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第5章 厄災と救世

第37話 暗躍

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ゼルセラと超魔王が壮絶な戦いを繰り広げている時グレースの人工知能であるシーラはとある場所に来ていた
この世界の中ではそれなりに魔素が濃密な場所だ
修羅の世界からしたら大した事は無いが、こちらの世界の住人にとっては立ち入るのさえ拒まれるほどの濃密な魔素領域

傍から見たら自分はどのように映るのだろうか、そんなことを考えながらシーラは城内を優雅に歩く
城内には煌びやかな装飾がなされており、ここの家主の芸術性の高さが伺える
その割に警備が手薄だ、なんて思うのは酷だろうか...

手薄なのには理由がちゃんとあり警備の者はすべて意識を失っているのだ
少々面倒だったので城に入る前に城主とその側近以外は眠ってもらっている

やがて大きな扉が見えてくる、この先は玉座のような応接室になっており、魔力感知にてこの先に目的の人物とその側近が居るのは既に把握済みだ
扉を開くとそこの城主が睨みつけてくる


「部下たちと連絡が取れずどれほどの脅威かと思えば....
只の少女だったとは...拍子抜けもいいとこだ...」

玉座に肘をつきながら男は言う、とてもつまらなそうに
だが、副官は異変に気付いたのか座っている男に苦言を呈する

「ですが王よ...部下達と連絡が未だに取れていないのは恐らくこの娘が原因かと思われます」

王と呼ばれた男はため息をつくと部下たちに指示を出した―――捕えよ、と




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




玉座に座りながら男は思う、期待外れだった...と

ほんの少し前、突然部下たちと連絡が取れなくなったのだ
転移もできず念話も通じないそして極めつけは城に張られた結界だろう次元を隔絶する結界だ、ある種逃げ道を塞がれたのだ

200年程だろうか、久々に追い詰められたのだ、これを期待しないでどうしろとゆうのだろう
この200年愚かにもここに攻めてきた勇者は誰一人として存在しない
それも、こちらの逃げ道を完全に防ぐなんて考えもしなかったのだ
見張りからの報告も一切なく魔力感知にも反応せず、城は無力化された

だが、ふたを開けてみれば、よわい16歳程度の小娘だった、も感じはしない
さっきまでの気の高まりをどうしろとゆうのだ...
この程度ならば副官もしくは自分直轄の部下だけでもなんとかなりそうだった

興が冷めた...だからこそ直轄の警備兵に指示を出し捕縛するように命じたのだ


―――だが今となっては...


捕縛に動いた警備兵6人は即座に地面に伏したのだ


―――は?何が起きた?

目で追う事すらできなかったのだ、何らかの洗脳を用いて警備兵を操り地面に伏したのではなく、何者かに頭を地面に叩きつけられたのだ
即座に副官が自分の前に立ち盾を構える
信頼している副官だ、強さ的には自分の次くらいだろうか、だが、その副官も他の魔王達と同等程の強さを誇っているはずだ
この場に居た警備兵達だってこの国の最高幹部たちだ、だが...この結果だ。
断言できる、この娘は生半可な強さではないと。
だからこそ王として名を名乗る

「我は十代魔王が1人【獣魔王:ネカヴァン・デルナ】である、獣魔王の力甘く見るでないぞ!」

獣魔王デルナ、獣人族の王として魔王をしている、獣王の名に恥じぬようにこの獣王国ヒドサアードで最強の戦士だ



だがそれも今となっては...最強なんて夢の様に感じていた
自分は自惚れていたのだ自分が最強だと信じて疑わなかった、その自信は1秒も掛からずに地に落ちることになった

回避は愚か反応することさえ出来なかったのだ認識することさえ出来ないうちに何かをされ自分の体はボロボロになりHPは既に1しかない
超回復や自動回復も発動しない、副官も同じだ、一瞬で体力をすべて持っていかれた


こんな事なら...いくつも後悔が浮かんだ、この200年の間ほとんど成長はしていない、レベルは既に150に達している
確実に他の魔王達よりも頭一つでているはずだった、そして次の少女の言葉に戦慄することになる

