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第4章 孤児院の少女

第26話 デスゲーム

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死のゲームデスゲーム』という名の大富豪が始まる

この死のゲームの参加者はグレース、シーラ、キーラ、勇者の娘のユウカ、とエミール
10回勝負で最後の順位で勝敗を決する
大富豪と富豪になった者は自分より下の順位の人1人に命令を下せる
平民だけは命令もできないし、されることもない


死のゲームとは名ばかりの遊戯大会が始まった

―――初戦、大富豪はシーラ、富豪はグレース、平民はキーラ、貧民はユウカ、大貧民はもちろんエミール
 正直、大富豪はグレースの得意分野だ、それでも、シーラには遠く及ばない、俺とシーラは元は一人なので視覚を共有できるのだが、こちら側からだけ一方的に視界を遮断されている
実質、俺の手札はシーラにバレている、だが、それでもユウカにだけ負けなければいい話だ、エミールはまだ覚えたばかりなので脅威にもならない

―――二戦、三戦、勝負はほとんど真ん中の三人が入れ替わるだけで特に変わることは無かった

―――9回戦目、グレースが富豪、キーラが平民、ユウカが貧民、で最終戦に持ち越すことになった

グレースは富豪なのでユウカから強いカードを一枚もらえる、貰ったのはハートの1、手札を見れば1は四枚あるので革命ができる

それに手札が強い...これならあの、無敗のシーラにだって勝てるのではないだろうか、シーラの顔を覗いてみるとかなり苦しそうな表情をしている

(フッ...すべてはこの瞬間の為に合ったようなもの、言わせてもらおう、『勝った』と)

序盤から中盤にかけて革命が起こるとは悟らせないようにまばらに強いカードを出していった

そして―――大詰め...俺のカードは5が一枚8が二枚、1が4枚....

どこかのタイミングで8を出し『8切り』が行えれば自然と勝利は見えてくる
ただ、一つ問題がある、もし仮に1で革命をして2の革命で返された場合...嫌な想像が頭をよぎる
ジョーカーをシーラが二枚持っていた場合返されてしまうかもしれない...
だが、さっきの表情から...それはないだろう、フフッ...
それにシーラが返してきた場合、シーラ自体もかなり不味いことになるだろう
シーラは俺の革命を気にしてか、強いカードを序盤からだしていた、ただ2だけは今まで一枚も出していない...

やはり四枚持っているのだろう

俺のターンが回ってくる直前エミールが7を二枚、場に出す―――ここだ!!


8を二枚、場に出し『8切り』


「これでチェックメイトだ!『革命‼‼‼』」

かっこよさげに1を四枚、場に叩きつける、決まった


「甘いわねグレース!あんたの野望はここで潰えるのよ!!」


エミールがハートの2を1枚親指と人差し指でつまみ見せびらかすそして全員の視線が集まったことを確認した後、二本の指をずらす

―――そこには、ハートの2ダイヤの2、スペードの2、クローバーの2が現れた...負けだ...これを返された以上...俺に残っているのは...ダイヤの5

場のカードはエミールの『革命返し』で切られた、正直言って俺に勝ち目はない...もう一度誰かが革命でもしない限りは...


「は、初めて勝つわ、私...私ついにやったのね...」エミールは目から涙を流していた。

最後くらいいいか...そうだな、それも悪くない...どちらにしろ俺の望みは果たされる
このゲームでユウカともそれなりに仲良くなれたと思うし、ユウカの人となりはわかったつもりだ
キーラも仲良くなれるだろう

「じゃあ、最後に...私の勝ちね!」エミールが出したのはハートの11だった


―――ん?



正直今の現象が理解できていなかった、まだ勝機はあったのだ、エミールには負けたが...富豪でも勝ちは勝ち...


「ありがとうエミール...」俺は優しく伝えダイヤの5を出した―――

『イレブンバック』感謝するよエミール

「俺も上がりだ!」


その後は、ジョーカーを二枚持っていたシーラが最初に上がり、その後にキーラが上がった、大貧民はユウカに決定だ


「私が負けるなんて...」



エミールは慰めるかのようにそっとユウカの肩に手を置く、だが、エミールの顔にはうれしさがいまだに残っており、何とも言えないむかつく表情をしていた
ひとまず―――


「おめでとう、エミール、まさか、大貧民が2を四枚持っているとは思わなかったぞ」

「実はジョーカーも二枚あったんだよね~交換しちゃったけど」

「今回に関しては素直に関心するしかありませんね」シーラも実力を認めているようだ


トランプの女神は最後にエミールに微笑んでしまった、―――憐れみかもしれないが、ほぼ負け続けてたしな...


