アイテムボックスで異世界蹂躙~ただし、それ以外のチートはない~

PENGUIN

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第4章

ギルド報告~ただし、ゼレギスが困惑しているだけでしかない~

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「とりあえず面白そうなやつ……というか歯応えのありそうな依頼終わらせてきた。討伐依頼のやつはこの素材見せればいいか?」

 マスターは偉そうにソファーにふんぞり返りながらマスターの後ろにいるルアに合図を出し、ルアに討伐証明部位の素材をテーブルに置かせる。当然ながらギルドマスターのゼレギスと秘書のセリアは困惑する。
 なぜこの国、アーヴァルズ王国の姫がこの男といるのか? なぜ従者のような振る舞いをしているのか? いや、他人の空似か? ってか討伐証明部位って、これって……ドラゴンか? というかなぜこいつはこんなにも偉そうなんだ?
 などと疑問が尽きない。

 ギルドは相手の得体が知れなくても人語が話せて人に……いや、ギルドに危害を加えない限りは冒険者登録できる。逆に言えば、ギルドに害をなした者は登録できない。だが、特例で危害を加えた者でもそれがのちのギルドに貢献できるだけの人材そうならばゴミ依頼をあてがい、どれくらいの能力か見定めさめる。ついでにゴミ依頼の消化。使えるならその後、F級ハンターになってもらう。と、いうのが通例。

「ああ、あとついでに後ろのこいつも俺のパーティーメンバーとして冒険者登録よろしく。名前はルアだ」

 ゼレギスはその通例通りにそのまま冒険者登録していいのか迷う。ある程度の厄介事も面倒事もお構い無しに力ある者は冒険者登録してきた。
 この持ってきた素材は若かりし頃、S級ハンターとしてやってきたゼレギスなら分かる。これは本物だと。そして実力も。で、明らかにこの国の姫と思わしき人物が目の前の男に従っている。あと偉そうだ。

 ゼレギスは思ってしまった。



 ――こいつ……この国の姫より偉い立場の人間なのか?



 と。戦争も何故か一週間程前に唐突に休戦状態……或いは『終戦』したという噂がゼレギスの耳にも入っていた。以上の事柄からゼレギスは答えを導きだした。
















 ――まさか!! こいつ、魔王か!?



 

 ゼレギスは目の前の男、マスターを魔王だと仮定する。
 ならば、辻褄は合う。こいつは正しく魔王だ。そして我が国、アーヴァルズ王国は敗戦。つまりこの国の姫より立場が上にある。……だから偉そうにしているんだ!
 実力はB級レベルのハンターをあっさり殺しちまったのも頷ける。B級……いや、A級ハンターも魔王相手じゃ歯が立たない。勇者を召喚して相手させるかS級ハンター総出で相手しなければ勝ち目はない。現役から離れた俺一人がどうこう出来る相手じゃない。なら、ここは大人しく姫様を見習ってこいつの言う通り従うか?

 と、ゼレギスは本気で思い込んだ。ゼレギスは恐る恐るマスターに問い掛ける。

「……お前は、何が望みだ?」




















「え? だからルアを冒険者にしてくれればいいだけだけど? あとできれば残りの依頼はやりたくないかな」
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