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第2章 過去

第13話 妹と仮初の記憶

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左が妹のキーラ・シュテルケです



少しすると青いドラゴンが姿を現した、そのドラゴンは大海を彷彿とさせる鱗を全身に宿している
シザースの話ではあれは孫のジースとの事、攻撃するわけにもいかないよな...

「ふむ、どうしてくれようか....傷つけるわけにも行かないからな」

「力の差をわからせてもらえますか?あの子の回りには自分より強い存在がいなくて少し世間を知らないといいますか....」

「なるほど....要は....わからせてやればいいのだろう?」


 こっそりと合流したエミィ達を横目に服を風になびかせながらジースの正面に出る


「さぁ、かかってこいしっかりと手加減してやる」


「人間風情が調子にのるなぁぁぁぁぁ‼‼」



 ジースが大きく口を開き炎のブレスを放ってくる、そのブレスはグレースに直撃し炎はグレースのいたところを軸に二手に分かれていた



「まぁ龍種の中では強いほうなのかも知れんが世界が広いことを教えてやろう」



 グレースは『覇王の威光オーバーロード』を発動させる



「体が....」


 ジースが地面と激しく衝突した。


 地面に落ちてきたジースは伏せの姿勢になり顎を地面につけていた



「体が...どうして...」


「言葉と目だけは使えるようにしておいたぞ、さてお互いの実力差がわかって貰えたかな?」


「クソ...お前は一体何者なんだ龍種を相手に....とても人間とは思えん...お前はいったい...」


「なんだ?シザースに教えて貰わなかったのか?龍王なら俺の事くらいは知っておいた方がいいと思うがな」


「ジースよ、教えたはずじゃぞ、この世界には敵に回してはいけない相手がいると...」


「じい様もしかしてあれは本当の話だったのですか?」


「なんだ、俺の存在はお伽話だとでも思ったのか?」


「当たり前だあんなに強かったじい様が手も足も出なかったなんて、信じられるか‼それに立派な龍にならないといつか覇王に消されるといつも寝物語に聞かされていた...あの話は全部真実だったのか?」


「どんな話をされたかは知らないがきっと真実だぞ」


「ならホントに童t...ウグッ‼」


 口が開いていたジースの頭を地面に叩きつける、危ない危ない、妙な事を言うものだ...覇王が童貞なんて....


うがぁぁぁぁぁ‼‼そうだよ俺は童貞だよ‼



富も名声も力も欲しいままだそれに女だって‼


周りにかわいい子はたくさんいる...でも...でも...勇気が出ないんだよ、魔王を相手にするより断然ハードルが高い!


 脳内でひと暴れしたあと冷静にシザースを睨みつける、ッヒ‼っという声が聞こえたがあえて無視して完全に話題を変えようとする。



「そろそろ出てきたらどうだ、キーラ」



 シーラ以外が驚いたように辺りを見渡す、木陰から現れたのは15歳くらいの見た目をした銀髪赤目のゴスロリ少女だった。

「兄様...姉様」

 妹の可愛さに胸が高鳴り思わず固唾を飲む、キーラが走り出そうとした瞬間、一瞬キーラを見失ったような気がした油断していたとは言え...

一瞬で距離を詰めて抱き付く、

正直、にやにやしてしまいそうだが、離れ離れだった家族の再会だ、そんな事は無粋だろう

「キーラ一体どこで何をしてたんだ?」

「わからない...気が付いたら野原に居て...兄様と姉様の魔力を辿ってここまで来たの...」


 キーラは人生の途中から転生したのかも知れない、きっとロキが考えての事だと思うが妹らしい歳で転生させたようだだがそれだと幼少期の記憶のつじつまが合わなくなるきっといつかはボロが出てしまうだろう、
だからこそ何をしていたか確認をした結果予想通り何も記憶がない状態だった。

 シーラと相談するために時間を停止させる



「さてどうしたものか...」

「過去の記憶がないというのは厄介ですね」

「偽りではあるが俺たちとの幼少期時代の記憶を刷り込むしかないか?」

「確かにそれなら、10年間行方知れずだったという話も辻褄が合うかもしれません」

「だがどうする、どんな内容の過去を刷り込むか...シーラなら妹がいたらどんなことをしたい?」

「幼少期ですよね...剣の稽古とか魔法の勉強とかでしょうか...あとは遊んだり家族で過ごしたりとか」

「家族か...俺の両親はこの世界には居ない....両親はキーラが生まれる前に死んだことにしよう」

「よろしいのですか?記憶の中ではありますが、前に居た世界には両親がいたはずですが」

「あぁ構わない、それに見た目がにても似つかないからな時々思い出話として俺の本当の両親の話をしてやろう」

「なら両親の記憶は刷り込まない方がいいですね、生まれる前に両親が死んだとすると...兄妹三人で平凡に暮らしていたという筋書きでどうでしょうか?」

「あぁ細かい設定は任せる、だがどうする俺には記憶がないからいつかボロが出てしまうかも知れん」

「それなら、私たち自身にも同じ記憶を植え付ければいいのではないでしょうか」

「確かにそれならボロはでないか、10年前に突然と姿を消した妹...,中々泣けるじゃないか」

「はい...私たちにも記憶を刷り込む以上私たちの感情にも変化があるかもしれません、刷り込み直後は油断しないでくださいね」

「あぁ、じゃあ早速頼めるか」

「はい、少々時間が掛かるかも知れません」

「大丈夫だ、どれくらい掛かるかわるか?」

「恐らく三秒程...」

「早ッ!そんなに急がなくてもいいが」

「私は、最高レベルの人工知能です、これでも頭の回転は速いほうだと自負していたのですが」

「三人分の過去の記憶を作るんだ普通出来る事じゃない、それを3秒でこなすんだから、シーラは最高の妹であり最強の相棒だよ」

「ありがとうございます...お兄様...」

「お兄様は少し照れるな...」

「ならこれまで通りマスターでよろしいですか?」

「ふふっいや、これからはシーラとキーラの兄として生きるんだ、と呼んでくれ」

 シーラがキーラとグレースの額に手を当てて3秒ほどが経過した

「お兄様、終わりましたよ」

「あぁ、流れ込んでくるよ昔の記憶が...」




 俺は気が付いたら涙がながれていた、それはシーラも同じだった。



妹と再会できた喜びも一緒に流れ込んでくる、だけどそれよりも妹を失った喪失感のほうが大きかった、突然キーラは姿を消し俺たち兄妹は必死に探し回った、それでも見つけられず、妹を探す旅にでたんだ。



「辛いな....でももう会えるんだ....大丈夫」

「はい...」

 この時、既に偽りの記憶だという思いは消えていた。

そして再び時間が動き出す
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