「さてと...まずは、エミール誰に何を命令するんだ?」


二ヒッ!っという効果音がぴったりだろうか、もしくは実際に言っていたのだろうかという表情をエミールが浮かべる


「そりゃ...グレースあんたに決まってるでしょ」

「まぁ...そうなるわな...」


抑えたくても抑えられない溜め息を吐き出す


「明日一日私に従いなさい、行きたい所があるの」


そう来たか...これで、一度きりの命令が明日一日中になってしまった訳だ


「なら、次は俺が命令するばんだな、ユウカ―――これから、俺の妹たちと友達になってやってくれ」


場が静寂に支配される、真剣な表情をしていたユウカも、惚けた顔をしている


「え?そんなことでいいんです...か?」

「重要なことだ、ユウカも経験したことがあるだろう、強い力というのは孤立しやすい、そんな思いをこの子達にさせたくない、そんな俺のわがままだ」

「兄様...」



強大な力を持つと人は集まるのかもしれない、ただそれは下心があり、友情とは言えない、学校生活は共に笑い合える友がいないと寂しいものになてしまう
妹たちの初めての学校くらいは、楽しいものにしてやりたい

精神誠意頭をさげてお願いをする、周囲がひどく動揺している


「兄様!頭を上げてください!」


キーラが困惑した表情を浮かべているがこれだけは妥協できない


「頭をお上げください、グレースさん、その願いをお受けすることはできません」


ユウカが真剣な表情で言う、両親相手にやりすぎたか...残念だ


「私は既に二人と友達だと思えています、私自身も学院で孤立している経験があるので、グレースさんの気持ちすごくわかるんです、それに私のお父さんは魔王と手を組んだ異端者ですから...」

「魔王と組んだだけで異端者か...魔族にも人族にも被害を拡大させずに終わらせたんだ、真の勇者な気もするがな、世界とは残酷なものだ」

「はい...それに、お父さんは私のせいで力を失いました、そのせいで、街の人達からの風当たりが強いんです」

「勇者が力をなくした今、魔王との協定が崩れ襲撃されるかもしれないからな」

「厚かましい願いかもしれませんが、貴方ならできるかもと思ったのでお願いします...お父さんに私の力を返してあげてください...お願いします」



今度はユウカが頭を下げる、この子はほんとにいい子だ、妹達と友達になってくれて本当によかった
だが、ユウカの願いは叶えることはできない、君の力を父に返すと言う事は、だけどね



「すまないが、それは出来ない、妹の友達の願いでもな」

「そうでしたか...失礼を謝罪し―――」

「ユウカの力を返すって事はね、安心しろ、父親はすでに全盛期の力を取り戻している、それに、弱った勇者と戦っても楽しくもなんともないからな」

「ほんとですか?!お父さんの勇者としての力が戻るなんて、夢みたい...」

「もうじき、母親と共にこの玉座の間に到着するだろう」

「この城は大丈夫なの!?お父さんは歴代最強といわれるくらい強くて...」

「ん?ユウカはこの世界ではかなり強い方に分類されるのだろう?それなのに相手との力の差もわからないのか?」


普通に考えて勇者の力を継ぐんだったら、それ位の能力は持ってるはずだ―――もしかして


「今は見えてないのか?」

「はい...グレースさん達と会ってから何も...」


あぁそうゆうことか、俺の力が強すぎて周りの戦闘力が見えてないのか
なら、一時的にでも感知できなくさせるか、

そして自分の戦闘力が相手に探知出来なくなるスキルを使う、『探知阻害』
スキルを発動させた瞬間、ユウカの視線はキーラの方に向かった、いやキーラではなくその後ろのオーラだろう


「なんていう禍々しいオーラ、こんなの...」


畏怖という表現が正しいだろうか、キーラの恐れは謙虚に顔に現れている


「ようやく理解できたか?この城は魔王城なんかより遥かに危険だと言う事に」

「お、お父さんにこんな難易度の城落とせるわけがない!!絶対に無理よ!」

席から立ち上がり明らかに動揺している

「安心しろ、戦いながら、進んでい来ているわけじゃない、ただ、案内されてながらここまで自分の足で進んでいるに過ぎん」

「こんな...大魔王なんて比じゃ無い、この城を進むのは酷だよ...」

「娘のためなら父はなんとやら、というしな、それに、今頃、敵の強さが感知できるようになって、怖気づいている頃合いか?」





―――ミーシャ達を修行に送り出してから三時間がちょうど経過しようとしていた、―――指定通りにシザースから『念話』が届く


「覇王様、完了いたしました、それと、一つ早急にお伝えしたい事が」

「あぁ玉座の間に居る、二人を連れてこれるか?」

「はい、了解いたしました」


少しすると、二人と一匹が転移してきた
一人は仙人のような見た目をしている老人
もう一人は綺麗なブロンドの髪を靡かせる碧眼の少女、そうミーシャだ、身長も伸びており、美しささえある、それに肉体の成長も著しい
もう一匹は小さな青色のドラゴンだ、恐らく、サイズを変えているのだろう

「お帰りミーシャ」

優しく微笑むとミーシャは走り出し俺に抱き着いて来た、ほのかに香るイチゴの様な甘い香り、抱き付かれながら見上げあれると破壊力が凄まじい


―――やはり俺の、見る目は間違っていなかった、―――磨けば光るダイヤの原石...いや、それ以上になってくれた
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