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心配

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その後の何日かは、更にうじうじと過ごした。
お父様に相談しようとして。
でももう取り返しのつかないところまで話が進んでいるのではと思うと、確認するのが怖くて。
結局、何も言えなくて…。


そんなある日、お父様が怪我をしていた。頬を青く腫らして唇の端が切れていた。

「お…お父様…?どうされたのですか…?」

動揺する私に、お父様は痛みに顔を顰めながらもニヤリと笑った。

「いやなに。あの若造が「婚約を解消したがったのは彼女の方だ。俺は結婚したかった」なんて抜かすもんだからちょっとな」

…何でちょっと得意気なんですか。

…若造って彼のことよね。
彼は…お父様にそう言ったのか…。
胸の辺りが重苦しい。

やはり、何か誤解があったのでは…。
けれど今さらどうやってそれを確認したらいいのか…。
黙り込む私に、お父様が優しく笑った。

「おまえは彼が好きなんだろう?」

思わずコクリと頷いてしまった。
じわりと涙が滲む。
今さら言っても仕方ないけれど。
でも…彼が好き……

「彼もおまえが好きなんだそうだ」

「え……」

お父様の顔を見つめる。
なんでそんなことをお父様が…

「おまえを振った腹いせに散々ボコボコにしてやって、「うちの娘はおまえのことが好きだったのに」って言ってやったら、それまで大人しく殴られてた癖に「俺だって彼女のことが大好きだった!」っていきなり殴り返してきたからな」

何やってるんですかお父様!

「なかなかいいパンチだった」

満足そうに頷かないでください!

「あの目は本気だった。拳で語り合った相手の言葉だからな。俺は信じるぞ」

なんでそんな青春小説みたいなことになってるんですか!!
あなたいくつですか!!!

ツッコミどころは山ほどあった。
でも…

「だからもう一度、ちゃんと話し合いなさい」

お父様の声は、あくまで優しい。
私を見つめる瞳も。
私のことを、とても心配してくれている顔。そんな顔をされて、言い返せる訳もない。

だから大人しく頷いた。

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