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【番外編・エイベルとの恋愛エンディング】
04 本当の夫婦
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メアリーがエイベルと結婚してから、あっと言う間に二カ月がたった。エイベルの母、侯爵夫人はとても優しく良くしてくれている。何の不自由もない生活だったが、メアリーは一つだけ気になることがあった。
(エイベルが、最近、冷たいような気がする……)
声をかけても、ぼんやりしていて、すぐに返事をしてくれないことがあるし、ときどき何かにイライラしているようにも見える。
(これって、もしかして……私に飽きて、うっとうしくなってきたんじゃ……)
『まだ二カ月しかたっていないのに!?』という気持ちと『エイベルならあり得る』という気持ちが同時に湧き起こる。
メアリーは深いため息をついた。
(だから、結婚する前に、私に飽きても捨てられないんですよって忠告したのに……)
エイベルを責めてしまいたいが、すぐに、『エイベルが飽きっぽい性格だと分かっていて結婚したんでしょ?』と冷静な自分の声が聞こえてくる。
(……そうね、遅かれ早かれ、いつかこうなるって私は分かっていたわ)
愛が欲しいと望むから痛い目にあってしまう。エイベルからの愛さえ望まなければ、ここでの生活には何も問題がない。
(そもそも、私が結婚する目的が『死にたくないから』という理由だったんだから、こうして、生きているだけでエイベルには感謝しないとね)
夜も更けると、エイベルがメアリーの部屋に入ってきた。その顔はどこか暗い。ズキリと胸が痛んだ。
「メアリー」
こちらに歩いてきたエイベルが両手を伸ばし、抱きしめようとしてきたので、メアリーはそっと身をかわした。
「メアリー?」
不思議そうに名前を呼ばれたので、にっこりと優しく微笑んであげた。
「エイベル様。もう無理に私に構っていただかなくて結構ですよ」
「え?」
しばらく無言になった後、エイベルは、「僕、何かした?」と不安そうな声を出した。
(もしかして、私に飽きたことに気がついていないのかしら?)
自分の恋心にも気がつかなかったエイベルのことだ。メアリーへの態度が変わっていることにも気がついていない可能性がある。
「エイベル様、私は結婚していただいただけで、十分、幸せです。だから、毎晩、義務のように寝室に来なくて良いのですよ」
「え? ごめん、僕、しつこかった? だって、メアリーが可愛すぎて……我慢できなくて……」
なぜかしょんぼりしてしまったエイベルは、子猫のように潤んだ瞳でこちらを見つめている。
(か、可愛い……じゃなくて!)
エイベルは「メアリー」と名前を呼びながら縋るように両手を伸ばす。その温かい腕の中に納まってしまえば、また愛が欲しくなってしまう。それは不幸の始まりだ。
メアリーは後ろに下がって、エイベルから距離を取った。
「大丈夫です。私はちゃんと分かっていますから。これからは、偽りの妻としてご迷惑をおかけしないように振る舞います。もう、この部屋には来ていただかなくて良いですよ」
「なに、それ?」
大きく瞳を見開いたエイベルは、細く長いため息をついた。
「……もう、我慢できない……」
怒りを含んだ声はとても冷たい。いつもは猫っぽく可愛らしいエイベルの緑色の瞳が、なぜか肉食獣のような怪しい光を帯びていた。
「ずっと我慢していたけど、もう限界だよ!」
声を荒げられて思わず身がすくむ。乱暴に左腕をつかまれて、思わず小さな悲鳴がでた。
「わ、私のせいだって言うの!?」
「そうだよ!」
エイベルに一方的に怒鳴られて、さすがにメアリーも腹がたってきた。
「勝手すぎるわ、エイベル! だから、最初に言ったでしょう! 私に飽きても捨てられないんですよって!」
「メアリー! 僕以外を見ないで! 僕以外に笑いかけないでよ!」
「二か月で飽きてうっとうしがられる私の気持ちにもなってよ!」
「どうして、母様なんて相手にするんだよ!? どうして、僕だけを見てくれないの!?」
「ひどいわ! あ、あんなに毎晩優しくされたら、愛されているって勘違いしてしまうじゃない!」
「夜だけしか僕のメアリーでいてくれないのに、もう、『夜も会いに来るな』だなんて、ひどすぎるよ!」
お互いに我慢していたことを叫びあった後、部屋に静かな沈黙がおりた。
「……うん?」
