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第6章 魔王会議
第40話 強者の傲慢
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玉座の前で魔王達が固唾を飲み不安に胸を締め付けられながら主催者を待っていると大きな両扉の両サイドに二人の天使のような者達が並ぶ。
真っ白な翼をきらめかせ桃色の髪をした天使だ、顔立ちもとても整っており2人とも傾国の美女と言われても可笑しくないほどだ。
ほんとは鼻の下を伸ばし美女を眺めていたいところだが....。
その様な目で見れる魔王は一人として存在しなかった。
それは天使たちから放たれる強者としての覇気だ。
魔王達全員で戦いを挑んだとしても数秒程度も掛からないと思われた。
それ程圧倒的な強さを誇るのだ。
もしかしたら自分たちを襲撃した少女もただの従者で幹部クラスではないのかもしれない
だとしたらあまりにも過剰すぎる戦力だ。
今から出現する相手には逆らってはいけない獣魔王としての本能...いや...これは生命としての生存本能だろう。
死の恐怖を間近に感じ心臓が早鐘を打っている。
そして張り詰めた空気はより一層張り詰めることになる
「これより、我らが主【覇王:グレーステ・シュテルケ】様がお入りになられます」
2人の天使が触れることなく両扉は開かれる
そこからゆっくりと出てきた存在に魔王達は萎縮した
煌びやかな服装、炎の柄のコートは煉獄の様であり深紅の瞳はすべてを焼き尽くし飲み込もうとする。
銀髪のロングヘア―は歩くたびに靡いている。
覇王と言われた男の後ろを歩くのは一人の悪魔と三人の人間だった。
天使たちからは圧倒的な強者としての覇気を感じられたが悪魔以外の人間からは何も感じ取ることが出来なかった。
覇王と言われた男以外の人間からは微かな魔力は感じるがそれだけだった
注意深く人間達を観察していると先頭に立つ男が口を開いた。
「まずは...よく集まってくれたこの俺が【覇王:グレーステ・シュテルケ】だ・・・」
「待て!!」
覇王と名乗った男の挨拶を止めたのは【大鬼王:ワトゥセボ・ゼート】だった。
攻撃的な性格の大鬼族の王であり鬼の神と恐れられるほどの実力者だ最古参の魔王とも何度も戦を繰り返しており。
その実力は広く知れ渡っており【不死王:メトラ・ソネフティマ】のお墨付きである
その彼が人間に牙をむくのは必然であり敵対するのは目に見えていた。
「お前みたいな下等種である人間が覇王だと?戯言は程々にしろ!誇り高き魔王である俺たちが何故お前の様な下等種に...」
「口を慎め...」
怒りに身を任せる大鬼を宥めたのは最古参の魔王【不死王:メトラ】だった。
かつて見たこともないような殺気が大鬼であるゼートに向けられた。
「我が好敵手よ、お前でさえこの男に屈すると言うのか?お前だけは我と対等に戦える友だったが...残念だ...」
「口を慎めと言っているのだゼート、この方々より先に私がオマエヲ殺すぞ!!」
非常に冷静で濃厚な殺気がメトラからゼートに向けられる、その本気具合にゼートも少し気圧される。
ゼートは一度としてメトラに勝利したことはない幼い見た目をしているがメトラの実力は他の魔王よりもとびぬけている。
枯れる事の無い魔力に疲れぬ身体、本気で戦いを挑んでくるゼートを軽くあしらうメトラ。
激しい戦闘をしてもゼートの並外れた生命力で今まで生き抜いてきたのだ。
孤独であったメトラと唯一遊んだ生者は恐らくゼートしか居ないだろう。
メトラから向けられた殺気はそんな友に向けるものではなかった。
「お前からそんな殺気をぶつけられるとはな...だが我ら大鬼族は誇り高き種族....」
ペラペラと大鬼族の誇りを話すゼートの話など耳に入ってこなかった。
俺の耳に入ったのはメトラから小さく発せられた「大馬鹿者め...」の一言だった獣魔王としての優れた聴力でようやく聞き取れる程に小さな言葉だった。
その後に香ったのは涙の様な香りだった。
