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お出かけ

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翌日、朝ごはんが済むと彼に呼ばれた。

「出かけるよ」

頷いて側に寄ると、引き寄せられて長い腕の中に包まれた。一瞬、視界が塞がれる。
青年が身体を離すと、そこはモコモコした毛皮の動物が点在する草原だった。遠くに時計塔が見える。
また、転移したようだった。

「行こう」

青年に手を繋がれて歩き出した。



町が近くなったところで、それまで無口だった青年が口を開いた。

「今日、早速君を利用する」

思わずビクリと身体が震えた。
今日…死ぬのだろうか
昨日、まだもうちょっとは彼と一緒にいられると思った所為で、心の準備ができていない。

あと、もうちょっとの間だけ、幸せでいたかった。

そんな我が儘が浮かんでしまう。

「怖いかい?」

コクリと頷いた。
死ぬのは怖い。

「逃げたいかい?」

これには首を横に振った。
彼から逃げて、周り中から嫌われながら生きるのなんて嫌だ。
それよりは、彼の役に立って死ぬ方がずっといい。
もうそう決めたのだ。

じっと彼を見上げると、彼は少し表情をやわらげた。

「ああ、今日は殺さないよ」

思わず肩から力が抜ける。

「利用し尽くしてから殺すって言っただろう?」

穏やかなその声は、とても酷いことを言っている筈なのに、何故か私を安心させた。

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