「え?」
お互いの言葉を思い出しながら、噛み合っていないことにようやく気がつく。
「……エイベル、私に飽きてうっとうしくなっているのよね?」
「……メアリー、僕がしつこかったから、夜にもう来るなって話だよね?」
二人見事に「「そんな訳ないでしょう!?(だろう!?)」」と声が重なる。
「僕がメアリーに飽きただなんて、どうして、そんなことを思ったの!?」
「だって、最近、エイベルが冷たいから!」
「冷たいのはそっちだよ! 母様とばっかり一緒にいて! メアリーは、僕より母様の方が好きなんだろ!?」
「そんな訳ないでしょう!? って、もしかして、お母様にやきもちを妬いているの? 自分のお母様なのに?」
エイベルの顔がカァと赤くなっていく。
「……そうだよ! さすがにカッコ悪くて言えなくて、ずっと我慢してたんだ! それなのに、もう部屋に来るなとか、偽りの妻になる、とか……言わ、れて……」
「ごめんなさい、私、勘違いして」
エイベルを見ると、綺麗な緑色の瞳からボロボロと大粒の涙を流していた。
「え!?」
「そんなの、やだよぉ……」
小さな子どものように泣きじゃくるエイベルを、どうしたらいいのか分からない。
「こんなに、メアリーのことを愛しているのに、どうして伝わらないんだよ」
「私……ごめんなさい」
人も愛も信じられなくなっている。そのせいで、エイベルを傷つけてしまった。
「こ、怖いの」
エイベルに捨てられるくらいなら、先に希望を捨てて逃げてしまいたかった。そうすれば、自分は傷つかずに済むから。
(そっか私、エイベルのことが……好きなのね)
気がつけば、エイベルの側がとても心地よくなってしまっていた。その事実を認めてしまうと、今まで、何度殺されそうになっても出なかった涙がふいにこぼれた。
「貴方に嫌われるのが、怖いの。死ぬことより、怖くなってしまったの」
一度溢れた涙はもう止めることが出来ず、頬を伝って流れていく。同じくらいにボロボロと涙を流しているエイベルはニッコリと微笑んだ。
「なんだ、良かった。僕たち、やっぱり両想いか」
エイベルが『おいで』というように両手を広げたので、今度は少しも迷わずその腕に飛び込んだ。抱きしめられると温かくてまた涙が溢れてくる。
「エイベルのことが大好きなの、愛しているの。捨てないで、飽きないで、お願いだから、ずっと私の側にいて」
メアリーの耳元で、うっとりとするような熱いため息が聞こえた。
「そのお願い、最高だよ」
ぎゅっと苦しい程に抱き締められる。
「もう絶対に離してあげないからね」
何度も唇を重ねた後に、エイベルは「母様を何とかしなくっちゃ」と不穏な言葉を呟いた。
*
数日後、「メアリーさーん」と満面の笑みで遊びに来た侯爵夫人にエイベルが一言。
「母様、もうこっちに来ないで!」
「ひどいわ、エイベル! メアリーさんを独り占めする気ね!?」
エイベルはニコリともしないで、両腕を組んで夫人を睨みつけている。
「あのね、母様。僕の言うことを大人しく聞いたほうがいいよ?」
「どうしてよ?」
「僕の言うことを聞かないと、孫が産まれても、会わせてあげないよ?」
ハッとなった夫人は「……ま、孫?」と呟いた。
「そう、僕とメアリーの子ども。あーあー、メアリーに似てすっごく可愛いだろうなぁ」
夫人は「まぁまぁ」と頬を染めながら「そうね、そうよね! 新婚夫婦の時間は大切よね」と嬉しそうに帰って行った。
その後ろ姿を見たエイベルが「よし!」と満足そうに頷いている。
「メアリー、これで邪魔者はいなくなったね」
「邪魔者って……」
答えに困っていると、エイベルは「まぁ、メアリーが母様に会いたかったら、ときどきなら会いに行っても良いけど……本当に、ときどきにしてよ?」と念を押される。
「はいはい」
笑って返事をするとエイベルはため息をついた。
「ああもう、奥さんがモテるって本当に大変だよ……」
「私がモテる? まさか。エイベルほうがモテるでしょ?」
不思議に思ってそう伝えると、「無自覚なの?」とあきれられた。
*
それからの二人は――。
「メアリー、お誕生日おめでとう!」
エイベルはメアリーの誕生日が来るたびに、大きな花束と共に「ね、まだ飽きていないでしょう? メアリーに飽きる日なんて来ないよ。一生、一緒にいようね」と、満面の笑みで毎年毎年、繰り返し言い続けてくれた。
エイベルの愛に包まれて、いつの間にか、メアリーは人も愛も信じられるようになっている自分に気がついた。