他の魔王では気付く事は出来ないだろうが獣魔王としての鋭敏な嗅覚が臭いを感知したのだ。
血の匂いも混じっていたが一体誰が...。
思考を巡らしていると後ろの天使が動きだしメトラの前で停止する。
先に言葉を発したのはメトラだった。
その言葉は他の魔王から見ても服従と思われるだろう
現に彼女は殺気を抑え今は平伏をしている。
「私の同僚が失礼しました、古参魔王の一人として私が罰を受けます、なんなりとお申し付けください」
そんな彼女に天使は妖艶な笑みを浮かべながら話しかける。
「口元が切れている様ですが私が治して差し上げましょうか?」
妖艶に見えた笑みは雰囲気の問題でその言葉から発せられた笑みは慈母の様な微笑みだった。
張り詰めた空気が一言で緩んだ気がしたのだ。
それほどに優しい微笑みだったのだ。
だが、それを看過できない人もいるようだ、それがもう一人の天使だった。
「ドミナミ!ご主人様の御前ですよ、いい加減少女を見ると甘やかすのやめなさい!」
「そうかもしれないけどこの子唇を怪我しちゃったのよ?かわいそうじゃない...」
「かわいそう...って...こいつらは魔王なんだからそれくらい自動で治るよ!!」
「おい...」
『は、はい!!』
2人の天使は男の呼びかけに即座に反応し体をびくつかせている
あれほど強者であってもあの男には逆らえないと言う事はあの男は本当に正真正銘の化け物だと言う事だ。
「俺ははしゃぐなと言ったはずだが」
『も、申し訳ありません!!』
「後ろのこいつらを見習ったらどう...」
そういい男が親指で後ろを差すので視線をそちらに移すとそこに居たはずの二人の人間は身を寄せ合い震えていた
「お前らは何をしている...」
呆れた様に言う男に聞かれようやく怯えていた人間2人はそれに答える
「あ、あの....この者...いやこの方々はいったいどなたなのでしょう?」
「名前なんぞ知らん...が魔王だ」
この男の強さからすると俺たちはきっと名前を覚える価値もないほどに矮小なのだろう。
そして男がメトラの前に立つ。
「少女よ名を何という」
「はい、私はメトラ・ソネフティマと申します」
「めめめめ。めと、めとら.....メトラ・ソネフティマ....最古の魔王の一人であり不死者を従えし魔王。
人間界でも広く知られています」
「なんだ、知ってるではないか、知ってるなら先に....」
「知ってますよ...最強で最悪の魔王と恐れられているくらいには...」
「最強?妙だな?おいヴェルどう言う事だ?オマエを覚えてる者はおらんのか?」
「誰がヴェルだ!!メトラよ私の事を覚えてはいないのか?」
「あなたは....まさか....」
悪魔の女が魔力を解放する、それは偽りの無き破壊の力、止めどなく溢れる魔力に俺と他の魔王達は萎縮してしまっている。
魔王と比べても圧倒的な魔力。
「これでも私を覚えていなか?」
「この魔力は!!!ですが以前の貴女様よりも段違いに!!」
「あぁ私は修羅の世界に行っていてな...こいつはその世界の覇王なんだ...まぁ色々と訳アリでな....」
女悪魔とメトラの会話がひと段落し覇王がその会話に乱入する。
「さて、それでお前は先ほど何を懇願した」
「はい、同僚の非礼は私が罰を受けます、なのであの者には何卒ご慈悲を...」
「メリットを感じないな、ドミナミ、ルノアールお前たちには罰を受けてもらう」
『はい...』
「お前たち二人で...名前は何と言ったかとりあえずそこの俺に無礼を働いた魔王の領土の兵を皆殺しにして来い」
は?嘘だろ?そんな声が魔王達から上がる。
緩んだ空気は一瞬にして引き締まる。
だが、天使の二人は問題ないかの様に淡々と返事をする。
「いや...皆殺し程度ではお前たちの罰にはならないか...よし...ならば―――
幹部の首だけはここに持ってこい制限時間は10秒だ」
「幹部とはどのあたりまでですか?」
「ふむ...どうやら六魔将という6人の幹部が居るようだ、首はその6つだけでいい」
あってはならないのだ...。
立った二人で一国の兵を皆殺しにするなどあってはならないのだ...