「これで10人目ですね」

この言葉から察するにこの娘は10代魔王をすべて倒してきたのだろう、恐ろしい相手を敵にしてしまったものだ
内心で自分の不甲斐無さを笑う
そして娘は目的を話す、ほぼ命令の様だった

そして魔王デルナはこの先の未来を案じた、この娘が仕えると言う存在、

―――覇王、いったい魔王達を全員集めていったい何をするのだろうか
要件だけを伝えると娘はすぐに転移してしまった
そして即座に行動に移す

「3時間後に魔王会議を行う、必ず全員集合だ、以上」

魔王達に念話で指示を出す、他の魔王達から反論はない、みんなも娘の襲撃に合ったのだろう
あの力を見せつけられれば反抗なんてする気にならないだろう


デルナは大きくため息をついた、この先に待つ不安、全員を集めてまとめて殺されるなんてありそうで怖い
相手は―――人間なのだから...

副官と見つめ合い互いに溜息をつく。

「王よ...あの娘の強さどう思いましたか...」

どうもこうもない...あんなのは人知を超えている、長き時を生きてきたがあんな化け物に会ったことなど一度たりとも無い
聞いたことすらないのだ、ましてや勇者でもない人間が素手で魔王にダメージを与えるなんてあっていいはずがない
 だからこそ副官には思ったことを素直に伝える、ほんとは策はまだあるとか配下に自信を持たせたり士気を上げたりしなければならないのだ
だが、この場の自分と副官以外は意識を保っていない、だから虚勢を張る必要もないのだ


「この世界の歴史上類を見ないほどの危機を、我々は迎えるのかもしれん、受け入れるしかないだろうよ...」

「あれほどの強さを誇る存在が誰かに仕えて居るなんて考えられません...ましてや...」

副官はその言葉を飲み込む、だが、副官が言おうとしたことはなんとなく理解できたのだ

「我ら10代魔王を全員招集と言う事は、勝てるのだろうな...だが....いや、あの方たちでも対処できる可能性は低いだろう...」

溜息ばかりが出るが、底知れぬ不安と恐怖に怯えながら魔王会議への支度を始めるのだった



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



気絶させてしまった皆を各々の部屋のベッドに届けた後超魔王を客室のベッドに寝かせた
さて、こいつをどうしたものか...ちょっとくらいいたずらしてもいい...よね?

お灸をすえる意味でやったと言えばきっと周りのみんなも理解してくれるだろう

さて、たしか、こいつは何段階か進化するんだったよな...よし....

それから15分程が経過しただろうか、大体の改造は完了した

俺が何をしたかというと―――


進化する際に肉体の成長もさせる様にしたのだ、よって進化前の現在は12歳程度の少女の様な見た目に変化している
そして進化すると能力のパワーアップに加えて肉体の年齢を成長させることが出来る様にしたのだ
改造前は既に成人しましたって見た目だったし色っぽさはあったものの俺の好みでは無かった
だからこその若返りである
しかも進化は俺の思うままだ、今までの様に体力が一定値削れたらなどのめんどくさい制限は一切ない
俺が全力でと言ったら即座に最終形態に変化させることが出来る
その逆を言えば、どんなに体力が減ったとしても、俺の許可が無いと進化することが出来ない点だろう


「フフ、フハハハハハ、そう簡単には進化できぬと知るがいい」

高笑いをしていると横に何者かが転移してくるのを感じた、シーラだ、

「ただいま戻りました」

「あぁ、いったいどこに行っていたんだ?」

「大したことは無いのですが、10代魔王をシメてきました、今日の夜に魔王会議が開かれるので、お兄様にはぜひとも出席してもらいたいのですが」

「また会議か...ん?」

魔王達をシメてきた?何を言ってるのだ?俺に確認も取らずに何をやってるの...というか...ずるい...

「そうか...できれば魔王達はフリューゲル達の餌にしたかったのだが...]


そのことに関してはなんの問題もありません、などと言うのだ...わかってはいる...だってほんとは羨ましかっただけだもん

その後シーラが何故魔王達をシメて来たのかを聞いていると超魔王が目を覚ましたのだった
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