると目を開くと、まるでお城の一室のような豪華な部屋に立っていた。
その豪華な部屋の中心にいた一人の青年がメアリーに近づいてきた。青年の髪はまるでパティのようなアッシュピンクで、瞳もパティと同じ紫色。
メアリーより頭一つ分、背の高い青年は「いらっしゃい」と落ち着いた声でメアリーを歓迎した。そして、メアリーの右手を取るとその手の甲にキスをする。
「来てくれて嬉しいです。メアリーさん」
にこりと微笑んだ青年の笑顔は、あの可愛いカイルとそっくりで。
「もしかして……カイルくん?」
『そんな訳ない』と思いながら訊ねると、青年は自身の口元を押さえて頬を赤く染めた。
「気がついてもらえて嬉しいです」
「どういう、こと?」
メアリーが説明を求めて辺りを見回すと、一緒に来たはずのパティとクリフの姿は消えていた。青年姿のカイルは、メアリーにまっすぐ向き合い、その両手を握りしめた。
「メアリーさん。俺、どうしてもメアリーさんのことを諦められなくて、外見が変えられないなら、中身を変えようと思ったんです。それで、いろいろこの国のことを勉強して、王族の下につくことを条件に爵位や領地、家名をもらいました」
「じゃあ、ドレイク侯爵って……」
「俺のことです」
大人びた顔をしていても、嬉しそうに微笑むその表情は少しも変っていなくて、目の前の青年は、確かにカイルだと納得ができた。
「でも、その姿は?」
カイルは「ああ、これは、中身を変えたら、なぜか外見も変わりました」とあっけらかんと教えてくれた。
「ええええ!?」
驚いたものの、『そういえば、カイルくんってドラゴンスレイヤーっていう伝説の武器で、そもそも人間じゃなかったっけ』と思い出す。
「メアリーさん」
カイルがメアリーの両手を握りしめた。
「今の俺ならどうですか?」
その瞳は怖いくらい真剣だ。
「今の俺なら、男に見えますか?」
目の前のカイルは、どことなく可愛らしさを残しながら精悍な顔つきになっていた。少女の様に華奢に見えた身体はガッチリと逞しくなっている。
「あ、えっと……うん」
メアリーが頷くと、カイルは「やったー!」と叫んで、メアリーをまるで高い高いするように高く持ち上げた。
「きゃあ!?」
メアリーが悲鳴を上げると「すみません! 嬉しすぎて、つい!」と謝りながらも下ろしてはくれず、そのまま抱っこ状態でにこりと微笑む。
「カ、カイルくん、下ろして」
メアリーが怖くてカイルの首に腕を巻き付けしがみつくと、「大丈夫です。絶対に落としませんから」とぎゅっと抱きしめてくる。
「お、お願い」
涙目になりながらカイルに縋りつくと、カイルは顔を赤く染めていた。
「メアリーさん、この状況で、その顔……ずるいです」
ゆっくりとカイルの顔が近づいてきた。カイルに抱きかかえられた状態なので、逃げることも避けることもできず唇が重なる。
カイルは、ゆっくりと唇を動かし、メアリーの唇の柔らかさを堪能してから顔を離した。
「俺から逃げなかったということは、嫌じゃないってことですよね?」
「抱っこされているこの状態でどう逃げろと?」
ジロリと睨みつけると、「そんな顔も可愛いです!」とまたキスされる。
「俺、もう少しも待ちませんし、我慢もしませんからね」
そう宣言したカイルは、とても幸せそうに微笑んだ。
*
【カイル視点】
(憧れの人が今、俺の腕の中にいる)
メアリーを抱きかかえながら、カイルは夢のような心地を味わっていた。
(初めてメアリーさんを見た時は、『綺麗な人だなぁ』くらいだったんだ)
カイルはメアリーを怖がらせてしまわないように、そっとソファーの上に下ろした。
(でも……姉ちゃんに頼まれてメアリーさんを守るために観察していたら、周りにひどい態度を取られているのに、メアリーさんは、いつも冷静で。命を狙われても凛としていて泣き言一つ言わないから、『俺が守ってあげたい』って思った)
カイルは、メアリーの白い頬にそっと触れた。その頬は、滑らかで温かい。
(メアリーさんに『私を助けてほしい』ってお願いされたとき、俺がどれほど嬉しかったか)
『守ってあげたい。助けてあげたい』という純粋な気持ちは、いつの間にか違う方向に大きく膨らみ溢れ出し、どうしようもなくなってしまった。
カイルは、顔を近づけてそっとメアリーの唇を奪った。
(守るとかいいながら、俺はメアリーさんに、こういうことがしたいと思っていた)
メアリーに触れても逃げたり嫌がったりしないことがとても嬉しい。唇を離すと、額をくっつけたままメアリーの両頬に手を添えた。
「メアリーさん、愛しています」
目の前にある白い頬がみるみると赤く染まっていく。
「一生大切にします。だから、俺と一緒になってくれませんか?」
メアリーは困ったように視線を逸らした。
「でも……今のカイルくんだったら、何でも手に入るし、誰とでも結婚できるんだよ?」
その言葉にカッと頭が熱くなる。そして、無性に悲しくなった。
「俺は、メアリーさんが良いんです! メアリーさんじゃなきゃダメなんです! メアリーさんに愛してもらえないと意味がないって、どうして分かってくれないんですか? 俺は何もいらないんです……貴女だけが欲しいんです……」
こらえきれず、涙が溢れた。
「お願いですから、俺を愛してるって言ってください!」
ほんの少しのメアリーの沈黙が、永遠の地獄のように感じた。
メアリーは少しうつむきながら「……愛してるわ」と小さな声で呟いた。
「本当ですか!? 男としてですよね?」
コクリと頷いたメアリーの頬は赤い。それは異性として意識してくれている顔だ。
(ずっとこの顔が見たかった)
幸せをかみしめていると、メアリーは少しだけうつむいた。
「ねぇ、カイルくん。カイルくんって伝説の武器なのよね?」
「あ、はい。そうらしいですね」
メアリーの澄み切った綺麗な瞳がカイルを見つめている。
「私たちの間に子どもってできるのかな?」
ボッとカイルの顔が赤くなった。メアリーは素朴な疑問を口にしただけだと分かっているが動揺を隠せない。
「あの、えっと、それは……ど、ど、どうでしょう、か?」
「そうだね。分からないよね。じゃあ、それはこれから試していったらいっか」
そんなことを言いながら、メアリーは聖女のような微笑みを浮かべた。
(ううっ! せっかく大人になったのに、俺、この人には一生かなわない気がする……)
二人の結婚生活は、カイルの予想通りメアリーにかなわない日々だったが、とても温かく幸せだった。
数年後。可愛い子どもたちに囲まれて、仲睦まじげに微笑み合うメアリーとカイルの姿があった。
【大人カイル】ハッピーエンド
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