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第4章
破壊者ハルアン~壊れ~
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昨日、入学式の時に会った先生じゃない。昔、魔法の訓練で母さんが使って僕が受けた催眠魔法の感覚と同じだったから気付けたけど、異常だ。
僕が入学二日目で気が抜けていたとはいえ、僕がすぐに気付けないなんて何者なんだ? そんな疑問にすぐ答えが返ってきた。
「ハルアン君、やっと気付きましたか。思ったより遅かったですねぇ。いや、これは私の仕込みが上手く作用したということでしょうか。……あ! ハルアン君、先に言っておきますけど恨むなら私ではなく王国を恨んで下さいね」
今頃僕は気づいたけど、みんなが凍り付いたかのように動いていない。それに先生(?)の恨むなら王国を恨めって……。
「あと、私はここの先生であることは間違いないんですよ。ただ先生は先生以外の仕事をしていて……あー、いわゆる副業ってやつですね。をしていてその仕事上、私の立場が一番適任だということでハルアン君には申し訳ないんだけど、諦めてね?」
「え? な、何を言って……」
「先生は先生だからちゃんときみの面倒を見てあげられるよ。だから、頼って良いんだからね」
本当に何を言っているんだ? そのセリフはまるでもう父さんと母さんが死んでいるみたいじゃないか。
「そう。君の両親はもう死にましたよ。その連絡が入ったから催眠魔法の効果を徐々に弱めたんですよ」
僕は立ち上がり父さんと母さんが心配なため勢いよく家に向かって飛び出した。……あれ? なんで僕は家に向かってるだ? 父さんと母さんが心配なのは間違いないんだけどその前に『父さんと母さんに何をした?』と、くってかかるところじゃないのか?
そんな疑問を抱くがもう学園の外にいる。学園に引き返すよりこのまま家に帰った方がいいと判断した。
家に着くとまず庭で見つけたのはベヒモスとフェンリルだった。もう死んでいた。互いに噛みつき合い、引っ掻き合っていたような傷痕があった。
そして家に入りリビングで見たのは母さんが父さんの首を絞め殺したまま死んでいた。母さんの死因は父さんの能力で生成された剣が背中から胸の中心を貫いていたからだ。
「え?」
僕は頭が真っ白になった。僕が思わず口にした言葉に返答する声が僕の後ろから聞こえた。
「いやー、こうも上手くいくとただの子犬を触媒に一日掛かりで催眠魔法を掛けたかいがあるってもんですねぇ~」
誰かが分かっているから僕は振り返らない。それに僕は母さん父さん、フェンリル、ベヒモスを失った喪失感しか僕の心になかった。
「元勇者様と元お姫様がこうも呆気なく死ぬとはね。王国からそう離れてない魔界の入口といわれるこの魔獣の山にまさか一軒家を建てて暮らしているとは思いもしませんでしたよ」
大きなショック、大きな喪失感を味わった瞬間は涙も出ないものなのか……。いや、これはただ単に僕が現実を受け入れられていないだけなのかもしれない。僕はただ立ち尽くし、茫然と後ろから聞こえてくる言葉を聞くだけだった。
「悪いのは王国です。さぁ、王国を滅ぼしましょう。国王を殺しましょう。王国民を蹂躙しましょう。……私がその手助けをしてあげます。だから、どうか、私を受け入れて下さい」
何故だろう? 真っ白だった頭の中に王国への憎悪が湧いてきた。何故だろう? この人が言うのは嘘かもしれないのに信じられる。 何故だろう? この人が僕の両親を殺した犯人だと言うのに僕の心は王国を滅ぼすことしか考えていない。
「ハルアン君。きみは今から破壊者になるんだ。王国を滅ぼす破壊者に」
僕は元勇者の正義の力と元姫の聖なる魔法の力の血を受け継いだ破壊者ハルアンになった。
僕が入学二日目で気が抜けていたとはいえ、僕がすぐに気付けないなんて何者なんだ? そんな疑問にすぐ答えが返ってきた。
「ハルアン君、やっと気付きましたか。思ったより遅かったですねぇ。いや、これは私の仕込みが上手く作用したということでしょうか。……あ! ハルアン君、先に言っておきますけど恨むなら私ではなく王国を恨んで下さいね」
今頃僕は気づいたけど、みんなが凍り付いたかのように動いていない。それに先生(?)の恨むなら王国を恨めって……。
「あと、私はここの先生であることは間違いないんですよ。ただ先生は先生以外の仕事をしていて……あー、いわゆる副業ってやつですね。をしていてその仕事上、私の立場が一番適任だということでハルアン君には申し訳ないんだけど、諦めてね?」
「え? な、何を言って……」
「先生は先生だからちゃんときみの面倒を見てあげられるよ。だから、頼って良いんだからね」
本当に何を言っているんだ? そのセリフはまるでもう父さんと母さんが死んでいるみたいじゃないか。
「そう。君の両親はもう死にましたよ。その連絡が入ったから催眠魔法の効果を徐々に弱めたんですよ」
僕は立ち上がり父さんと母さんが心配なため勢いよく家に向かって飛び出した。……あれ? なんで僕は家に向かってるだ? 父さんと母さんが心配なのは間違いないんだけどその前に『父さんと母さんに何をした?』と、くってかかるところじゃないのか?
そんな疑問を抱くがもう学園の外にいる。学園に引き返すよりこのまま家に帰った方がいいと判断した。
家に着くとまず庭で見つけたのはベヒモスとフェンリルだった。もう死んでいた。互いに噛みつき合い、引っ掻き合っていたような傷痕があった。
そして家に入りリビングで見たのは母さんが父さんの首を絞め殺したまま死んでいた。母さんの死因は父さんの能力で生成された剣が背中から胸の中心を貫いていたからだ。
「え?」
僕は頭が真っ白になった。僕が思わず口にした言葉に返答する声が僕の後ろから聞こえた。
「いやー、こうも上手くいくとただの子犬を触媒に一日掛かりで催眠魔法を掛けたかいがあるってもんですねぇ~」
誰かが分かっているから僕は振り返らない。それに僕は母さん父さん、フェンリル、ベヒモスを失った喪失感しか僕の心になかった。
「元勇者様と元お姫様がこうも呆気なく死ぬとはね。王国からそう離れてない魔界の入口といわれるこの魔獣の山にまさか一軒家を建てて暮らしているとは思いもしませんでしたよ」
大きなショック、大きな喪失感を味わった瞬間は涙も出ないものなのか……。いや、これはただ単に僕が現実を受け入れられていないだけなのかもしれない。僕はただ立ち尽くし、茫然と後ろから聞こえてくる言葉を聞くだけだった。
「悪いのは王国です。さぁ、王国を滅ぼしましょう。国王を殺しましょう。王国民を蹂躙しましょう。……私がその手助けをしてあげます。だから、どうか、私を受け入れて下さい」
何故だろう? 真っ白だった頭の中に王国への憎悪が湧いてきた。何故だろう? この人が言うのは嘘かもしれないのに信じられる。 何故だろう? この人が僕の両親を殺した犯人だと言うのに僕の心は王国を滅ぼすことしか考えていない。
「ハルアン君。きみは今から破壊者になるんだ。王国を滅ぼす破壊者に」
僕は元勇者の正義の力と元姫の聖なる魔法の力の血を受け継いだ破壊者ハルアンになった。
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