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第2章 過去

第14話 追憶

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グレースは時間を停止させた位置まで戻り時間停止を解除した、
時間が再び動き出した時一番最初に目に映りこんだのは妹キーラの泣き顔だった。


「そんなに泣くな、ようやく会えたじゃないか」

「兄様も姉様も泣いてるじゃん...」

「10年になりますか....大きくなりましたねキーラ...」

「姉様をとってもお美しいです、それに兄様もとってもかっこよくて...」


まじまじと目を見ながら言われると流石に恥ずかしくなってくる、そんな事より何か罪滅ぼしをしたくなった、10年、例え偽りの10年だったとしても幼少期に10年一人と言うのは精神的にも肉体的にも大きな影響を及ぼす、返せるとは思ってないけどそれでも何かを妹にプレゼントしたい、そう思うのは俺のわがままだろうか。


「何か欲しい物とかあるか?なんでもいいぞ」

「急にどうしたの?ほしいものなんてすぐには思いつかないよ...」


ふとキーラが周りを見渡すと伏せているドラゴンと目が合い数秒間見つめあった。
じっと見つめられとても動揺しているのかドラゴンは首を横に勢いよくブンブンと振った
そして怪しく微笑み目を輝かせた


「ねぇ兄様、このドラゴンさんはどうするの?」

「どうもしないさ、大切な配下の孫だからな」


そっと覇王の威光オーバーロードを解除してジースを自由にしてあげる



「ねぇ兄様私この子とお友達になりたい。」


「友達か?ペットではなく?」


あの微笑みからしててっきりペットにしたいのかと思っていたが....自分の妹ながらいい子じゃないか...


「うん、友達、私、兄様と姉様しか知らない...友達誰もいない...だから友達が欲しい」


この子はほんとにいい子だ本当に自分の妹なのかと疑いたくなるくらいにいい子だ。


「キーラならそう言ってくれると思ったよ」

「ならいいの?!」

「当然だよ、シザース提案があるんだが聞くか?」

「はい、私の方からも喜んでお受けします」

「ん?本当に聞かなくていいのか?」

「はい、何を考えているかは察しています」


ほう?俺の考えを察したのかならば一つ試すとしよう


「そうか....なら早速行くか!」

「えっと覇王様どちらに?」

「なんだ察してないじゃないか」

「素直に聞いたらどうだ?」

「申し訳ありません、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「ああ、お前たちもこれから現世で暮らさないか?」

「現世ですか...私は大丈夫だと思いますが、まだ孫には力の制御ができないかと...」

「じい様私でもそれくらいできます‼」

「ジースはあぁ言ってるがどうする?」

「ですが...」

「孫を信じてやれ、最初からできなくても後々できるようになればいいんだからな」

「かしこまりました。ジース共々お世話になります」

「おお!それじゃあジースこれからはキーラと仲良くしてってくれ」

「はい覇王様‼」

「ありがとう兄様私初めての友達ができた!」

満面の笑みで報告してくるキーラ...かわいい...ただ大切なことも教えてあげなきゃいけない。

「キーラ友達なったとは言え今はまだ形だけの友情に過ぎないぞ、もっとお互いを知って仲良くなるんだぞ」

「はい!兄様私もっともっと仲良くなる!」

「それでは覇王様私どもも支度があります故少々お待ちいただきたいのですが」

「あぁ構わない、俺たちも少し用があるからな、また連絡させてもらう」

「はい、ではまた後ほど...」

二匹の龍は翼を大きく羽ばたかせ空へ飛び立つ、その背中を何も言わずに見てるキーラを横目で見つけた

「バイバイしなくていいのか?」

こっそり耳打ちした後背中をそっと押してあげた


「またあとでねーーーちゃーーん」


おおきな声を出して手を振るキーラ、それあだ名でいいの?!って思いはぐっとこらえる


「よかったなキーラ」

「今日は本当に最高の一日だった、兄様にも姉様にも会えた‼ほんとに今日は最強に最高な一日だった‼」

「今日はまだ終わってないぞ」


一方そのころのシザースとジースはというと

「じい様私の愛称がと似てるんですが...」

「いいじゃないか...お前にとっても初めての友達なんじゃから、返事は返してやらんのか?」


ジースは炎のブレスを口に溜めて空に勢いよく吐き出した


「粋な真似をするのぉ...ジース、それは照れ隠しかのぉ」


「・・・・」





夜空に吹きあがった炎が消える頃には二匹の龍の姿は見えなくなっていた。

「ねぇ見た‼兄様‼姉様‼きれいなハートマーク」

あぁ綺麗だったな、きっとジースも喜んでいるんだろう」

「結構粋な真似をするものですねお兄様」

「これから二人の成長が楽しみだな」

少しの間、夜空を見ながら干渉に浸っていた三人を少し後ろからそっと眺めていただけのエミールは少しさみしげだった

「お兄様、これからどういたしますか?」

「フレイヤ達には配下を連れてくるように言ってあるから少し待たなければな...」

「じゃあどうするの?」

「そうだな実家...いや我が家に一度戻ろうか」

「お兄様は配下としてあの種族を連れていくお考えですか?」

「そうだ、配下として連れてくならあの子達以外なかろう?きっと首を長くして待っているぞ?」

「そうですね、では帰りますか」」

「兄様、我が家っていったいどこなの?」

「そうだな10年前はあそこには住んでいなかったからな」

グレースはそっと指を差す、その指の方角には大きな城がそびえたっていた、人間の王城というよりは魔王城と言う方が正しいだろう。


「あれが、覇王城だ」


俺の城とても大きな城で宙に少し浮かせている、維持には膨大な魔力を必要とするが些細な事でしかないのだ、神話の時代の建造物など遥かに超越し怪しい音色が聞こえる、パイプオルガンの音だが...あれは誰が弾いているのだろう...ゼルセラに命令した手前自分で聞くこともできないしな...

「ねぇ兄様!!早く行きましょ!!」


瞳をキラキラと輝かせ俺の手を引く、そんな可愛らしい妹に「待て」と言うのはとても俺の良心にくる
だからこそ、俺は手を引かれるがまま覇王城に歩みを進めた
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