覇王の「行け!!」という合図で二人の天使はこの場を去ってしまった。
それと同時に俺は心の中でカウントを始めた。
10...
9...
8..
真っ白な翼をきらめかせ桃色の髪をした天使だ、顔立ちもとても整っており2人とも傾国の美女と言われても可笑しくないほどだ。
ほんとは鼻の下を伸ばし美女を眺めていたいところだが....。
その様な目で見れる魔王は一人として存在しなかった。
それは天使たちから放たれる強者としての覇気だ。
魔王達全員で戦いを挑んだとしても数秒程度も掛からないと思われた。
それ程圧倒的な強さを誇るのだ。
もしかしたら自分たちを襲撃した少女もただの従者で幹部クラスではないのかもしれない
だとしたらあまりにも過剰すぎる戦力だ。
今から出現する相手には逆らってはいけない獣魔王としての本能...いや...これは生命としての生存本能だろう。
死の恐怖を間近に感じ心臓が早鐘を打っている。
そして張り詰めた空気はより一層張り詰めることになる
「これより、我らが主【覇王:グレーステ・シュテルケ】様がお入りになられます」
2人の天使が触れることなく両扉は開かれる
そこからゆっくりと出てきた存在に魔王達は萎縮した
煌びやかな服装、炎の柄のコートは煉獄の様であり深紅の瞳はすべてを焼き尽くし飲み込もうとする。
銀髪のロングヘア―は歩くたびに靡いている。
覇王と言われた男の後ろを歩くのは一人の悪魔と三人の人間だった。
天使たちからは圧倒的な強者としての覇気を感じられたが悪魔以外の人間からは何も感じ取ることが出来なかった。
覇王と言われた男以外の人間からは微かな魔力は感じるがそれだけだった
注意深く人間達を観察していると先頭に立つ男が口を開いた。
「まずは...よく集まってくれたこの俺が【覇王:グレーステ・シュテルケ】だ・・・」
「待て!!」
覇王と名乗った男の挨拶を止めたのは【大鬼王:ワトゥセボ・ゼート】だった。
攻撃的な性格の大鬼族の王であり鬼の神と恐れられるほどの実力者だ最古参の魔王とも何度も戦を繰り返しており。
その実力は広く知れ渡っており【不死王:メトラ・ソネフティマ】のお墨付きである
その彼が人間に牙をむくのは必然であり敵対するのは目に見えていた。
「お前みたいな下等種である人間が覇王だと?戯言は程々にしろ!誇り高き魔王である俺たちが何故お前の様な下等種に...」
「口を慎め...」
怒りに身を任せる大鬼を宥めたのは最古参の魔王【不死王:メトラ】だった。
かつて見たこともないような殺気が大鬼であるゼートに向けられた。
「我が好敵手よ、お前でさえこの男に屈すると言うのか?お前だけは我と対等に戦える友だったが...残念だ...」
「口を慎めと言っているのだゼート、この方々より先に私がオマエヲ殺すぞ!!」
非常に冷静で濃厚な殺気がメトラからゼートに向けられる、その本気具合にゼートも少し気圧される。
ゼートは一度としてメトラに勝利したことはない幼い見た目をしているがメトラの実力は他の魔王よりもとびぬけている。
枯れる事の無い魔力に疲れぬ身体、本気で戦いを挑んでくるゼートを軽くあしらうメトラ。
激しい戦闘をしてもゼートの並外れた生命力で今まで生き抜いてきたのだ。
孤独であったメトラと唯一遊んだ生者は恐らくゼートしか居ないだろう。
メトラから向けられた殺気はそんな友に向けるものではなかった。
「お前からそんな殺気をぶつけられるとはな...だが我ら大鬼族は誇り高き種族....」
ペラペラと大鬼族の誇りを話すゼートの話など耳に入ってこなかった。
俺の耳に入ったのはメトラから小さく発せられた「大馬鹿者め...」の一言だった獣魔王としての優れた聴力でようやく聞き取れる程に小さな言葉だった。
その後に香ったのは涙の様な香りだった。
他の魔王では気付く事は出来ないだろうが獣魔王としての鋭敏な嗅覚が臭いを感知したのだ。
血の匂いも混じっていたが一体誰が...。
思考を巡らしていると後ろの天使が動きだしメトラの前で停止する。
先に言葉を発したのはメトラだった。