「ありがとうエイベル。ずっとずっと、貴方だけを愛しているわ」
長い月日が流れ、繋いだ二人の手がシワシワになっても、エイベルは愛おしいメアリーのお願いを叶え続けるのだった。
ハッピーエンド
(エイベルが、最近、冷たいような気がする……)
声をかけても、ぼんやりしていて、すぐに返事をしてくれないことがあるし、ときどき何かにイライラしているようにも見える。
(これって、もしかして……私に飽きて、うっとうしくなってきたんじゃ……)
『まだ二カ月しかたっていないのに!?』という気持ちと『エイベルならあり得る』という気持ちが同時に湧き起こる。
メアリーは深いため息をついた。
(だから、結婚する前に、私に飽きても捨てられないんですよって忠告したのに……)
エイベルを責めてしまいたいが、すぐに、『エイベルが飽きっぽい性格だと分かっていて結婚したんでしょ?』と冷静な自分の声が聞こえてくる。
(……そうね、遅かれ早かれ、いつかこうなるって私は分かっていたわ)
愛が欲しいと望むから痛い目にあってしまう。エイベルからの愛さえ望まなければ、ここでの生活には何も問題がない。
(そもそも、私が結婚する目的が『死にたくないから』という理由だったんだから、こうして、生きているだけでエイベルには感謝しないとね)
夜も更けると、エイベルがメアリーの部屋に入ってきた。その顔はどこか暗い。ズキリと胸が痛んだ。
「メアリー」
こちらに歩いてきたエイベルが両手を伸ばし、抱きしめようとしてきたので、メアリーはそっと身をかわした。
「メアリー?」
不思議そうに名前を呼ばれたので、にっこりと優しく微笑んであげた。
「エイベル様。もう無理に私に構っていただかなくて結構ですよ」
「え?」
しばらく無言になった後、エイベルは、「僕、何かした?」と不安そうな声を出した。
(もしかして、私に飽きたことに気がついていないのかしら?)
自分の恋心にも気がつかなかったエイベルのことだ。メアリーへの態度が変わっていることにも気がついていない可能性がある。
「エイベル様、私は結婚していただいただけで、十分、幸せです。だから、毎晩、義務のように寝室に来なくて良いのですよ」
「え? ごめん、僕、しつこかった? だって、メアリーが可愛すぎて……我慢できなくて……」
なぜかしょんぼりしてしまったエイベルは、子猫のように潤んだ瞳でこちらを見つめている。
(か、可愛い……じゃなくて!)
エイベルは「メアリー」と名前を呼びながら縋るように両手を伸ばす。その温かい腕の中に納まってしまえば、また愛が欲しくなってしまう。それは不幸の始まりだ。
メアリーは後ろに下がって、エイベルから距離を取った。
「大丈夫です。私はちゃんと分かっていますから。これからは、偽りの妻としてご迷惑をおかけしないように振る舞います。もう、この部屋には来ていただかなくて良いですよ」
「なに、それ?」
大きく瞳を見開いたエイベルは、細く長いため息をついた。
「……もう、我慢できない……」
怒りを含んだ声はとても冷たい。いつもは猫っぽく可愛らしいエイベルの緑色の瞳が、なぜか肉食獣のような怪しい光を帯びていた。
「ずっと我慢していたけど、もう限界だよ!」
声を荒げられて思わず身がすくむ。乱暴に左腕をつかまれて、思わず小さな悲鳴がでた。
「わ、私のせいだって言うの!?」
「そうだよ!」
エイベルに一方的に怒鳴られて、さすがにメアリーも腹がたってきた。
「勝手すぎるわ、エイベル! だから、最初に言ったでしょう! 私に飽きても捨てられないんですよって!」
「メアリー! 僕以外を見ないで! 僕以外に笑いかけないでよ!」
「二か月で飽きてうっとうしがられる私の気持ちにもなってよ!」
「どうして、母様なんて相手にするんだよ!? どうして、僕だけを見てくれないの!?」
「ひどいわ! あ、あんなに毎晩優しくされたら、愛されているって勘違いしてしまうじゃない!」
「夜だけしか僕のメアリーでいてくれないのに、もう、『夜も会いに来るな』だなんて、ひどすぎるよ!」
お互いに我慢していたことを叫びあった後、部屋に静かな沈黙がおりた。
「……うん?」
「え?」
お互いの言葉を思い出しながら、噛み合っていないことにようやく気がつく。
「……エイベル、私に飽きてうっとうしくなっているのよね?」
「……メアリー、僕がしつこかったから、夜にもう来るなって話だよね?」
二人見事に「「そんな訳ないでしょう!?(だろう!?)」」と声が重なる。