その言葉は他の魔王から見ても服従と思われるだろう
現に彼女は殺気を抑え今は平伏をしている。
「私の同僚が失礼しました、古参魔王の一人として私が罰を受けます、なんなりとお申し付けください」
そんな彼女に天使は妖艶な笑みを浮かべながら話しかける。
「口元が切れている様ですが私が治して差し上げましょうか?」
妖艶に見えた笑みは雰囲気の問題でその言葉から発せられた笑みは慈母の様な微笑みだった。
張り詰めた空気が一言で緩んだ気がしたのだ。
それほどに優しい微笑みだったのだ。
だが、それを看過できない人もいるようだ、それがもう一人の天使だった。
「ドミナミ!ご主人様の御前ですよ、いい加減少女を見ると甘やかすのやめなさい!」
「そうかもしれないけどこの子唇を怪我しちゃったのよ?かわいそうじゃない...」
「かわいそう...って...こいつらは魔王なんだからそれくらい自動で治るよ!!」
「おい...」
『は、はい!!』
2人の天使は男の呼びかけに即座に反応し体をびくつかせている
あれほど強者であってもあの男には逆らえないと言う事はあの男は本当に正真正銘の化け物だと言う事だ。
「俺ははしゃぐなと言ったはずだが」
『も、申し訳ありません!!』
「後ろのこいつらを見習ったらどう...」
そういい男が親指で後ろを差すので視線をそちらに移すとそこに居たはずの二人の人間は身を寄せ合い震えていた
「お前らは何をしている...」
呆れた様に言う男に聞かれようやく怯えていた人間2人はそれに答える
「あ、あの....この者...いやこの方々はいったいどなたなのでしょう?」
「名前なんぞ知らん...が魔王だ」
この男の強さからすると俺たちはきっと名前を覚える価値もないほどに矮小なのだろう。
そして男がメトラの前に立つ。
「少女よ名を何という」
「はい、私はメトラ・ソネフティマと申します」
「めめめめ。めと、めとら.....メトラ・ソネフティマ....最古の魔王の一人であり不死者を従えし魔王。
人間界でも広く知られています」
「なんだ、知ってるではないか、知ってるなら先に....」
「知ってますよ...最強で最悪の魔王と恐れられているくらいには...」
「最強?妙だな?おいヴェルどう言う事だ?オマエを覚えてる者はおらんのか?」
「誰がヴェルだ!!メトラよ私の事を覚えてはいないのか?」
「あなたは....まさか....」
悪魔の女が魔力を解放する、それは偽りの無き破壊の力、止めどなく溢れる魔力に俺と他の魔王達は萎縮してしまっている。
魔王と比べても圧倒的な魔力。
「これでも私を覚えていなか?」
「この魔力は!!!ですが以前の貴女様よりも段違いに!!」
「あぁ私は修羅の世界に行っていてな...こいつはその世界の覇王なんだ...まぁ色々と訳アリでな....」
女悪魔とメトラの会話がひと段落し覇王がその会話に乱入する。
「さて、それでお前は先ほど何を懇願した」
「はい、同僚の非礼は私が罰を受けます、なのであの者には何卒ご慈悲を...」
「メリットを感じないな、ドミナミ、ルノアールお前たちには罰を受けてもらう」
『はい...』
「お前たち二人で...名前は何と言ったかとりあえずそこの俺に無礼を働いた魔王の領土の兵を皆殺しにして来い」
は?嘘だろ?そんな声が魔王達から上がる。
緩んだ空気は一瞬にして引き締まる。
だが、天使の二人は問題ないかの様に淡々と返事をする。
「いや...皆殺し程度ではお前たちの罰にはならないか...よし...ならば―――
幹部の首だけはここに持ってこい制限時間は10秒だ」
「幹部とはどのあたりまでですか?」
「ふむ...どうやら六魔将という6人の幹部が居るようだ、首はその6つだけでいい」
あってはならないのだ...。
立った二人で一国の兵を皆殺しにするなどあってはならないのだ...
覇王の「行け!!」という合図で二人の天使はこの場を去ってしまった。
それと同時に俺は心の中でカウントを始めた。
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