「僕がメアリーに飽きただなんて、どうして、そんなことを思ったの!?」
「だって、最近、エイベルが冷たいから!」
「冷たいのはそっちだよ! 母様とばっかり一緒にいて! メアリーは、僕より母様の方が好きなんだろ!?」
「そんな訳ないでしょう!? って、もしかして、お母様にやきもちを妬いているの? 自分のお母様なのに?」
エイベルの顔がカァと赤くなっていく。
「……そうだよ! さすがにカッコ悪くて言えなくて、ずっと我慢してたんだ! それなのに、もう部屋に来るなとか、偽りの妻になる、とか……言わ、れて……」
「ごめんなさい、私、勘違いして」
エイベルを見ると、綺麗な緑色の瞳からボロボロと大粒の涙を流していた。
「え!?」
「そんなの、やだよぉ……」
小さな子どものように泣きじゃくるエイベルを、どうしたらいいのか分からない。
「こんなに、メアリーのことを愛しているのに、どうして伝わらないんだよ」
「私……ごめんなさい」
人も愛も信じられなくなっている。そのせいで、エイベルを傷つけてしまった。
「こ、怖いの」
エイベルに捨てられるくらいなら、先に希望を捨てて逃げてしまいたかった。そうすれば、自分は傷つかずに済むから。
(そっか私、エイベルのことが……好きなのね)
気がつけば、エイベルの側がとても心地よくなってしまっていた。その事実を認めてしまうと、今まで、何度殺されそうになっても出なかった涙がふいにこぼれた。
「貴方に嫌われるのが、怖いの。死ぬことより、怖くなってしまったの」
一度溢れた涙はもう止めることが出来ず、頬を伝って流れていく。同じくらいにボロボロと涙を流しているエイベルはニッコリと微笑んだ。
「なんだ、良かった。僕たち、やっぱり両想いか」
エイベルが『おいで』というように両手を広げたので、今度は少しも迷わずその腕に飛び込んだ。抱きしめられると温かくてまた涙が溢れてくる。
「エイベルのことが大好きなの、愛しているの。捨てないで、飽きないで、お願いだから、ずっと私の側にいて」
メアリーの耳元で、うっとりとするような熱いため息が聞こえた。
「そのお願い、最高だよ」
ぎゅっと苦しい程に抱き締められる。
「もう絶対に離してあげないからね」
何度も唇を重ねた後に、エイベルは「母様を何とかしなくっちゃ」と不穏な言葉を呟いた。
*
数日後、「メアリーさーん」と満面の笑みで遊びに来た侯爵夫人にエイベルが一言。
「母様、もうこっちに来ないで!」
「ひどいわ、エイベル! メアリーさんを独り占めする気ね!?」
エイベルはニコリともしないで、両腕を組んで夫人を睨みつけている。
「あのね、母様。僕の言うことを大人しく聞いたほうがいいよ?」
「どうしてよ?」
「僕の言うことを聞かないと、孫が産まれても、会わせてあげないよ?」
ハッとなった夫人は「……ま、孫?」と呟いた。
「そう、僕とメアリーの子ども。あーあー、メアリーに似てすっごく可愛いだろうなぁ」
夫人は「まぁまぁ」と頬を染めながら「そうね、そうよね! 新婚夫婦の時間は大切よね」と嬉しそうに帰って行った。
その後ろ姿を見たエイベルが「よし!」と満足そうに頷いている。
「メアリー、これで邪魔者はいなくなったね」
「邪魔者って……」
答えに困っていると、エイベルは「まぁ、メアリーが母様に会いたかったら、ときどきなら会いに行っても良いけど……本当に、ときどきにしてよ?」と念を押される。
「はいはい」
笑って返事をするとエイベルはため息をついた。
「ああもう、奥さんがモテるって本当に大変だよ……」
「私がモテる? まさか。エイベルほうがモテるでしょ?」
不思議に思ってそう伝えると、「無自覚なの?」とあきれられた。
*
それからの二人は――。
「メアリー、お誕生日おめでとう!」
エイベルはメアリーの誕生日が来るたびに、大きな花束と共に「ね、まだ飽きていないでしょう? メアリーに飽きる日なんて来ないよ。一生、一緒にいようね」と、満面の笑みで毎年毎年、繰り返し言い続けてくれた。
エイベルの愛に包まれて、いつの間にか、メアリーは人も愛も信じられるようになっている自分に気がついた。
「ありがとうエイベル。ずっとずっと、貴方だけを愛しているわ」
長い月日が流れ、繋いだ二人の手がシワシワになっても、エイベルは愛おしいメアリーのお願いを叶え続けるのだった。
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